劇団あおきりみかん『発明王子と発明彼女』

劇団あおきりみかん『発明王子と発明彼女』の稽古見学会にお邪魔させて頂きました。

一般のお客様も稽古場に見えられているということで、最初は様子見をしながらに見えましたが、後半になってくると次第に稽古に熱を帯びてくるのが分かりました。見学の皆様にとっては劇団の裏側を少しだけ垣間見ることが出来、非常に有意義な時間だったのではないでしょうか。

今回の稽古見学会だけではなく、積極的にバックステージツアーを組む等、劇団のことを少しでも知って貰い、そしてこれからも劇団を応援したくなる、そんなサービス提供や取り組み方がとてもうまい劇団だと再確認出来た時間でした。

●鹿目由紀さん(作・演出)、カズ祥さん、松井真人さん(出演)の話

今回の台本を書こうと思われたきっかけがあれば教えてください。

→鹿目由紀さん:ここのところ、脳のことを考えていて、読んだ本で『脳』と『仮想』のことが触れられていたんです。それが結構面白いなと思って。仮想が芝居の根幹になっていくものにしたいなと思って。で、同じ時期に、大型ロボットのコクピットっていいなぁと思ってて、その2つが頭の中で結びつきました。あ、あとはいまさらエジソン凄いなぁって。エジソンって睡眠時間短いんですよね。親近感わきまして(笑)。それで、大型ロボットのコクピットで、発明王子が仮想してる話にしてみようと思いました。

今回の役を演じる上で気を付けていることがあれば教えてください。

→カズ祥さん(以下カズ祥):今回は初めてずっと舞台上に出ている役なんですが、いつもの引き出しだけだと同じパターンばかりになってしまって。色々な人がぼくに向かって話し掛けてくれるので、色々な人との会話の中で自分の中に無い引き出しを発掘しているところです。たぶん自分の中には元々あるとは思うんですけど、日常では出せるのに舞台上では出せなかったり、これまで役者をやる上で意識していなかった引き出しがあって、色々な人とその場できちんと演技していくことで、そこの引き出しを意識して何回でも使えるようにしています。

今回松井さんはロボット役ということで少し驚いたのですが、ロボットをやる上で意識していることというのはありますでしょうか。

→松井真人さん(以下松井):男の子は大体ロボット好きだと思うんです…多分。僕、大好きなんですロボット(笑)
で、さてどんなロボットを演じていこうかと考えた時に…ロボットにはココロがあるのかないのか、というところが気になるというか。僕は普段生きてても、心があるから苦しいし、心があるから嬉しいと感じられると思うんです。でプログラムで動いているロボットは、何を喜んで、何に苦しむのかと。実際僕は、失恋なんかしたら「ココロが無ければ楽なのに」思ったりするけど、だとしたらロボットは幸せなのか、不幸せなのか、どんな事をあなたとの間に感じるのかなぁというところは考えました。

稽古をやっていて、自分にとって分からない要求があった時にはどうされますか。

→カズ祥:提案があった時に自分のイメージと違っていて分からなくなってしまう時はありますが、まずはとりあえずやってみる。やってみるとそこにヒントがあって、相手役の人もそれを感じてくれて、これまで見えていなかった関係が、進む先が見えてきたりするので、納得出来ないという気持ちや、考えて無くて分からないという場合でも、演出の言うことは一回やってみるということだと思います。

→松井:学ぶということは、『良い』と思っていることを『良い』と言って貰う、『悪い』と思うことを『悪い』と言って貰う作業ではなくて、自分が『良い』と思っていることを『悪い』と言われた時、『悪い』と思っていることを『良い』と言われた時にどう考えるかという事だと思っています。だから本質的にはわからない事を、理解して行く作業そのものが練習だと考えています。先程引き出しの話が出てきましたが、自分の持っていない引き出しが開くから演劇は面白いと思うんです。1人で台本を読んで、色々考えるんです。でも、相手と合わせた時に全然知らない声が出る。ぼくはこんな風に怒れるんだ、喜べるんだ、という風に。練習はわたしとあなたの間にあるものを探す、みんなで集まる大切な時間だと思います。だからカズの言う通り、一回信じてやってみる。ただそれが間違っていると思うのであれば、それよりも良い芝居を見せるしかないと思います。演出家も、演出家の想像より面白いものが見られるから稽古場に来ていると思うし、そこを楽しんでいると思うから。ホントはいつも演出家は笑って「今日も面白かった」って帰れたらいいと思うんです。それが俳優の仕事だから。だからぼくらは準備します、なにかを楽しむ為に、この場合は稽古ですが、稽古を楽しむには、準備と用意が必要だし、備えがあれば分からないことは減ると思います。

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劇団あおきりみかん『発明王子と発明彼女』

作・演出:鹿目由紀
会場:愛知県芸術劇場小ホール
日時:2014年2月14日 (金)~2月16日 (日)
出演:カズ祥・川本麻里那・花村広大・近藤絵理・登澤良平・篠原タイヨヲ・みちこ・フタヲカルリ・正手道隆・松井純子・木下佑一郎・ギャバ・松井真人

詳細はこちら
http://www7.plala.or.jp/lifu/