劇団B級遊撃隊『間抜けのから』の稽古場にお邪魔させて頂きました。
この日もひとつのシーンをひたすら繰り返し繰り返し稽古をしていました。役者から、演出から、どのような見せ方がこのシーンを一番説得力のあるものに出来るか。相変わらず緊張感のある稽古場でした。
そして最後の最後に出されたアイデアから一気に芝居の空気が変わったような気がし、小さな言動ひとつで大きく場が変わる様は見ていて非常に興味深く感じました。
●佃典彦さん(作・出演)、二瓶翔輔さん、大脇ぱんださん(出演)の話
――今回の本を書かれたきっかけを教えてください。
佃典彦さん(以下佃):『土管』にしろ『KAN-KAN男』にしろ、『ぬけがら』もそうだけど、いかに生きている者と死んでいる者が出会えるかという装置を考えて書いて来ている。例えば土管だったら天井から土管が、KAN-KAN男だったら踏切。今回のこれも、その流れの上に成っている。今回は荒野というものがあって、地場として死者と出会える場所。そんなことかな。
――死者と出会うということに対し、根底に何か思う所があるのでしょうか。
佃:とても不思議な気がするのは、ぼくの携帯には瀬辺(千尋さん)や深津(篤史さん)のアドレスが残っている。もっと前に死んだ者のアドレスも残っている。一方で全くこれから連絡することねえだろうな、向こうから掛かってくることもないだろうなという奴のものも入っている。とすると、どう違うんだろう。生きていて音信不通な人間と、死んで連絡が取り合えない人間と。それがね、ぼくはずっと不思議な気がしていて。だとすると、連絡を取らない、取ることの無い人間はぼくの中で死んでいるのも同じなのか。逆に言うと、死んでいる人間は今連絡を取っていないだけで生きているんじゃないかと考えることも出来る。今回は瀬辺や深津のことがでかかったよね。
――今回の役を演じる上で気を付けていることや意識されていることがあれば教えてください。
二瓶翔輔さん:これまで特別意識したことは無いです。全部稽古をやっていく内に気付くことがほとんどです。自分一人で考えたり作ったりしてもしょうがないということを最近よく学んだんです。それはいろんな所でお芝居やらせて貰ったおかげなんですけど。お芝居始めた頃は自分なりにこうやってみようとか、今もしていない訳じゃないんですけど、それに固執してたことがあった気がして。結局自分一人で考えたことを自分勝手にやっても成り立っていないと気付けるようになった。だから稽古が全てなのかなって。色々な人とやるのが。
大脇ぱんださん:今回、この役的に「何も考えるな」と言われていまして。純粋な子供。これまでで一番イメージしやすくて楽しい。でも気が抜けるとすぐテンションが下がるのは悪い癖だと言われていまして。そこをひたすら気を付けています。
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劇団B級遊撃隊『間抜けのから』
作:佃典彦
演出:神谷尚吾
会場:愛知県芸術劇場小ホール
日時:2015年6月12日(金)~14日(日)
出演:佃典彦・神谷尚吾・山口未知・長嶋千恵・吉村公佑・大脇ぱんだ・梅宮さおり・二瓶翔輔(オイスターズ)
詳細はこちら
http://www.bkyuyugekitai.com/
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佃典彦・作『間抜けのから』を読む
朗読:ニシムラタツヤ(AfroWagen)
会場:ちくさ正文館書店2階ホール
日時:2015年5月30日(土)19:30
料金:1000円
冒頭シーンを本公演に先行してお聴き頂けます。