大川興業『Show The BLACK』の記者懇談会にお邪魔させて頂きました。
大川興業がこれまで取り組んできた完全暗転での芝居、『暗闇演劇』の10周年ということで、非常に力を入れて今回の公演に臨まれているようです。
大川興業というとお笑いのイメージが強い方も多いと思いますが、演劇の大川興業は非常にストレートに芝居作りに取り組まれています。
●大川豊さん(作・演出)の話
→大川豊さん(以下大川):今回は10年を迎えまして、もう一回原点に戻り、一番最初に作った『Show The BLACK』という作品を名古屋でやらせて頂くことになりました。今回は出演者未公開です。例えば小説を読まれる時、登場人物がどんな服を着ているのか、表情であったりとか、皆さんお考えになられると思います。それと同じように、最後まで人物を想像して終わるお芝居にしたいと思います。『Show The BLACK』は再演となりますけど、密室に閉じ込められた6人の男の脱出劇です。衣装もちゃんと着ていますし、それぞれのキャラクターに合わせて靴も選んでいるので、後半になるともう足音だけで登場人物が分かります。そういった演劇を今回もやらせて頂きたいと思っています。今回は東京の方では視覚障害者で盲導犬を連れてこられる方もおられます。そのような方々にも是非。席は大きく取っておりますので。我々と違い、視覚障害者の方は日常的に感性が研ぎ澄まされていると思いますので、役者の気配等を感付かれるのではないかと思います。暗闇演劇ではお客さんの安全の為に暗視カメラで監視していますが、袖から出ただけで振り向くお客さんとか、役者が捌けていくのが分かる方とかもおられます。
暗闇演劇は一般の芝居とは作り方が違ってくると思うのですが、稽古上で気を付けていることがあれば教えてください。
→大川:最初作った頃は役者の立ち位置が変わってしまうので厳しいかなというのがちょっとありました。きっちりバミりがあるところに立つのは不可能。だから気持ちを優先させることにしました。距離があったら距離なりの。大体暗闇の中で一ヶ月以上籠って芝居を作っているので、距離の感覚は分かってきます。それで、台詞のスピードを多少遅くしたり早くしたり。
アクティングエリアからはずれてしまったりというのはこれまでにありませんでしたか。
→大川:全員ではないんですけど、壁の位置が分かったりとかもしてきます。ずっとやっていると位置関係も分かってくるようになります。そんな大きな舞台でやっている訳ではないので。人によっては熱気で分かる人もいます。
今回暗闇演劇10周年ということで、ハプニングのようなものはこれまでにありましたでしょうか。
→大川:衣装の着替えが舞台上であったんですけど、その衣装がどこにいったのか分からなくなって、気を利かせた役者が拾って袖に持っていこうとしたら、その持ち主がそれを見つけて自分のところにたぐり寄せようとして、芝居中に無言で引っ張り合いをしたりとかありました。最終的には下袖に行きました(笑)。他にも、匂いに敏感になることに気が付きまして、なので、匂い演劇ということもやらせて頂きました。例えば真っ暗闇の中で鮭バターを舞台上で焼いたり。そしたら匂いというのは音と違って一気に伝わらないので、客席後方に届くまでのタイムラグがあるんです。扇いじゃうと匂いの流れの早さで分かってしまうんですね。うまく空調を止めてバターがうまく溶けるようにする練習とかもやりましたね。毎回悪戦苦闘しています。以前コーヒーの匂いを使った際に、女性の方が別れた時を思い出して大泣きしてしまったこともありました。ぼくは演じる側なので分からないのですが、お客さんは自分の思い入れと芝居がクロスすることがあるようです。なので普通の芝居の感覚と違うのかもしれません。アンケート用紙でも『自分に問いかけることが多い』と仰っていました。お客さんの中には舞台の真ん中にいると錯覚される方もおられるそうです。
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大川興業第38回本公演『Show The BLACK』
作・演出:大川豊
会場:愛知県芸術劇場小ホール
日時:2013年11月2日(土)~3日(日・祝)
出演:未公表
お問い合わせ:[電話]03-3457-7625 [メール]o-kawa@okw.co.jp
※視覚障害のある方にぜひ感想をお伺いしたいので、モニターの募集をさせていただきます。
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※応募条件
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②後日、アンケートを返送してくださる方(方法は応相談)。
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