劇団妖帝デカダンス『女殺油地獄』

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劇団妖帝デカダンス『女殺油地獄』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

今作は『板橋ビューネ』という古典の上演をメインとしたイベントに参加される作品とのことです。公演も近いこともあり、非常に熱のこもった演技を見せていました。

前作も昭和の独特の雰囲気が漂う作品でしたが、今作の台本に選ばれたのが女殺油地獄ということもあり、どんな妖しい世界を見せてくれるのでしょうか。

●真宮広義さん(演出)、ふくゆきさん(出演)の話

今回この板橋ビューネに参加されたきっかけを教えてください。

→真宮広義さん(以下真宮):元々この企画のことは知らなかったのですけど、七ツ寺関係者の方とベケットの話をしていまして、そこから次第に古典の話になり、応募してみませんかと誘われました。

女殺油地獄を台本に選ばれた理由を教えてください。

→真宮:板橋ビューネという企画は古典を中心に上演しているもので、イプセンの『人形の家』よりも前の作品、という条件が付いていたんです。そうなるとギリシャ悲劇とかシェークスピアとかになる。なら日本人として日本のものをやろうと漠然と考えていたのですが、そうすると江戸の歌舞伎とかになってくる。そこで近松門左衛門の『曽根崎心中』をやってみようかなと思ったんですけど、この作品を劇団妖帝デカダンスの名前でやるのはどうよと(笑)。絶対奇を衒ってくると思われているだろうから、なら女殺油地獄をやろうと。

演出上で気を付けていることや狙い等はありますか。

→真宮:名古屋のお芝居であまり見れない感じのものをやりたくて。わりかし感情が先走っている恋愛もの。更に言うと大人の恋愛もの。ぐちょっとしたエグイ大人の恋愛。そういったものを描けたらなと思いとしてあります。なおかつ江戸の頃は寿命も短いし、想像ですけど、ロマンスも若い年齢でしていたのではないかと。結婚も早い年齢でしたし。今回集まって頂いたキャストも若いので、いっそのこと現代にして若い年齢の人達が当時のロマンスを演じたらどんな感じになるんだろうなと。それを今のお客さんが見た時に古典ではあるけど、現代と比較出来るのが面白いし、違った切り口になるんじゃないかな。また現代の人が見て分かりやすく演出はしていますね。

→ふくゆきさん:ト書きで役者の動きが示されているのでそこに向かって感情や動きを持っていくのに気を使っていますね。

→真宮:今回は露骨に書き直しています。原作のままだと読みにくくてしょうがないので。歌舞伎は動きも結構きちんと奇麗に作るイメージがあるので、動きもある程度指定しておいた方がポーズが取りやすいかな。個々の個性を汲み取る時間も無かったというのもあるんですけど、ある程度指定しておいた中でいかに奇麗に決めていくのか。その方が映像にブレが無いかなと。

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劇団妖帝デカダンス『女殺油地獄』

演出:真宮広義
会場:七ツ寺共同スタジオ
日時:2014年10月18日(土)~19日(日)

詳細はこちら
http://itabashi-buhne.jimdo.com/