俳優館『夏の夜の夢』の稽古場にお邪魔させて頂きました。
俳優館さんが定期的に行っている『夏休みファミリー劇場』となります。
荒通しの過程を拝見させて頂きましたが、シェイクスピアの本をベースとした鹿目さんの視点と、そこにプラスしてほりさんによる舞台を壮大に使う演出が見られました。
せちがらい世の中に於いて、子ども達に夢を与えられる作品を上演することはとても有意義なことだと思います。是非ご家族皆で観劇ください。
今回はメールインタビューをさせて頂きました。
●森釗さん(プロデューサー)の話
――『夏休みファミリー劇場』を毎年続けられておりますが、その企画意図と、始めたきっかけを教えてください。
森さん:何よりも子どもたちに夏休みの楽しい贈り物を提供したい。しかも出来るだけ安く。難しい内容も易しく、夢を描いたり、今生きている社会のこと、平和のことを考えたりするきっかけになるようにと言う思いでスタートしました。「アンデルセン物語」「どうぶつ会議」「アラビアンナイト」「はだしのゲン」などをミュージカルで作ってきました。
●ほりみかさん(演出・振付)の話
――これまでに何度か鹿目さんの戯曲を演出されていますが、鹿目さんの本を演出する面白さ、また難しさがあれば教えてください。
ほりみかさん(以下ほり):鹿目さんの本は、わかりやすくてテンポが良い。が、一つの場が細かいので、切り替えや転換に頭を傷めることがあります。
――今作の演出で特にこだわっていることを教えてください。
ほり:今年は『夏の夜の夢』流行りで、名古屋でも何本か上演される。実は、わたしは今まで何本も『夏の夜の夢』を観たが、面白かった試しがない。また、外人の名前は頭に入りにくく、意味がわからなくなったりする。その辺を踏まえ、今回は【夏休みファミリー劇場】ということもあり、子供に解りやすく、を考えた。解りやすいだけでなく、楽しんでもらい、堅苦しく捉えがちなシェイクスピアに興味を持つキッカケになってくれたら。と思う。
●稲吉直人さん、みやちともこさん、野田雄大さん(出演)の話
――今回の役と普段の自分との相違点を教えてください。
稲吉直人さん(以下稲吉):今回の公演では、テーマパークの運営者の清水と劇中劇のシーシアスをやらせていただいています。普段、演じる時は役を自分に寄せて演じています。そのシーンの状況や役の立場を自分に置き変えて、自分だったら、こういう状況なら、こう言うなとか。ですから、あまり相違点は考えていません。すみません。強いてあげるなら、清水は自分よりかなり奥手な性格のところです。
みやちともこさん(以下みやち):私の役、本山亜美は、憧れのテーマパークにどうしても入りたくて、夢を描いてオーディションを受けに来る女の子です。私もそうでしたし、今もそうです。私の周りにもそんな熱い思いを持っている人がたくさんいるので、そんな彼女達にも自分にも勇気を与えられるように演じたいと思います。
野田雄大さん(以下野田):今回は劇中劇なので、ある意味、二役演じさせて頂いているのでそれぞれ比べてみようと思います。まずパック演じる桑野くんはとても真面目で夢に向かって一生懸命で空気が読めないくらい真っ直ぐな人。なんていうかとても『若い』んです!これは相違点がどうこうというより彼とは正反対な人間ですよね僕は…。あとパックは妖精なんで、存在自体が異質ですよね。
――今回の役を演じる上で特にこだわっている点、意識している点を教えてください。
稲吉:意識している点は、清水が劇中劇でシーシアスを演じる場面です。清水は、業務提携する、かつての仲間、東山妙子に想いを寄せていた役なので、その東山妙子は、劇中劇でヒポリタの役を演じています、清水とシーシアスを、どうリンクさせるられるかとういうところです。
みやち:シェイクスピアの作品は、約400年前に書かれたものですが、今を生きている自分達と同じように悲しみ喜ぶ人間の普遍性がおもしろいと思うので、共感してもらえるように、そして、夢はかなう!!ということを感じてもらえるように演じたいと思います。
野田:これもそれぞれ。まず桑野くんは上記のように真っ直ぐな若者なので、自分の闇と向き合って、闇が漏れ出ないように抑え込みながら、を意識して演じています。パックは、とにかく人でないことを意識させるように動きたいと考えています。話す時の仕草や、立ち振る舞い、テンション、これらが普通の人に見えたら嫌だなーと、そうならないよう常に心掛けています。
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俳優館『夏の夜の夢』
原作:W.シェイクスピア「A Midsummer Night’s Dream」より
脚本:鹿目由紀
演出・振付:ほりみか
音楽:雨宮賢明
会場:名古屋市芸術創造センター
日時:2017年8月10日(木)~12日(土)
詳細はこちら
http://www.hi-you-can.com/