朗読『山月記』を公演される久保川真守さんにお話を伺って参りました。
クセックに在籍されていた久保川真守さんが名古屋の表現者榊原忠美さんと共に語る朗読劇です。そして更にヴァイオリンという要素も加わり、非常に上質な作品が観られそうです。
この3人が構築する世界観だけでもひとつの見所になり得ると思います。
ひとつでも刺さるものがあれば是非足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
●久保川真守さん(出演)の話
――今回の企画を立ち上げたきっかけを教えてください。
久保川真守さん(以下久保川):元々劇団クセックに5年いまして、作品に出たり、スペイン公演にも行ったりしました。そこで榊原さんに惚れ込みまして。『木を植えた人』という朗読劇を観た時に本当に感動したんですよ。人間にこんなことが出来るのか、声だけでこれだけ世界が作れるのかと。それで自分もやってみたいと思いました。とりあえずまずは一回やってみようと立ち上げましたが、出来ることなら続けていきたい。榊原さんが忙しい方なので、年に一度でもやっていけたらと考えています。
――『山月記』を今回の題材に選ばれた理由があれば教えてください。
久保川:榊原さんから提案がありました。昔からこれをやろうと思っていたらしくて。僕なりの考えなんですが、『山月記』って80年位前の作品なんですけど、今でも十分通じると思うんです。人間って抱えるものが色々あって、それが闇の部分に繋がることもある。結局李徴は虎になってしまうんですけど、それが犯罪に繋がったりすることもあると思うんです。そういう意味でも今この作品をやることに意義があると考えています。
――演出上でこだわっている点を教えてください。
久保川:誰もが李徴になりうると思うんです。だからどちらが李徴って決めていないんです。詳しくはまだ言えませんが、その辺にはこだわっています。あとヴァイオリンの熊谷祥子が凄い方なんですよ。榊原さんがよく言うんですけど、音楽をやる上で、絶対にBGMにはしたくないと。ヴァイオリンはヴァイオリン、語りは語り。その調和を楽しんで貰おうと思っています。
――今作の見所を教えてください。
久保川:会場も雰囲気があって、窓から堀川が綺麗に見えたりとか。石の壁があるとか。今回の作品に向いている会場じゃないかなと思います。それと、僕と榊原さんの年齢差って40くらいあるんです。僕の若い語りと榊原さんの熟練した語り。そして洗練されたヴァイオリン。その3者を楽しんでください。簡単に分かる話じゃないのですが、音や世界だけでも十分楽しめると思います。
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『山月記』
原作:中島敦
会場:ギャラリー+カフェ ブランカ B1シアター
日時:2020年1月31日(金)〜2月1日(土)
朗読:久保川真守、榊原忠美
ヴァイオリン:熊谷祥子