映画『おいしい給食 炎の修学旅行』市原隼人さん、綾部真弥監督インタビュー

10月24日より公開される人気シリーズの劇場版『おいしい給食 炎の修学旅行』。今回は主演の市原隼人さんと綾部真弥監督にインタビューさせて頂きました。

全体のバランスを考えながら、しっかりと映像を作り上げていく綾部監督。そして常に全力投球で役に接していく市原隼人さん。今回のインタビューにも全力で答えてくださいました。

また、お2人が本作を非常に大事にされているのが伝わり、そんな2人あってのシリーズなのなのだと強く感じました。

――本作における演技や演出のアプローチで特にこだわっている点があれば教えてください。

市原隼人さん(以下市原):原作が無い作品ですし、置きにいく芝居はしていません。「使われなくてもいいので、こういう芝居してもいいですか」とお願いして、色々挑戦させていただいています。そしてエンターテイメントとして常にお客様の事を考えました。コロナ禍を経て、作品の存在意義、甘利田幸男という男の存在意義をもう一度考えました。この『おいしい給食』はずっと短距離走を走り続けているようなもので、もう駄目だ、もう駄目だと思いながらも、這いつくばりながら撮影に向かっていくような作品だったんです。色々な事を試しながら、甘利田幸男として生きるという事を考えました。常に直球で向き合い、そしてキングオブポップでありたい。改めてお子様から人生のキャリアを重ねてきた全ての方に楽しんで頂けるエンターテイメントという、基本に戻って作った作品です。

綾部真弥監督(以下綾部):シリアスな作品はシリアス、楽しい作品は楽しいというだけじゃなくて、例えばセンチメンタルな作品でも、そこにふと笑いが入ってきたり、大笑いしたと思ったら感傷的になったり、その波みたいなものが一定にならないようにしています。直球勝負の映画ではあるんですけど、このシーンは楽しいです、このシーンは悲しいですという風じゃなくて、バランスの中で見飽きないという事を常に意識しています。

――シーズン1から本作までで、甘利田先生に変化はあったのでしょうか。

綾部:甘利田という男は変わらないんですけど、周りが変化していると思うんです。給食という道を極めようとする男が、いつの間にか皆から慕われている。敵対する先生達も感化されてしまう。変わらないものも大事だけと、でも同時に変化を恐れず悪いものを改めていく事も大事。今我々が信じている事も30年40年経ったら違うかもしれない。変わらない事の大事さと、変わる事を恐れない事、それらが両輪のように進むべきではないかという投げかけに本作がなるといいなと思っています。

――本作では子ども達とどのように向き合っていったのでしょうか。

市原:本作の本当の主役は子どもたちだと思っていて、子ども達は演技をするというより「映っちゃった!」というように凄く自然体で、生き生きしているんです。撮影前から色々な話をしていまして、まずはこの作品が何のために作られ、何を伝えたいのか、その為に何をしなければならないのか。その中でこの作品を通過点として、子ども達が成長していければいいなと思っています。また、自らが自発的に現場に来たくなるような、芝居をしたくなるような環境作りを意識しました。見えない所でも人間愛に溢れていないといけないのが『おいしい給食』ですから。

――甘利田先生のモノローグが占める割合の多い作品だと思いますが、演技上心掛けている事はありますか。

市原:モノローグはわたしが好き勝手やっています(笑)。全部アドリブで勝手にやらせていただいています。給食をどう食べるか台本には書かれていないので、前日に色々考えていきます。モノローグもその場で録り、そのモノローグに合わせてまたお芝居をしていく。理性を解放していきたいと。人間というものは自制心で抑えられているので、その理性を全て解放するような、向こう側に行く事を目標にしています。

綾部:基本的に台本の読み込みと演技は市原くんに任せているので、あとは微調整です。こういう演技ならこういう撮り方をした方がいいかもという、映像になる事を見越しての全体の調整ですね。あとは時々こういうのを入れてみてとか。「カリッ、ジュワーって言ってみて」とか(笑)。更にイメージが膨らむような味付けをしています。

――今後も全国を回るということで、お二人に意気込みをお願いします。

綾部:今日の舞台挨拶でも、登場の時とかに皆が凄く話し掛けてくれて、「無茶苦茶面白かったよ」とか「次も待ってます」、「これを支えに頑張ります」とか、それって僕たちが救われてるんです。好きな事をやってるので楽しいんですけど、ひたすら机に向き合って地味な作業の連続なので、ああやって拍手を貰えることで救われます。時間の許す限り行って、一緒に『おいしい給食』の世界観を共有できたらお互い頑張れるんじゃないかなと思っています。

市原:純粋に求めていただける事が嬉しくて、その感謝の気持ちを伝えたくて、会いに行きたいと思っています。作品はお客様の為にあるべきなので、時間が許す限り、どんな場所でもそれを伝えられたらと思っています。エンターテイメントの本質をわたし自身が学ばせていただきながら、とにかくお客様に楽しんでいただく事だけを考えています。

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『おいしい給食 炎の修学旅行』

2025年10月24日(金)ミッドランドスクエア シネマ、センチュリーシネマほか全国公開

出演:市原隼人 武田玲奈 田澤泰粋 栄信 田中佐季 片桐仁
いとうまい子 赤座美代子 六平直政 高畑淳子 小堺一機
監督:綾部真弥
企画・脚本:永森裕二 プロデューサー:岩淵 規
配給:AMG エンタテインメント 2025年/日本/114 分
©2025「おいしい給食」製作委員会

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