核兵器廃絶・平和を守る名古屋舞台人の集い『へいわ荘の人々』

核兵器廃絶・平和を守る名古屋舞台人の集い『へいわ荘の人々』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

今回は3作ある中で『ルリの地球』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

実在の女性をモデルにした役や、マイノリティの方々が沢山出てくるお芝居で、直接的ではないものの、そこから浮かび上がってくる平和への想いが伝わるお芝居になっています。

普段見られない構成の座組ですし、これを機会に一度足を運び、平和について考えてみてはいかがでしょうか。

●栗木慶子さん、谷川伸彦さん(出演)の話

――『核兵器廃絶・平和を守る名古屋舞台人の集い』はどのような団体なのか教えてください。

谷川伸彦さん(以下谷川):1982年に結成されまして、名古屋で活動するあらゆる舞台人、舞踏家、演劇人、鑑賞会、そういったメンバーが集まって、舞台を通して核兵器廃絶を目指す団体です。演劇と舞踊を1年おきに行っていまして、今年は演劇の年です。ただ節目の時には合同で行う時もあります。

――今回の3作品はどういう経緯で出すことになったのでしょうか。

谷川:基本会員の中で書いて貰ったりが多かったのですが、今回はもう少し広げてお願いしてみようと。今回この団体が初めてという方もおられます。

栗木慶子さん:今年はヒロシマ、ナガサキ、フクシマという大きなテーマがあります。それぞれ家庭を描いた作品で、わたしたちはたまたま『ルリの地球』という作品に出させて頂くことになりました。被爆して差別を受け、そのことを口を噤んで生きていきたいと名古屋に移り住んだおばあちゃんと、そこのアパートの住人の話です。こういう機会もなかなか無いので、勉強させて頂いています。

谷川:この座組はかなり画期的じゃないかと。これまでぼくや栗木さんはテーマを全面に打ち出すような芝居をしてきました。一方で若者を対象とした劇団の方々と一緒にやるのは見物じゃないかと思っています。

●中田裕子さん(出演)の話

――今回社会的テーマがある作品に出演されるということで、演じる上で意識されていることはありますか。

中田裕子さん:今回モデルになった方にお話を伺ったんですけど、その当時を生きた方の言葉は深いし、重い。わたしもそうだったんですけど、普段からそういうことを考えずに生活している人は結構多いと思うんですね。だから、お芝居を観て考える機会になればいいなと思うので、出てるわたしたちが嘘っぽくならないように。当り前のことなんですけど、そこに注意しています。

●鏡味富美子さん(作)、ほりみかさん(演出)の話

――今公演に関わることになったきっかけを教えてください。

鏡味富美子さん(以下鏡味):私は『核兵器廃絶・平和を守る名古屋舞台人の集い』の会員ではありませんが、故栗木英章さん(劇団名芸前代表)とのご縁で劇団名芸さんや劇団名古屋さん等と交流があり今回の運びとなりました。演出を決める際、公私共にお世話になっているほりみかさんに是非やって頂きたいとお願いしました。

――実際のモデルがいるお話ということですが、そこで意識されたことがあれば教えてください。

鏡味:実在する方の人生を描くことは内容にかかわらずデリケートな部分もあり悩みましたが、今回モデルになっているお祖母ちゃんは長い間隠してきた被爆体験を公表し核廃絶の為に情熱を注いでおられます。そんな彼女に勇気をもらい私の思う平和ってなんだろうという所から書き始めました。

ほりみかさん(以下ほり):特に最初は気にしてなかったんですが、先程モデルになった方とお話をして、体験されたことが凄く伝わってきて、軽く作ってはいけないと思う反面、今回演じる栗木さんとはそもそもイメージが違いますし、真似るとか似せるとかそういうことは考えていません。でも想いはちゃんと伝わるといいなと思っています。

――最後にこの記事を読まれている方に一言お願いします。

ほり:今回これを引き受けたのは、これまで関わりが無かった全日本リアリズム演劇会議に所属する方々と一緒にお芝居出来るからという理由があります。そういう方々プラス小劇場の方も沢山関わっているので、普段こういう公演に足を運ばない方にも観て貰えればと思います。ここから色々と広がるといいなと思います。

+++++

核兵器廃絶・平和を守る名古屋舞台人の集い『へいわ荘の人々』

会場:愛知県芸術劇場小ホール
日時:2018年8月11日(土)~8月12日(日)