オブジェクトパフォーマンスシアター『薄暮夢』

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オブジェクトパフォーマンスシアター『薄暮夢』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

いくつかのシーンを観せて頂きましたが、今作でも相変わらずユニークなオブジェが沢山登場し、そこに人や音や演出が加わり、オブジェクトパフォーマンスシアターならではの空間が醸成されていました。

あらかじめ台本を決めず、色々試しながら作り込んでいく手法を取っておられるということで、オブジェと戯れながら作っているという言い方が最も近いのでないでしょうか。

特に日常から少し離れた別世界を体験してみたい方にお勧めです。

●木村繁さん(構成・演出)の話

――今回の台本は木村さんが書かれたのでしょうか。

木村繁さん(以下木村):OPTは毎回そうなんだけど、オブジェを作る方が先行なんだよね。あとから当て嵌めて台本を作ってます。基本的には人形劇なので、役者と同格というか大事なものだから、そこから始めます。

――オブジェはどのように作っていくのでしょうか。

木村:皆で稽古用のものを実験しながら作り変えていったりとか、美術家が発想したり。あとはホームセンターに行って考えたり。自由に作っています。今回は夢の話で、いくつか話建てがあったりするんだけど、稽古の途中で話がガラっと変わったりします(笑)。なので時間が掛かるんだよね。今回は以前にやった江戸川乱歩の小説からアイデアを貰っているんです。『青銅の魔人』という少年探偵団の時計を食う男。そこが土台になってるんです。夕暮れの一番交通事故が多い時間帯に、家に帰りたくないサラリーマンが見ちゃった夢。

――交通事故が多い時間帯という発想が凄いですね。

木村:鉄道に轢かれて身体と精神が分裂しちゃった男の話なんです。

――その辺の発想はどうやって生まれてくるのでしょうか。

木村:普段の夢とか、役者からアイデアを貰っています。あとは不思議な卵の話もあります。期待して育ててもいつまで経っても生まれてこない怪奇現象とか。

――今回の演出でこだわった点があれば教えてください。

木村:今回は人形の動きにこだわって、どっぷり浸かっていますね。普段の芝居では、自分の本にしろ他人の本にしろ、台本と格闘するもんなんだけど、ここではそういうことはしたくない。こっちの方が難しいんだけど。

――座組の皆さんもそれが分かった上でやっているようですね。

木村:そういうのが好きな連中が集まっているから。各界から。

――今作の見所を教えてください。

木村:演出も含め、11人の役者が稽古場で人形や物と台本無しに格闘しながら作った夕暮れの夢、ですね。テーマとかに縛られずに自由奔放にやっています。でも確実に上手くなっているね。こんなことやる集団は全国でもほとんど無いので、貴重だと思います。

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オブジェクトパフォーマンスシアター『薄暮夢』

構成・演出:木村繁
会場:損保ジャパン日本興亜人形劇場ひまわりホール
日時:2016年9月22日(木)

詳細はこちら
http://aichi-puppet.net/aichitriennale2016/scedule/