劇団B級遊撃隊『A.チェーホフ × 佃典彦 プロポーズ』の稽古場にお邪魔させて頂きました。
今作は以前神谷さんが演出をされたチェーホフの作品の凱旋公演を兼ねつつ、佃さんが同じタイトルで作品を書くというB級遊撃隊ならではの公演形式になっています。
両作品の稽古を見させて頂きましたが、それぞれに特徴があって非常に楽しく見させて頂きました。
チェーホフ版はこんな笑えましたっけこれ、というくらいの勢いがあって、佃版はその土台を佃さんらしい調理の仕方で戯曲化していて、どちらも非常に見応えのある作品になっています。
●佃典彦さん(作・出演)の話
――この企画はどういう経緯で決まったのでしょうか。
佃典彦さん(以下佃):今回神谷が東京で演出したチェーホフの凱旋公演というのがまずあって、でもそれが40分の作品だったので、同じタイトルと設定で新たに台本を書いてみたら面白いんじゃないかということで決まりました。チェーホフの上演が先で、吉村、大脇、いちじくじゅんがこちらに出ていて、佃版に残りの役者が出ています。
――あらすじ内に『地下アイドル』とあって、佃さんとあまり接点が無さそうな単語ですが、その辺には詳しいのでしょうか。
佃:全然知らない。テレビとかで見ました。だから知ってる人からすると少し変かもしれない。二瓶くんがその追っかけ役を演じているのですけど、アイドル本人は出て来ない。不在の人間について話す形式になっています。
――今作の見所を教えてください。
佃:両作品とも出だしは同じで、そこからどうなるかという感じです。両作品ともに親子の関係が描かれていて、その辺は少し意識して書きました。チェーホフに対抗するというよりは楽しんで書きました。
●神谷尚吾さん(演出)の話
――1つの公演で同じタイトルの2本の作品を演出することに対し、苦労されている部分はありますか。
神谷尚吾さん(以下神谷):1本は既に作っちゃってますし、佃さんのはいつもの作業なので。冒頭とセットは同じなんですけど、もう少し共通点を見つけていこうとは思っています。全く違う作風なので、むしろ同じ所を探す方が難しい。二本立てですが、ひとつの作品として、一部二部という感じで考えています。
――それぞれの作品を演出する上で意識されている部分はありますか。
神谷:僕は役者出身なので、両作品とも役者のことは気になっています。特にチェーホフの台詞が厄介で。演出者協会に持っていった時も悪戦苦闘したんですけど、その言語。いかに喋っているかのように見せるのに苦労しています。僕は台詞をいじくらないから。あと佃さんの作品は色々仕掛けがあって、大風呂敷を引いている。でもそれが大袈裟になり過ぎないように注意しています。ネットとか出てきて、世界が広そうで実はとても個人的な話をしている。逆にチェーホフの方は隣近所の話なんだけどとても世界が広いような気がしていて。
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劇団B級遊撃隊『A.チェーホフ × 佃典彦 プロポーズ』
作:A.チェーホフ、佃典彦
演出:神谷尚吾
会場:ナビロフト
日時:2018年5月10日(木)~13日(日)
出演:佃典彦、山口未知、まどか園太夫、吉村公佑、大脇ぱんだ、梅宮さおり、三井田明日香(以上、劇団B級遊撃隊)、いちじくジュン(てんぷくプロ)、二瓶翔輔