room16『ラクダ』

Print

room16『ラクダ』の稽古場を拝見してきました。今作は、『名古屋演劇杯』参加作品となります。

非常に緩やかな空気の稽古場でしたが、いったん演技が始まると「シリアス」という言葉がぴったりな、それこそ鬼気迫る役者さんたちが大変印象的でした。私が立ち会ったのはラストシーンの稽古だったそうなので、気合の入り方も相当だったようです。

今回G/PITでの公演が4回目というroom16。なじみの小屋であるG/PITで行われる『名古屋演劇杯』で、今回はどんな物語を見せてくれるのでしょうか。

●SABOさん(作・演出)の話

今回このようなテーマの話を書こうと思ったきっかけはなんですか?

→SABOさん(以下SABO):きっかけは衝動です。……とはいえ、藤島がこんな役をやりたいと言い出して、それで女の話を書こうとなってスタートしました。太宰治の『斜陽』に出てくる女みたいな人をやりたいっていうことで。まぁ僕は読んだことないんですけど。なんとなく……それがイメージになって。

演出をするうえで心掛けていることはありますか。

→SABO:演出をしているという仕事を、いかに削りながら面白く見てもらえるようにできるかが、心掛けていることです。役者の心情が見れるような演出効果とか、シーンを増幅させるような演出効果とかは省いて、生ものだけで見れるようなシーンづくりをするために、演出をしないように心掛けています。削ぎ落としていく演出ですね。今作に限ったことではないのですけれども。

今作の見どころを教えてください

→SABO:女性に好かれる男が出てくるんですけど、それを稽古の中で作っていく過程の中で、男の人が思うモテる男の人と女の人がイメージするモテる男像がだいぶ差があって、「そんなのが嬉しいの?」とか「そんなことされたいの?」とかいうのがかなりあって、女優陣の意見を聞いて男像を作っているので、そこが見所です。そして、今作がroom16のある意味最後のroom16っぽい作品になると思います。これがroom16初期作品の最後になると思いますので、見逃してほしくないですね。

●藤島えり子さん(出演)の話

今回の役をやるうえで意識していること、気を付けていることはありますか?

→藤島さん:飢えることを意識しています。人のぬくもりだったりとか、常に何かが欲しいけど手に入らない状態の、飢え。それを持てるようにしようというのが一番心掛けていることです。私が演じている女自体は自分が飢えているとは思っていないので、飢えている状況を作って、役をかぶせるイメージです。気を付けていることは目立たないこと、地味であることと同時に、主人公であることを忘れないように、バランスのとり方を模索しています。自分は主人公が初めてなので、主人公なのを忘れないことって大事だなと思いました。今まで使ってこなかった部分を使わなきゃいけないなと。大変だけど、楽しいです。

+++++

room16『ラクダ』

作・演出:SABO
会場:G/PIT
日時:2014年10月3日(金)~5日(日)
出演:八代将弥・吉田光佑・谷口沙季・藤島えり子・新研吾(フリー)・殿(フリー)・二村あきひろ(演劇ている)

詳細はこちら
http://room16.jimdo.com/

[写真・文:タチカワ倫]