M.カンパニー『ヴァニティーズ』の稽古場にお邪魔させて頂きました。
今回は経験豊富な3人の女優さんによるお芝居ということで、テンポはありつつも決して浮つかない、その落ち着いた演技に思わず見入ってしまいました。
座組内では演劇の土台部分はしっかり共有出来ているようで、和やかな雰囲気ながらも、時々入る演出に即座に対応していく姿は流石と言いたくなってしまいました。
●ほりみかさん(演出)、平山静乃さん、長縄都至子さん(出演)の話
――今回の台本を選ばれた理由を教えてください。
ほりみかさん(以下ほり):ちょうど1年程前にわたしの演劇仲間が亡くなったんですが、その頃に出会った脚本なんです。その方が30年前にこの作品をやっていたことも知っていたので、何かの縁かなと思いました。そしてその時に一緒に出ていたのが彼女(長縄さん)なんです。
長縄都至子さん(以下長縄):それが全然覚えていなくって、友人に電話して「なんの役だったっけ」て聞くくらいでした。そしたら「30年前だもんね」と言われてそれもびっくりしました(笑)。
――出演者はどのように決められたのでしょうか。
ほり:実はうちの若手にやらせようと思っていたのですが、若い子にはピンと来ないらしくて。そこで自分で読んでみたらわたしは凄く分かった。この作品は1場から3場まであるのですが、1場が高校生時代。人気者でチアリーダーでモテモテで可愛くて。2場が大学生。そして3場が大人になってから。段々価値観が変わっていって仲良くなれなくなってくる。自分にもそういう部分はあったと思うし、凄く良く分かった。
――文化が違う国の作品を日本でやるということで、演出や演じるうえで気を付けていることはありますか。
ほり:分からないことが凄く多くて。例えば大学には寮があって、そこにも優劣とか上下関係がある。一番良い寮にこの人たちは入るのですが、そういう部分が全然分かってなかったり。あとは流行の曲が出て来ますが、そこは時代背景を映すので気を遣っています。ちょうど繋ぎの時に流れるので雰囲気を出せればと思いました。
平山静乃さん(以下平山):深刻になり過ぎるとアメリカの感じが出ないので、深刻な問題は出てくるんですけど、あまりそうなり過ぎないように。若い時代は特に。
長縄:マクガバンだけじゃわからないので、民主党のマクガバン、ていう風に付け加えてます。そうすれば政治家だってわかるから。
――見所を教えてください。
平山:繋ぎが見所です。生着替えがあるので(笑)。
長縄:年代によってメイクを変えたりとか、舞台上で全部見せています。
ほり:『ヴァニティーズ』という単語には『虚栄』とか『見栄』という意味があるんですけど、凄く幸せそうに見えて実は不幸だったり、不幸そうに見えても心が豊かだったり。分からないじゃないですか人って。だから3人の中の誰か一人に共感して貰えればいいなと思います。3人には舞台上で人生を生きて欲しいなと思います。是非大人の女の人に観て貰いたいです。
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M.カンパニー『ヴァニティーズ』
脚本:ジャック・ハイフナー
演出:ほりみか
会場:損保ジャパン日本興亜人形劇場ひまわりホール
日時:2015年1月23日(金)〜1月25日(日)
出演:平山静乃・長縄都至子・宮璃アリ