清水宏『清水宏のたたかうコメディー!!2015』

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清水宏『清水宏のたたかうコメディー!!2015』の取材をさせて頂きました。

色々な冒険の顛末を恐ろしいハイテンションで語り、いつもお客様を楽しませている清水宏さん。今作は2012年にエジンバラ・フェスティバル・フリンジに本格参戦された時の物語ということです。

とにかくお客様を楽しませたい。その思いは海を越えても同じようで、エジンバラでも色々な意味で恐れられていたようです。

その見所を思う存分語って頂きました。

●清水宏さん(出演)の話

清水宏さん(以下清水):今回のお話はエジンバラへの入り口というか、オープニングです。最初の大きな一歩という感じですね。僕にしてみれば、アポロ月面着陸ぐらいな感じの。エジンバラはライフワークなので、10年、20年やっていきたいことでもあって。エジンバラか自分のどちらかが倒れるまではやると思っているんですけど(笑)。一人のロードムービーであり、コメディーです。僕にとっても原点です。

――『エジンバラ・フェスティバル・フリンジ』とはどんなイベントなのでしょうか。

清水:僕もウィキペディアで知ったんですが、元々は自治体が行っていたフェスティバルに落選した人たちが「なにくそ!」と思って始めたもので、僕はそこにめちゃくちゃ共感しました。1ヶ月開催され、参加者も三千から四千人という圧倒的に大きな規模のイベントです。その中でもコメディーがお客さんのニーズとして多く、その結果コメディーのショーが一番多くなっています。

――何故そこに参加されようと思ったのでしょうか。

清水:そこにフェスがあったから。もしぼくが普通の芸人だったら行っていなかった。合わないのかなって思っていたんです、日本の笑いとか芸能の仕組みに。僕のネタはどんどん長くなる傾向にあるんですが、ネタもどんどん短くしてくれと言われる。あらゆることが違う。それで、海外に拠点を移してやろうということで始めました。切羽詰ってました。だからこそ無茶なことが出来た。

――フェスへの事前準備としては何かされましたか?

清水:外国人の為のコメディークラブに在籍し、そこでネタを作り溜めました。それと英語でやれるならどこでも出かけます。それくらい英語の場所に飢えています。内容的にはある程度外国人向けにって意識していますが、発想の源とエネルギーの種類は日本語でやるときと同じです。英語向きに何かを変換している訳ではないです。人間だったらこう言われたらびっくりするし、腹が立つだろうっていう世界共通のことをテーマにしたいと思っています。あとは動きですかね。英語で足りないところはとにかく動いて補います。大風呂敷も広げます。『世界各国のゾンビ』とかやりますね。

――現地では『恐怖のオレンジ』と呼ばれていたそうですが、その経緯を教えてください。

清水:エジンバラでは自分の公演に自分で集客するんです。自分でお客さんを引っ張り込むんです。俺はもう喰らいついたら離さない。捕まえた客一人一人に「お前に来て欲しい!お前じゃなきゃ駄目なんだ」って言ってました。最後には「誰でもいいんだ!」って言ってましたけどね(笑)。死にもの狂いでしたから。お客さんを呼ぶにしても僕ほどチラシを配った奴はいませんでしたね。主催者からも『チラシ配りを怠けないこと』って言われていて、それが一番の道だと。他のチラシ配りを見ていると、パッと渡して、受け取らなかったらいいや。でも僕は追い掛けて行って、いつまでも喋りかけて、必ず受け取って貰っていました。この衣装を着て、逃げも隠れもできないようにして。1ヶ月もやっていると、何度か落ち込む時期がやってくる。『レビュー』っていうのがあって、それに客の量がすごく左右されるし、自分も左右される。レビューが取れる取れないで、天国と地獄みたいになる。やる気満々で来たのに、自分との戦いに負けていくみたいなことを僕、いっぱい見たんです。その中で、自分は最終日までやっていたので『おかしいんじゃないかあいつは』ってなって(笑)。それで『タイムズ』が僕に取材に来るっていう話が出たんです。チラシを異常に配っている奴がいて、恐怖のオレンジって呼ばれているってね。それが、後半のテーマになってきます。宿泊していたところでも、そう呼ばれていました。

――清水さんにとってコメディーとはなんでしょうか。

清水:日本の笑いは方程式で笑うことが多いと思います。ボケとツッコミとか、お決まりのフレーズとか。だから僕は自分勝手に笑っていいっていう環境を提示したいと考えています。お客さん全員が本気で笑って貰うまでやる。誰ひとり置いていかない。来ていただいた限りは、責任を持ちたい。笑いの好みを超えた地点に持って行きたいです。

――今回の見所を教えてください。

清水:一番大変だったのは、勿論英語でやっていること。想定が甘いってことでもあるんですが、想像以上の大変さでした。そしてエジンバラはお客さんが来ないショーも現実にあって、そのためにプレイヤーの心が折れて途中でショーが無くなるっていう非常に恐ろしい現場でもある。まずはそこをどう乗り越えるかを見て頂きたいです。一人で企画・演出・出演を兼ねた『一人情熱大陸』みたいなコメディーライブです。人間がなにかを目指し、それが形になることって、こんなに面白く、心震えることなんだっていうことを伝えたい。僕が現地で体験してきた衝撃・興奮・感動をそのまま共有してもらいたい。それが一番の娯楽なんじゃないかってことを、舞台出身者として伝えたい。お客さんには期待して見に来てほしいです。来てもらった限りは絶対楽しませると確信しています。とにかくお客さんを大事にしたいです。

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清水宏のたたかうコメディー!!2015

出演:清水宏
会場:愛知県芸術劇場小ホール
日時:2015年2月28日(土)

詳細はこちら
http://www.soho-japan.co.jp/shimizu/