テアトロ・マジコ『千夜一夜物語』の稽古場にお邪魔させて頂きました。
この日は自主稽古中心の日でしたが、長い期間稽古を続けているだけあって、皆さん非常にテキパキと準備を進め、全体での必要なシーンの確認や、各自の調整に余念がありませんでした。また、演出の涙さんが毎回重視されているスピード感のある台詞回しについても、座組に徹底されているのが短い時間にも感じることが出来ました。
ですが涙さんにとってはまだまだこれからということなので、ここから本番までのラストスパートでどれだけレベルアップをされていくのか楽しみです。
●涙銀子さん(作・演出)の話
テアトロ・マジコでは毎回一般から役者を募集されて公演を行ってきていますが、涙さんが求める役者の基準みたいなものはあるのでしょうか。
→涙銀子さん(以下涙):こちらから声を掛けてというのはこれまであまりしていなくて、オーディションを開いて、参加された方の中から出て頂くという形。基準みたいなものは特になくって、ワークショップをやる中で見ていって、その場で答えを出していくという感じですね。
今回のチラシに『子供向けでも大人向けでもない、少し寂しげな人間向けの……』という文章があるのですが、あの文章に込められた意図を教えてください。
→涙:一般では『アラビアンナイト』と言うとお子さんがよくご存知だし、一方で『千夜一夜物語』と言うと大人向け文学なんですよね。アラビアンナイトだと「子供向けなんだな」とか、千夜一夜物語だと「大人向けだから子供連れちゃまずいかな」とか、その両方があるので、自分の劇団のイメージを踏まえた上で、誰に取ってもいいんだよ、子供向けでも大人向けでもないんだよってことを伝えたかったんです。この作品にはアラジンとかシンドバッドとか有名な話がたくさんあるんですが、それを子供向けのファンタジータッチだけでは作りたくなくって、残酷な話も入っているので、そういう部分もポピュラーにしていきたいと考えています。
今回演出上で意識していること、やってみたいことがあれば教えてください。
→涙:今回だけに限らず、役者が生であるということであるとか、お客様にとっての芝居になるように、客観的な視点でクオリティを上げるように心掛けたり。あとはスピード感とか呼吸とかを楽しい感じにしたいなと思っています。また、ぼくは中東のことって全然知らなくって、それで勉強をしていくととても豊かなものがそこにあるってことが分かってきたんです。イスラム教はもう全てのものが入っていて、それこそひとつの宇宙のような。なのでその宇宙をどう伝えていくかってことなんですけど、テアトロ・マジコ風にやろうと思うと、ファンタジックでお笑いがあってスピードがあって、泣かせてってところです。
+++++
テアトロ・マジコ『千夜一夜物語』
作・演出:涙銀子
会場:千種文化小劇場
日時:2014年1月30日(木)~2月2日(日)