星の女子さん『門番』

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星の女子さん『門番』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

この日は台本を使った通しを行っており、時間切れで途中退室させて頂きましたが、今後がとても気になりました。

今回は作演出の渡山さんも言われている通り、これまでの星の女子さんとは少し趣が違う作品になっているように感じられました。ただ個人的にはその傾向は以前から少しづつ感じているもので、現在、劇団としての転換期を迎えているのかもしれません。

新人の台越竜太郎さんも加入し、更に今作ではメインでの役所になるそうです。色々と変化しつつある星の女子さんのこれまでとは一風変わった作品が観られそうです。

●渡山博崇さん(作・演出)、台越竜太郎さん(出演)の話

――『門番』という作品を書こうと思われたきっかけを教えてください。

渡山博崇さん(以下渡山):これは本当は当日パンフレットに載せるネタにしようと思っていたのですが……『ロミオとジュリエット』の最初のシーンでモンタギュー家の門番が会話するシーンがあって。この二人を主人公にしたらどんなお話になるかなと考えまして……門番って現在でいうとなんだろうと思った時に、ぼくはラブホテルの仕事の経験があるものですから、ラブホテルのフロント係というのは愛の門番として成立するのではないかと。そこでフロント係を主人公にした物語を作ってみようかと思い立ちました。それで書き進めたのですが、『ロミオとジュリエット』を読み返してみると先程言ったモンタギュー家の人々は門番じゃなかった(笑)。召使いでした……ロミオがキャピュレット家に行く時に門番と問答があるんですけど、それとごっちゃになったのかなと。前提が無くなっちゃったんですけど、まあいいかと。

――実際に働いている所を舞台にされているということで、職場での経験は生かされているのでしょうか。

渡山:私生活ネタも紹介しつつ。ただそのまま使うのは自分のポリシーに反するので、誇張しつつ。

――台越さんがメインの役所ということですが、最初からその辺は決めておられたのでしょうか。

渡山:念願の星の女子さん初の男優ということもありまして。なんだかんだぼくは男を主役にした話は好きなんですね。劇王ではコヤマさんに出て頂きましたし。そのジャブジャブサーキットのコヤマさんがいるおかげでぼくの男主人公が成り立っている所はあります。男性俳優を主役に据える時はその人成りというかキャラクターにぼくが入れ込んでいる必要があって、今回台越くんが入ったということもあり、彼のキャラクターを生かせたらいいなと思って。彼ありきのキャラクターではあると思います。

――当書きですか。

渡山:半ば当書きで半ばこのくらい頑張って欲しいなと。彼もそろそろ初心者と言えなくなってきますし、初心の華がなくなってくると、あとは上手くなってスキルを身に付けるしかない。だから技術的にも難しいことを要求していますし、彼にとって今回が大きな契機になるといいなと思っています。

――役に取り組む上で気を付けていることはありますか。

台越(以下台越):特に相手の役者さんに素晴らしい人が多いので、とにかくその人達と一緒にやることを大事にしたいと思います。ただ主役という気負いがあまり無くて、主役というよりはコヤマさんの横に居て学べたらなと思っています。コヤマさんに求められていることをどこまで出来るか悪戦苦闘しております。

――渡山さんの演出の特徴はどのような所だと考えていますか。

台越:一番役者さんを納得させる演出さんだと思います。いまやったことがどう見えているか、どう影響するか、渡山さんは毎シーン毎シーン丁寧に伝えてくれます。それが分かりやすいです。

渡山:今回特に細かいんですよ(笑)。

――今作の見所を教えてください。

台越:多分ここ最近の名古屋小劇場ではあまり感じない特殊な空気になるのではないかと思います(笑)。絶対に見逃して欲しくないです。

渡山:最近の作風とは少しずれた、これまでよりもナンセンスに重視を置いた大人のお話になりました。それでもこれはメルヘンだと通したいと思うんですけど(笑)。星の女子さんの新境地ですね。是非お越しください。

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星の女子さん『門番』

作・演出:渡山博崇
会場:七ツ寺共同スタジオ
日時:2015年10月2日(金)~4日(日)
出演:台越竜太郎・鈴木亜由子・岡本理沙(以上、星の女子さん)・コヤマアキヒロ(劇団ジャブジャブサーキット)・中村猿人(フリー)・まとい(蒼天の猫標識)・吉見茉莉奈(劇団PEOPLE PURPLE)・二宮信也(スクイジーズ)

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