メニコン シアターAoi芸術監督作品 サファリ・P 第11回公演『悪童日記』

新キャスト・新演出で迫る!『悪童日記』が描き出す、戦争が露わにする人間の本質。
国内外のフェスティバルで称賛を集めたサファリ・Pの代表作、愛知初上演!!

本公演について

原作小説『悪童日記』(著:アゴタ・クリストフ)は、第二次世界大戦中・戦後の、作者が生まれ育ったハンガリー・ブダペストが舞台と考えられています。アゴタ・クリストフは、1956年のハンガリー動乱勃発後に難民となり、スイスへ亡命。スイスで母国語ではないフランス語で執筆し、文壇デビューとなった作品が『悪童日記』です。
主人公である双子の「僕たち」の日記という体裁を取る本作は、「ただ事実だけを書く」という特殊な文体で、作者自身が幼少期に体験した「戦争」と、戦時下であらわになった人種差別やユダヤ人虐殺、そしてその即物的な文体の裏にある、人間が持つ愛を、静かに、そして深く描き出しました。
サファリ・Pはこの名作小説を下敷きにし、『悪童日記』を2017年に初演。5つの無機質な台と5人の俳優、抑揚を排除した言葉によって、物語の表層的な再現ではなく、主人公である双子の日記の「文体」を舞台化することを試み、この小説がその文体の影で持ち続ける人間の愛と孤独を炙り出した表現は大きな話題を呼び、2019年にはKosovo FEMART Festival(コソボ共和国)、瀬戸内国際芸術祭へ招聘されるなど、カンパニーの代表作とも言える作品です。
2025年版では、新たなキャストと新演出により、物語のもつその無機質な印象を、小説同様徐々に覆しさらに深く人間の本質に迫るとともに、ユダヤ人による「ジェノサイド」が止まらない現在の世界情勢への応答を試みます。

 

あらすじ
幼い双子は日ごとに激しさを増す空爆から逃れる為、母親と別れ、祖母のもとへ疎開する。ところがそこは、不潔さと暴力、過酷な労働にまみれた場所だった・・・。祖母や村の大人たちは双子を罵り、殴る。双子は人々の暴力から己の身を守るため、厳しい訓練を自らに課し、言葉からその意味を剥奪していく。
二人はまた、日記を書く。その日記には、日々起きたことに対する感情や印象を一切排除するというルールがある。そうやってできたノートがこの「悪童日記」である。
戦争は双子の疎開するこの小さな町にも及ぶ。
果たして双子は生き延びることができるのか。
双子の心は、守られるのか。

 

山口茜(やまぐちあかね)
劇作家、演出家。合同会社stamp代表社員。2003年、第10回OMS戯曲賞大賞を受賞。2007年、若手演出家コンクール2006最優秀賞を受賞。2007年から2009年までの2年間、文化庁新進芸術家海外留学制度研修員としてヘルシンキ(フィンランド)に滞在。帰国後、活動を再開する。2012年文化庁芸術祭新人賞を受賞。2013年、龍谷奨励賞を受賞。2015年、利賀演劇人コンクール優秀演出家賞一席受賞。アトリエ劇研アソシエイトアーティスト(2015年度〜2017年度)、セゾン文化財団シニアフェロー(2016年度〜2018年度)、龍谷大学非常勤講師(2010年〜)、メニコン シアターAoi芸術監督(2023年~)。

サファリ・P
2015年7月、利賀演劇人コンクール2015にて『財産没収』(作:テネシー・ウィリアムズ)を上演。優秀演出家賞一席を受賞。メンバーは芦谷康介、達矢、佐々木ヤス子、池辺茜、森永恭代、山口茜の6名(2023年10月現在)。パフォーマー(俳優・ダンサー)・技術スタッフ(照明・音響)・演出部(演出家・ドラマトゥルク)からなる劇団。
これまでは、主に既成戯曲・小説から作品を立ち上げてきた。物語に底流する作者の生い立ち、時代背景などを重視してテキストを紐解き、その中から選び抜いた最小限のテキストを抽出。パフォーマーに俳優とダンサーが混在していることを活かし、身体と最小限の舞台美術、最小限のテキストのみを使用し、文字だけで立ち上がっていた原作世界の、意外な、しかし間違いなくそこにある要素を立ち上げることを得意とする。
2019年6月、FemArt Festival 7thに招待され、ODA Theatre(コソボ共和国プリシュティナ)にて『悪童日記』を上演。2019年10月、瀬戸内国際芸術祭秋会期にて『悪童日記』を上演。

関連企画について

・6月14日(土)、15(日)両日 学生年代限定!サファリ・Pとの交流会
各回終演後に、ステージ上で出演者との交流会を実施。上演を観終えて、感想や質問などを出演者や演出家と直接コミュニケーションが取れる機会を、劇場が用意します。交流会は直前まで上演が行われていたステージ上で実施予定。実際の舞台に上がれて、舞台の裏側も垣間見ることができます。

・6月14日(土) 猫町倶楽部 読書会「アゴタ・クリストフ『悪童日記』」
観劇と読書会がセットになり、『悪童日記』の世界にさらに深く迫ります。
読書会進行:猫町倶楽部
読書会ゲスト:山口茜(本公演の脚本・演出、メニコン シアターAoi芸術監督)

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『悪童日記』

上演スケジュール:6月14日(土)13:00☆ 6月15日(日)13:00●
(受付開始は開演の45分前、開場は30分前)
☆=字幕タブレット(日本語・英語)貸出し/●=託児サービス(共に無料・要事前予約・人数限定)
*両日共通:終演後に学生年代限定の、サファリ・Pとの交流会あり

公演会場:メニコン シアターAoi
https://meniconart.or.jp/aoi/

◯チケット
前売当日同料金・全席自由
一般:4,000円/U25(25歳以下):1,000円/障がい者割引:2,000円(介助者1名無料)
*U25、障がい者割引は、公演当日に要証明書提示
取り扱い:メニコン シアターAoi〈愛知公演のみ〉
Web予約:https://meniconart.or.jp/aoi/
電話予約:052-938-7185
劇場窓口販売

原作:アゴタ・クリストフ『悪童日記』(ハヤカワ文庫) 翻訳:堀茂樹
脚本・演出:山口茜
出演:芦谷康介、佐々木ヤス子、達矢(以上 サファリ・P)、辻本 佳、森 裕子(Monochrome Circus)
作曲:増田真結
舞台美術:夏目雅也
照明:池辺茜
音響:森永恭代
映像:竹崎博人(creative studio Flat box)
衣裳:佐々木ヤス子
舞台監督:大鹿展明
演出助手:村田瞳子
演出部:松本晋輔
宣伝デザイン:山口良太 (slowcamp)
日英翻訳:柴田惇朗
宣伝写真・配信用映像撮影:中谷利明
WEB:Penguin Noise
制作:水戸亜祐美(合同会社syuz’gen)、合同会社stamp
(京都公演)主催:合同会社stamp 共催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)
(愛知公演)主催:公益財団法人メニコン芸術文化記念財団
(東京公演)主催:合同会社stamp