テアトロ・マジコ『アリス・イン・ワンダーランド』の稽古場にお邪魔させていただきました。
この座組には演劇に初めて触れる方も多く、非常に長い時間を掛けて今公演の準備をしてきているようです。演出の涙さんが稽古場で口に出す言葉はとても深く、基礎になる部分を大事にしつつ、役者の内面にある力を最大限引き出していこうとする意図を感じました。厳しいことを言いつつも最後にはフォローも忘れない、気持ちの良い緊張感がある稽古場でした。
●涙銀子さん(脚本・演出)のお話
今回の題材が『アリス・イン・ワンダーランド』ということですが、どうしてこの作品を選ばれたのでしょうか。
→きっかけとなるのは、前回『真夏の夜の夢』をやった時に、和先生((株)天野有遊プロモーション 代表取締役 和園子)のヘアメイクが凄くファンタジックでアートっぽかったので、「こういうので夢の世界って構築できるんだ」と思って。テアトロ・マジコ自体がそういう夢の世界を求める方向でしたし。
円形劇場での演出で気を付けていることはありますか。
→難しいですよね。真ん中にブツ立てると逆側から見えなくなったりしますし。また、役者さんの世界の開き方が、一面から観られているという動きになっている。生理的に。それを壊していくってことを常に言っていますね。
テアトロ・マジコは演劇初心者も参加しているということですが、そこになにかしらの意図があるのでしょうか。
→これまで芝居に長く関わってきましたが、演劇というものが自分にとってどういうものかというのを最近考えました。ぼく自身も音楽をやっていたり、絵を描いたりしていますが、演劇というものをジャンルにこだわらず表現として捉え、そういった表現を人に観てもらう場、として考えています。そして芝居を作る時に、この人はいい役者さんだから使う、というようなプロデュースの仕方をするのではなく、誰の中にもある表現の魅力みたいなものをちゃんと鑑賞に堪えられるようにもっていく、というようなことをしたい。表現は誰のものでもある。そういう意味で、「初めてでもいい。でも絶対にちゃんとやろうな。甘えは無しだよ」ってやる。うちはワークショップから始めて、期間を凄く長く取る。今回は半年くらい取っています。そしてワークショップでは「自分自身が主役だからね」と言っています。自分を信じるところから始まって、キャリア関係なく、鑑賞に堪えられるものを作るには、世界を作る。表現、躍動している姿を見せる。そういうところまで半年で飛ぶぞ、そういうことを繰り返している集団ですね。
それだけ長い期間やるとなると、スケジュール管理から大変そうですね。
→ぼくは昔から劇団という単位でやってきて、役者やってプロデュースしてって全部自分でやってきましたが、今回は皆で手分けしてやっています。始めてそういうのをやったんですね。スタッフワークも分けてやっています。信頼関係があれば大丈夫ですね。
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テアトロ・マジコ『アリス・イン・ワンダーランド』
会場:千種文化小劇場(ちくさ座)
日時:10月5日(金)~8日(月祝)
料金:一般/2800円 中学生以下/1800円