妄烈キネマレコード『眠れる夜のバカ』

妄烈キネマレコード『眠れる夜のバカ』の稽古場にお邪魔してきました。

劇団員、客演共に同世代が集まっているだけあって、非常に仲の良い座組で、ウォームアップから常に笑いの絶えない稽古場でした。ウォームアップにしても、台本を持った稽古にしても、演出の西尾武さんは瞬間的なリアクションを非常に大事にされている方だと感じました。

いつもコメディー要素のある作品を作られている妄烈キネマレコードですが、今回はコメディーがメインの作品作りをされているようです。どのような喜劇を提供してくれるのか楽しみです。

●西尾武さん(作・演出)、澤井しおりさん(出演)の話

今回初めてコメディーを書かれたということなのですが、これまでとの書き方の違いや苦労した点を教えてください。

→西尾武さん(以下西尾):今回テーマ的には重たいんです。それをいかにコメディーだけに寄せるかというところです。出来るだけ暗いシーンがないように作っています。その神経の使い方が半端ない(笑)。一番は空気を停滞させないこと。今回はほぼ出ずっぱりなんです、役者が。なので、全体での空気感を出しながら個性を出す。そこがこれまでとは違いますね。

今作品で試みていることがあれば教えてください。

→西尾:一幕ものってことですね。ワンシチュエーション。これまででは初めてですね。また、今回とりわけ、『オン』の状態でやってもらっています。普段は『オフ』の状態なんです。そこがこれまでとは違います。オンというのは、ちょっと面白いこと言ってやろうとか、そういう状態です。友達個人と接するテンションと、5人くらい友達が集まった時のテンションの違いみたいな。今回は常にオンで行けと言っています。そこで時折オフにすることで人間性が見えるというか。

これまで澤井さんは色々な方の演出を受けてこられていると思うのですが、西尾さんの演出の特徴があれば教えてください。

→澤井しおりさん:結構これまでにも役者の魅力を出したいという演出家さんが多かったんですけど、その中でも素に近い状態です。これまではあくまでもキャラクターというものはあったので。当て書きと言っても、本人ではない部分もありました。でも、ここでは台本を読み合わせしていて、自分が言った台詞がそこに書いてあったり、自分のリアクションに近い。我々の演技がヘタクソだから、出来ない技術を使って演技をするよりも、リラックスした状態で演技するほうが面白いという意図でやっていると思います。

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妄烈キネマレコード『眠れる夜のバカ』

作・演出:西尾武
会場:ナンジャーレ
日時:2013年8月22日(木)~26日(月)
出演:西尾武・中村繁之・藤崎アンジェ・芝原啓成・澤井しおり(以上、妄烈キネマレコード)・青木謙樹(劇的ショウゲキジョウ)・カズ祥(劇団あおきりみかん)

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http://kinema-record.com/