唐☆海賊プロデュース『遊星カノン〜銀河の彼方でまた逢おう〜』の稽古場にお邪魔させて頂きました。
『劇団★唐海賊』の過去作を、当時出演されていた堀川希さんが新たな演出家や出演者と共に再演しようというプロデュース公演とのことです。
ある意味では真逆とも取れる、リアリズム出身の堀さんが演出に抜擢されたり、色々な所から出演者を集めての公演ということで、どんな化学変化がそこに生まれてくるのか。とても興味深くお話を聞かせて頂きました。
●堀伸夫さん(演出)、堀川希さん(出演)の話
――今回の公演に至った経緯を教えてください。
堀川希さん(以下堀川):『劇団テアトロ☆マジコ』の涙銀子が1984年に立ち上げた劇団が劇団☆唐海賊っていうんですけど、そこにわたしも所属しておりまして。そこから現在はテアトロ・マジコに変わったんですけど、唐海賊の名前をわたしが勝手に引き継ぐと言いだしまして、それでプロデュース公演という形になりました。台本も昔、唐海賊でやったものを6年前に書き直したものの再演です。その時は『劇団ph-7』との合同公演でした。
――この本を堀川さんが選ばれた理由があれば教えてください。
堀川:唐海賊で自分がやった台本をやりたいなというのと、あとは人数が少な目のものを選びました(笑)。
――堀さんはどういう経緯で演出をされることになったのでしょうか。
堀伸夫さん(以下堀):出演者のマツガサキという者が古い知り合いで、それで「やれ」と。いきなりスケジュールを出せと言われまして(笑)。
――受ける際に迷われることはありませんでしたか。
堀:涙銀子さんの本ですから、面識は無かったのですが存じ上げているし、舞台も観ていましたが、なかなか難しそうだなとは思いました。
――どの辺りに難しさを感じましたか。
堀:涙銀子さんは元々不条理というか難解さを持った本をずっと書かれていて、それをどう読み取っていくか。わたくし自身はリアリズムの出身ですから、どうしても本の意味を追ってしまいます。そうすると正直分からない部分もあったりして、それを読み解いたり明確にしようとしたりもしたのですが、ある日気付いて。誤解を恐れずに申し上げると、台本を読み解くことも大事ですが、それと同時にこの世界観、なんだか分からないけれど魅力的な部分をどう描いていくのかが大事だなと思わされまして。理屈を捏ねまわしたり説明ということで表現するんじゃなくて、本を読んで受け取ったニュアンスを伝える方がこの作品の魅力は伝わるんじゃないかなと思いました。
――その他に演出面でこだわっている部分はありますか。
堀:今回涙さんの所のプロデュースということですが、涙さんの本プラス、わたしがこれまでやってきたことがうまく合わさっていければと思っています。なので涙さんの芝居が好きで観に来られた方には「こんな形もあるんだ」と、初めての人には「こんな芝居があるんだ」と。せっかくわたしがやるんですから。
――今公演の見所を教えてください。
堀川:プロデュース公演なので劇団の様な決まったカラーはないですが、涙銀子の古臭くて逆に新しい独特の世界観を持つ本を演じる事で、色んな役者さんの、いつもとは違う顔を観て頂けたら良いなと思います。
+++++
唐☆海賊プロデュース『遊星カノン〜銀河の彼方でまた逢おう〜』
脚本:涙銀子
演出:堀伸夫
会場:NAVI LOFT
日時:2016年10月7日(金)~ 9日(日)
出演:新研吾(VoiceVoice)、上田吉政(劇団アルクシアター)、加藤友理(アンサンブル・クールエコー)、柴田真佑、すがとも(座☆NAGAKUTE)、堀川希(劇団テアトロ☆マジコ)、マツガサキアサミ(パンジャーボンバーズ)、渡邊竜也