劇団クセックACT『ヌマンシア』の稽古場にお邪魔させて頂きました。
稽古場に入るといきなりとんでもない物を見せられました。相変わらずスケールが大きい劇団だと思わざるを得ない光景でしたが、それを書けないのが残念です。
稽古が始まり、クセックACTならではの台詞回しや動きを存分に見せて頂きました。
ここでしか観られない唯一無二の作品です。
●神宮寺啓さん(構成・演出・舞台美術)の話
――普段からスペインの戯曲に取り組んでおられますが、その中で今作を上演することになったきっかけを教えてください。
神宮寺啓さん(以下神宮寺):元々はアルマグロのフェスティバルの時に、そこの委員長から『ヌマンシア』という作品があるけども、それをやるなら招聘するよと言われたのが最初です。それまでは名前は知っていたけどどういう作品かも分かっていなくて。でも読んでみたら面白いかったのです。結果、委員長は、我々の作品を観ずに招聘してくれたのです。
――ある意味信用されていたんですね。
神宮寺:そうですね。それでやってみたらそこそこの出来だったので。近年、セルバンテスの作品をやりたいと思っていたので、『セルバンテス没後400周年』というメモリアルもあってこの作品を選びました。昨年のドン・キホーテであり、ヌマンシアであり、来年にはまた違うセルバンテス作品をやることになります。
――初演から変えている部分はありますか。
神宮寺:田尻さんの本が出版されるので、もう一度精査して翻訳し直しされています。でもだからと言ってそれほど変わる訳でもないです。演出上では3つの時間軸を作っていて。BC2世紀、ローマ帝国がヨーロッパを制覇している時。スペインもそのひとつだったんですけど、ヌマンシアではローマに屈せず自害していく。そしてセルバンテスがそれを書いた時代。17世紀。そして現代。その3つの時間軸を立体的に、目に見える形にしたい。ヌマンシアという空間の中でそれをどう共存させていくか。それがお客様にどう映るのか。翻訳を読むだけではそれは出てこない。
――今作の見所を教えてください。
神宮寺:まずは今言った軸の部分でしょうね。現代を榊原が担い、セルバンテスの時代を吉田憲司と火田詮子が。これを観て頂く時に前もってそれを知っているかどうか。なのでパンフレット上でも活字にしてあります。あとは再演とは言っていますが、ぼくは再演とはあまり思っていなくて、新しい作品だなと思っています。再演というのはやったものをそのままやることであって、ぼくらの場合は再演とは違う。新たに創造しています。
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劇団クセックACT『ヌマンシア』
翻訳・構成・脚本:田尻陽一
構成・演出・舞台美術:神宮寺啓
会場:愛知県芸術劇場小ホール
日時:2017年5月1日(火)~4日(金)
詳細はこちら
http://www.ksec-act.com/