双身機関『三人姉妹』

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双身機関『三人姉妹』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

名古屋に於けるアングラ演劇の雄というべき団体です。

会話を中心とするチェーホフの本を身体表現を得意とする双身機関がいかに取り組むかという所に注目していましたが、ひとつひとつの事象に対し、感情と身体とを丁寧に確かめるように作られていました。

演出的にも色々な取り組みをされるようで、どんな作品に仕上げるのか非常に楽しみです。

●寂光根隅的父さん(演出・出演)の話

――今作の題材に三人姉妹を選ばれた理由を教えてください。

寂光根隅的父さん(以下寂光):チェーホフって学生の頃から読んで面白いとは思っていましたし、もちろん影響を受けていましたし、鈴木忠志の作品も沢山観たし。でも自分でやるとは思っていませんでした。リアリズム演劇の象徴的な作家ですし、ぼくは寺山修司に影響を受けて芝居をしてきたので、所謂アングラ的手法でチェーホフをやるというのはあまり考えたことが無かった。でも昨年チェーホフフェスティバルというのがあって、そこで知り合いから声が掛かって出ることになりました。それで何をやろうとなった時に、SCOTの芝居を観て、後ろでウダウダ喋っている3人の男達が面白いと思ったんです。高尚で哲学的な事を喋っているんですけど、人の家に押し掛けて日がな1日飲んで食べてダラダラしている人達。これは今の日本に通じるものがあると感じました。いっそ男達を主役にした三人姉妹が作れるんじゃないかと思いました。

――今作の演出上で意識されていることを教えてください。

寂光:女達は生活者なんですけど、男達はそうじゃないんです。もう退役してしまっていたり。戦争やっていない時の軍人は暇なもんでしょうし。そしてそれを視覚化する装置としてブランコを用意しています。そこでブラブラしながら喋っているのですが、話が進むにつれてそのブランコが段々降りてきて、遊んでいたのがとうとう地上に降りざるを得なくなる。そういう視覚的な表現を考えています。それを東京でもやりたかったんだけど、旅公演でやるのは難しくて断念しました。今回七ツ寺を選んだのはこれを実現させたかったからです。

――今作の見所を教えてください。

寂光:作中で小津安二郎の『東京物語』と100年前のロシアとがシンクロするシーンがあるんですけど、それを観て頂きたい。小津安二郎も50年前になっちゃうんですけど、あれもまだ今の日本に通じるものがあるので。それも合わせて、今の日本を考えてみて貰いたいと思っています。

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双身機関『三人姉妹』

脚本:アントン・チェーホフ
演出:寂光根隅的父
会場:七ツ寺共同スタジオ
日時:2018年6月30日(土)~7月1日(日)
出演:後藤好子、田中りえ、加藤真紀子、笹岡豪、酒井稔、菊正、ナオスケ、獅子見琵琶、寂光根隅的父

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https://soushinkikan.jimdo.com/