俳優館『森は生きている』の稽古場にお邪魔させて頂きました。
いつものように沢山の出演者がおられて、非常に賑やかな稽古場でした。
今作は児童演劇の先駆け的な作品として何千回も上演されている作品であったり、演出のふじたあさやさん自身も60年前にテレビ用に作ったことがある作品であったり、非常に歴史のある作品の上演となります。ただ現在の若者に向けて見やすくする努力も沢山されているようで、きっと時代時代で色々なバージョンが生み出されているのだと感じました。今作も歴史のひとつになるのかもしれません。
家族の皆様で楽しめる作品です。
●ふじたあさやさん(上演台本・演出)、志村友美さん、なかむらさりあさん(出演)の話
――今作を演出される上で意識されていることはありますか。
ふじたあさやさん(以下ふじた):実は1956年頃にテレビで一回やってるんです。54年が日本初演なんです、俳優座で。それをNHKでやるってことになり、その台本を僕が書いているんです。俳優座の本をテレビ用に作り変えまして。影絵のお芝居なんですけど、今回もご協力頂いているかかし座。そして、その時の作曲家も同じく林光さん。僕が22かそこらの時。なんせ60年前の台本ですから、古い日本語なんですよ。それを今回は新しい、今の感覚で喋られるようにしました。
――演出面で意識されたことはありますか。
ふじた:これまでとは舞台が全然違い、三方に客席がある劇場ですから。初演はモスクワ芸術座の額縁舞台なんですが、今回は円形の立体的な空間でやる訳ですから、新しい試みばかりなんです。
――ふじたさんの演出の特徴を教えてください。
なかむらさりあさん(以下なかむら):一番苦労したのはアクセントですね。注意されたりして。名古屋弁を。
ふじた:名古屋の俳優さんは言葉は違わずアクセントだけが違うので通じてしまうんですよ。東京の人と喋っていても。なのでご自身で気付いていない訛りがたくさんあります。
志村友美さん(以下志村):呼吸だったりとか、間を取るとすぐにチェックが入ります。リアルな芝居。生きている呼吸をしないといけないです。
――今回の役を演じる上で気を付けていることはありますか。
志村:女王の役なので、わがままだったり意地悪をしたりするのですが、自分で言うのもなんですが意地悪な部分がなかなか思い付かないものでして。今まで演じた中で一番自分と離れた役だなと思います。
なかむら:わたしは孤児をやるんですけど、どちらかというと女王寄りの性格なんです(笑)。いつもと逆な感じで、今まで芝居やってきた中では明るかったり元気な役が多かったのですが、今回健気な女の子を演じるのは新鮮です。これまでと違うものを演じられるように頑張ってます。
――今作の見所を教えてください。
ふじた:ロシアの昔話なんですよ。まだロシアに児童劇が無かった頃に出来た作品で、それにしては良く出来ているんです。歌の挿入の仕方とか。その後の児童演劇の原型になるような作品です。俳優座は2000回近くやってますし、オペラにしたこんにゃく座も1300回くらいやっておられる評判の良い作品なんです。なので名古屋バージョンも名古屋でないと出来ない、ふさわしい作品にしたいなと思っています。そして生演奏も見所です。
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俳優館『森は生きている』
原作:S.マルシャーク
上演台本・演出:ふじたあさや
音楽:林光
会場:千種文化小劇場
日時:2017年12月1日(金)~7日(木)
詳細はこちら
http://www.hi-you-can.com/