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映画『PERFECT DAYS』プレミア上映後Q&Aレポート


ⓒJulie Cunnah

現在開催中の第61回ニューヨーク映画祭にて本作のプレミア上映が【現地時間10月11日】に行われ、上映後に、主演を務めた役所広司さんと高崎卓馬さん(共同脚本・プロデュース)がQ&Aに登壇。

本作は役所広司さんが第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。さらに第50回テルライド映画祭、第48回トロント国際映画祭、第71回サンセバスチャン映画祭、第43回台北金馬映画祭と名だたる映画祭に招待されるなど、世界中の映画祭を席巻。先日米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表選出が決定し、10月23日から始まる第36回東京国際映画祭ではオープニング作品としてアジアプレミアを予定。世界80国での配給が決定しています。

今のこの瞬間瞬間を大切に生きる

役所のために書かれた平山という役を演じるにあたり準備したことを問われると、「こんなにもすばらしい役を高崎さんとヴィム・ヴェンダース監督が書いてくれて幸せです。役を演じるにあたって一番大切だったことはやはり、トイレの掃除をきちんとプロのようにみえるように練習することでした」と役所。

平山の行動や感情を、脚本からどのように捉えて演じたのか問われると、役所は「台詞は少ないけれどもとても美しい脚本で、そこから想像されるキャラクターに近づくために、毎日毎日トイレの掃除をしながら、サンドイッチを森の中で食べて、お風呂に入って、好きな本を読みながら満足して眠りにつく男というのは、どういう人だろうと思い浮かべながら撮影をしていました。本当にドキュメンタリーのように、ほとんどテストがなく、本番だけを繰り返して撮っていたので、まるでそこで本当に生活をしているような撮影でした。もう二度と訪れない、今のこの瞬間瞬間を大切に生きるという風に心がけて演じました」と、撮影時のことを思い返すように丁寧に語った。

スクリーンに映っていない部分がちゃんと出るように

ヴィム・ヴェンダース監督と共同で脚本を担当した高崎は、監督との脚本づくりについて、「最初からヴィムとは、フィクションの存在をドキュメンタリーのように撮ろうと話していました。脚本については、ものすごく台詞が少ないので、僕の娘は“お父さんはあんまり仕事してないんじゃないか”と思っていると思うんですけど…(笑)。ヴィムも僕も心がけていたのは、書いていないものをちゃんと書く、スクリーンに映っていない部分がちゃんと出るように、ということです。そして脚本に書いていないものを映像にするというのはやっぱり役所さんじゃないとできなかったなと思います」と語り、役所の“平山”としての佇まいを絶賛した。

印象的な音楽の使われ方、選曲について問われ、「みなさんご存じの通り、ヴィム・ヴェンダースという方は映画における音楽の使い方が世界最高のディレクターだと思います。彼と“平山は何を聴いているのか”と、一緒に選曲をしていきました。脚本の段階で音楽のリストはほとんど出ていたのですが、いちばん驚いたのは、平山が聴いている音楽以外使わないということをある段階で決めたことでした。感情を説明する音楽を入れるんじゃなくて、平山さんが聴いているもの、観ているものを僕たちは受け取るという、その線をきちんと引いたということが彼の素晴らしいディレクションだなと感じました。」と高崎。

そういえばこんな生き方もあるな、と思ってくれるといいな

最後に役所が、「平山さんは、財産といえるものは何も持っていないけれども最低限の生活で日々満足して眠りにつける人物。東京でもニューヨークでも、お金さえあればどんなものも手に入るけれど、手に入れても満足することがない生活をしている人が僕を含め多い中、平山さんは、コンクリートだらけの大都会の中でもひとりだけ、テレビもインターネットもなくて、彼に情報が入ってくるのは彼の耳と目で見るものだけ。森の中で心地よく住んでいるような感じがしました。都会の人たちが、そういえばこんな生き方もあるな、と思ってくれるといいなと感じました。」と観客へのメッセージを送り、Q&Aは締めくくられた。

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監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、 高崎卓馬
製作:柳井康治
出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和
製作:MASTER MIND 配給:ビターズ・エンド

詳細はこちら
https://perfectdays-movie.jp/