丹羽亮仁 さん

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弥富又八さんより、バトンを受け取りました。ありがとうございます。
丹羽亮仁と申します。
初めましての方は初めまして、そうでない方は今後ともよろしくお願いします。

自己紹介ということですので、肩書きだけを箇条書きしますと、
俳優をしています。
劇団劇座所属
劇団AlkTheater所属
俳優養成所 名古屋劇塾 演技講師
avex名古屋アーティストアカデミー演技講師
レイズイン 声遊塾 名古屋校 演技講師
ドリームミュージックオフィス演技講師
RADA short course in acting skills Certificate 所持
筋整流法 診断施術士

あとは、ちょこちょこと戯曲を書いたり、ラジオドラマの台本を書かせてもらったり、演出をさせて貰ったり、趣味でロシア武術のシステマをやっていたり、舞台写真を撮らせていただいたり、たまにギター担いでライブにでたり、演劇を学ぶ上で得た知識でアートセラピストとして老人ホームを回ったりしています。若い頃は大道具を担当していまして舞台監督の歴もそこそこあるので、いまでも大道具で声がかかったり、舞台監督を頼まれたりもします。

さて、でましたね。舞台監督、ここで弥富さんからの質問の「舞台監督は斯くあるべき」「舞台監督ってなにをする人?」に答えたいと思いますが…。

これって難しいんですよね。まず舞台監督がなにをする人ってのが実は厳密には決められてない。でもだからこそ、この質問はこの順番じゃなければいけないのだと思います。

一言でいえば、演出のイメージを具現化する人。だから演出がなにを作りたいかを熟知していないといけないし、それがわかった上でどのようにすればそれが具現化するのか考える人。そのために関係各所の調整、進行管理をする人でしょうか。

だから映画監督というイメージよりも現場監督の役割です。

そして、現場監督である以上、その最大の役目は事故が起こらないようにすること。これに尽きると思います。

で、舞台監督が具体的にどんな事をするのか。これはもう飽きれる程膨大にあります。

まず最初にやる事は台本を読む事です。台本がなければ演出と話をします、やりたい事とイメージを共有するためです。それで大道具、小道具、照明、音響、衣裳、場合によっては特殊効果などがどの規模になるのかを大まかに掴みます。

予算会議や演出会議はない場合も多いですが、制作への予算の助言や作業スケジュールの作成、舞台上のギミックなどの安全性と確実性の検証、小道具や舞台セットの転換の段取り、稽古場での仮の道具やセットの手配、衣裳の早替えなどか可能かの検証、転換表や香盤表の作成、舞台図面や道具表の入手確認、搬入口の大きさや場所の確認。搬入車両の管理、タイムテーブルの作成、各種の申請、打ち合わせ等、パッと思いつくだけでもこれくらいはあります。これらのほとんどが各所の連絡と確認を経てからじゃないとできないことなので結構大変です。

同じ小屋でやったり、演出家やスタッフとも付き合いが長くなれば、信頼で省ける部分が多くなってきますので実際にはそれほどではないのですが。それにしても劇団の仲間の協力があるからこそ出来る事ですね。個人的には他のみんなが気付きにくい事とか忘れがちな事を口うるさく言って嫌われたり「いつか誰かがやる仕事」をやる人くらいのつもりでいます。

先ほど厳密には決められていないといいましたが、舞台監督の仕事ってカンパニーによっても理解が様々で仕事内容がすごく違うんですね。またオペラやバレエ、コンサートなんかだと勝手がまた違います。昔オペラの舞台監督をやったときには、楽屋割りまで決めましたし、200人から居る出演者とオーケストラさんのそれぞれ違う入り時間をやりくりしてブロッキングとかやっていたので、「9:00入りね」でちゃんとみんな9:00に来てくれるカンパニーは天国みたいです。

役者の視点を含めてということですと、やたらと怒ったり権威的だったりしないこと、それでいて危険な事にはしっかり注意できる方だと安心です。僕自身役者でもあるのでその辺の切り替えはとても難しいですが、やはり一歩引いて見なければいけないので孤独を感じる時もあります。

どちらか一方だけなら、それぞれの緊張感はありますが、ずっとそのモードでできるので気自体は楽です。名古屋には役者やりながら舞台監督されている方が何人かいらっしゃるので、一度その辺についてお話してみたいですね。

さて、そろそろ次にバトンを回す方を紹介しましょう。

劇座の俳優、末吉康治です。彼のチャレンジ精神に溢れ、パワフルで繊細な芝居、そしてどんな役でも自分のものにしてしまう強烈な華は僕の憧れでもあります。

では末吉さんに質問です。「舞台の上で閃くと、体が動いてそうしてしまう」との名言を残している末吉さんですが、その閃きが起こるためにしている事や気をつけている事はありますか?

それでは皆様、長々とお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

どこかでお会い出来る事を楽しみにしております。