中川運河キャナルアート Project No.4

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11月15日から16日に掛けて行われる『中川運河キャナルアート Project No.4』の会場にお邪魔させて頂きました。

ちょうどお伺いした時間には中川運河に設置する建物の組み立て中で、貴重な風景を見ることが出来ました。

その後、今フェスティバルのディレクターでもあり、メインとなる『CANAL HOUSE』を演出されている浅井信好さんにお話を聞かせて頂きました。

今回は実際の倉庫や運河を舞台にした作品ということで、劇場や美術館とはまた違うアートの形を見せてくれそうです。

●浅井信好さん(演出・振付)の話

――今企画が始まった経緯を教えてください。

浅井信好さん(以下浅井):2回目のキャナルアートの時にたまたまTwitterで、ぼくの出身である『山海塾』の作曲家の方が告知をリツイートされていて、地元に凄く近いこともあり「何か出来ることがあったらやらせてください」と連絡したのが最初です。それでその年にぼくと奥野でワークショップをやらせて貰って、2012年には新作をソロで出しました。そして今年はフェスティバル全体のディレクターとしてやらせて頂くことになりました。また、これまでのイベントでは小さいコンテンツをたくさんやっていたんですけど、今年はひとつのコンセプトの中でやりましょうということで、『Nature』『Landscape』『Human』という、ある既存の風景をアートによってどのようにイノベーションしていくかという考えの下でディレクションをしています。

――今作品は『屋内』と『野外』とふたつの場が存在していますが、その意図を教えてください。

浅井:元々中川運河に作られた島でパフォーマンスをやるということで動いていて、たまたま視察でぼくだけパリから戻って来た時にこの倉庫を見させて頂いたんですが、形状的に中二階があるとか凄く格好良い空間だったんです。色々な可能性を秘めている形状をしているし、リンナイさんからも何か面白いことが出来ないかという話をされていたので、「じゃあここでパフォーマンスやったらいいんじゃないですか」と。ここでしか出来ない何かをやってみませんかという提案をしたんです。それで急遽室内でもやることになったんです。

――作品作りをする上で大事にしていることがあれば教えてください。

浅井:うちのカンパニーは『視覚的に認識出来ないものを認識出来るようにする』というのがコンセプトになっていて。例えば劇場だと客席があってステージがあって、その真ん中にひとつの境界線があるんですけど、それをどうにか取りはずれないかということを考えていて。ぼくらもお客さんも唯一共有しているのが空気であって、自分たちが空気をコントロールして、お客さんの周りにもその空気が流れが来ていると錯覚するような振付けが出来ないか。例えば風景があって、そこに一人の人が立っているのをぼくたちが見た時にそれを風景として捉える。でもそこに立っている人が演技だったりポーズを取った瞬間に『風景』と『人間』というレイヤー構造が出来てしまう。だから今回は既存の倉庫にアートと肉体を持ち込んで新しい風景が違和感無く作れたらいいなと思っています。あとこの辺は名駅から近いのにランドマークというのが少なくて、植物の家を作ることで外から人が来たらいいなという願いも込めています。

――今作の見所を教えてください。

浅井:この中川運河を発信基地としてアートを外に発信していきたい。なので名古屋の方に参加頂くのも嬉しいですし、もっと色々なものに興味を向けていって欲しい。だから今回は単純に楽しめる作品にしたいと思っています。純粋に音楽が楽しめて、水上の美術が楽しめて、中川運河がこんなに良い所なんだと思って貰える手助けをするのがぼくらの作品なんです。元々ある風景をアートを通して価値観を転換していければいいなと思っています。

●奥野衆英さん(ダンサー)の話

――ダンスを作られる上で大事にしていること、意識されていることがあれば教えてください。

奥野衆英さん:ぼくの場合はリズムを凄く大事にしています。簡単なようで、間が半テンポずれるだけで意味が変わってしまう。特に今作の場合、振付けがストーリーを語っていたりとか、相手とコンタクトした瞬間離れたりもするので。一瞬見ただけで離れると関係が持ちそうで持たない。もう1秒見るだけでそれを見てる人達が関係性を凄く想像出来る。もちろん振付けの意図を読み取るのも大事なんですが、作品を磨いていく段階になっていくと、振付けをやるのが当り前でそこから作品を良くする為にどうするか。それが間だったり角度だったり。それらを毎回同じクオリティで伝える為にその間や角度を探していく作業になっていきますね。

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中川運河キャナルアート Project No.4

会場:リンナイ旧部品センター・水上ステージ
日時:2014年11月15日(土)〜16日(日)

詳細はこちら
http://www.canal-art.org/