三重の四日市市文化会館で行われる『Yonbun Drama Collection』についてお話を伺って来ました。
半年以上に渡って様々な企画を用意しているということですので、そこから自分に合った公演やワークショップを探してみるのも良いのではないでしょうか。
●田中峻さん(四日市市文化会館)、小熊ヒデジさん(アドバイザー)の話
――今回の企画を発案されたきっかけを教えてください。
田中峻さん(以下田中):昨年四日市で市民演劇が9年振りに復活し、演劇が盛り上がって来ているというのを感じました。そこでお客さんとして観て頂ける公演であったり、実際に参加頂けるワークショップであったりというのを色々やって、更に演劇を盛り上げていきたいと思いこういう企画を考えました。
――今回小熊さんがアドバイザーに入られているということですが、決まった経緯と、具体的にどのようなことをされているのかを教えてください。
小熊ヒデジさん(以下小熊):四日市で演劇をしている少年王者館の宮璃アリさんに声を掛けて頂いたんです。実際にやっていることとしては、プロジェクト全体としてのデザインをどうするか。そして人選やプログラム、あとは広報をどう進めていくかのアドバイスをしています。
――全体のプログラムを組む際に方向性などで意識された点はありますでしょうか。
田中:小演劇を引っ張ってくるのは初めてなので、色々な人達にアプローチが出来れば。なので子供向けのワークショップだったり、初心者向けの演劇セミナーや地域と劇場を絡めたセミナーだったり。まずは関わって頂きたいです。
――公演は全て天野天街さんが関わっている作品になりますが、天野さんを大きく取り上げた意図と、どのような基準で公演作品を選ばれたのか教えてください。
田中:東海地区でも奇才と呼ばれ、常に新しいことにチャレンジされている方が、まだ小演劇に馴染みの薄い四日市に来られた時にどのような化学反応があるだろうかと思い、声を掛けさせて頂きました。また先程のお話のように、全ての年代にアプローチしたい。まずはお子さんや家族で観られるということで『泣いた赤鬼』を。大人向けに奥の深い現代演劇ということで『流山児☆事務所』と、天野さんが主宰の『少年王者舘』の作品を選びました。
――いくつかのセミナーやワークショップもありますが、これらはどのような内容になるのでしょうか。
田中:セミナーに関しては、これまで小演劇を観たことが無いお客様はどういう風に観ていいのか分からないんじゃないかなと。なのでまず「現代演劇ってこうなんだよ」というのを聞き、その上で他の公演を観て頂くとより楽しめるんじゃないかと思い企画しました。またワークショップについてですが、子供向けで何かないかと小熊さんに紹介して頂きました。
小熊:『リトルそれいゆ』という団体があって、小学生と一緒にワークショップをして芝居を作るということをずっとされている団体なんですね。ぼくも講師をやっているんですけど、環境や防災のことをテーマにして子供たちとディスカッションしてオリジナルの作品を作ります。子供たちに表現することの楽しさや豊かさを感じて貰えればいいなと。リピーターが結構来るので皆楽しいんだろうなと思います。
――お客様の立場から、今回の企画全体をどのようにすればより楽しめるか教えてください。
田中:色々なことをやっていますので、自分なりの楽しみ方を見つけて欲しいかなと思っています。迷われるという場合はまずセミナーに行って頂くといいと思います。なんとなくどういうものか分かると思いますので、そこで舞台美術に興味があればそちらのワークショップに行って頂いたり、舞台に立ってみたいということであれば小熊さんのワークショップ(『俳優を目指さない人のためのワークショップ』)に行って頂いたり。
小熊:難しいことは絶対やりませんので。演劇ってちょっととっつきにくいとか、敷居が高いとか、よく分からないとかあると思いますが、でも表現することに興味がある方は絶対いると思います。実際に声を出したり身体を動かすと興味が深くなると思うんです。あともうひとつ思うのは、公共のホールが小劇場という臨場感のあるジャンルを取り上げて、公演だけじゃなくて、色々なことを学んだり参加したりするという活動は凄く意義があることだと思います。なので観るだけじゃなくてなんらかの形で参加して欲しいと思いますし、劇場というのは本来そうあるべきということを市民の方に思って欲しい。その土地にとって劇場というのはコミュニケーションを取る場所として重要であるということを多くの人に知って欲しいなと思います。
田中:名古屋からも近いですから是非来てください。30分強で着きますので。
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『Yonbun Drama Collection』