投稿者「名古屋演劇アーカイブ」のアーカイブ

大森晴香 さん

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時間堂プロデューサーの大森晴香と申します。時間堂は演劇をつくる団体です。東京の北の端っこ、赤羽に十色庵という拠点を持って活動しています。時間堂が生まれたのはもう20年近く前なのですが、今の劇団体制になったのは2009年、私が加入したのは2012年です。

時間堂は演劇公演のほかにワークショップやグッズ制作販売、スタジオ運営からカフェ営業まで何屋か見失いそうですが、「演劇をつくる団体」です。東京を拠点に、全国ツアーや他地域ワークショップなどの機会にも恵まれて、全国いろいろなところに頼れる兄貴・姉貴がおります。劇団衛星の植村さんもそのおひとりで、スタジオをつくるまえに押しかけて根掘り葉掘り教えを乞いました。

大森晴香個人としてのプロフィールは書くと長くなるので割愛しますが、いまは時間堂の活動を主軸にしつつ、ときどき他団体の制作を請け負っています。時間堂を会社にしたときに、演劇以外の仕事をすべてやめてしまいました。もともと自転車操業でしたが、今も首の皮一枚です。時間堂の法人化については以下の連載に詳らかに書いております。

時間堂、会社になる https://note.mu/jikando/m/m6a070bf20efc

演劇制作を仕事にして5年半、劇団プロデューサーになって4年半、現在進行形で試行錯誤しています。ツアーだの、法人化だの、スタジオ開設だの、東京芸術劇場進出だの、華やかな活動が表にあると、なんかちょっとうまくいってるふうに見えるようですが、実態はうまくいかないことだらけ。週に1回(くらい)、考えたことを記事にしています。時間堂は解散するし、ちょうど連載を始めて1年経ったので、タイトルを変えるか新しい連載を始めるかしようかなーともやもやしています。基本的にいつももやもや書いています。

火曜更新・時間堂、年商1億プロジェクト https://note.mu/jikando/m/mdf50133a338b

最近は、7月に最後の劇場公演を終えて、年末に解散することを発表し、あと3回公演をやるぞ、ということでわたわたしています。今年の1月から毎月公演をやる「レパートリーシアター」という取り組みをやっていまして、9月も10月も12月ももともと公演をやるスケジュールではあったのですけど、「解散」という予定が決まって「集大成」として意気込んでつくっています。ぜひ見届けてもらえたら嬉しいです。

時間堂レパートリーシアター http://jikando.com/nextstage.html
9月は10日(土)~12日に『驟雨』をやります。7月はロシアンアバンギャルドでしたが、9月は一変して岸田國士です。

●植村さんからのご質問にお答えします。

「今、劇団の活動をしている中で、一番楽しいことは何ですか?また、一番大変なことは何ですか?」

1番楽しいこと、劇団に入らなかったら会えなかったひとたちと会えたり、旅に行けたりすることかな。私個人はあんまりフットワーク軽いタイプではないと自覚しているのですけど、時間堂はかなりフットワーク軽い団体だと思っています。
1番大変なことはお客さん集めと資金繰り。夢がなくてごめんなさい。芸術団体が自分たちのつくりたいものをつくるためには、作品が愛されることと、安定した経営基盤があることの両立が必要だと思います。作品のクオリティは大前提として。

「演劇以外で、最近興味を持っていることは何ですか?」
最近ではないんですけど、小さいころからクラシックバレエを習っています。最近はサボりがちで、もはや習っているとは言えない感じですが(苦笑)。どんなに休んでもまた再開したいし、一生続ける趣味だと思っています。あとは、興味があるけどノープランなのは留学ですかねえ。誰も私を知らない世界にぽーんと入って、仕事じゃなくて勉強するとか想像するだけでわくわくします。何が学びたい、というよりは勉強が好き。勉強が好きとかいうとなぜかエライと言われるのですけど、勉強ってやればやっただけ絶対に成果が上がるところが好きです。人生、そんなことなかなかないでしょう。努力が必ず報われることなんて、ほんとにとっても稀有なことだと思っています。

●次のバトンはシアターねこの鈴木美恵子さんにお渡しします。

時間堂にとって四国は未踏の地です。そこにはどんな演劇が、劇場が、文化があるのだろう。鈴木さんにはまったく前情報なしでオファーしたのですが、快くお引き受けくださいました。地域を超えた支援会員の仕組みに参加されていたり、他地域劇団のツアー先になっていたり、気になる存在、シアターねこ。

鈴木さんには2つの質問をお送りします。

「劇場を続ける上で大切にしていることはなんですか?」

時間堂は2016年末で解散しますが、十色庵というスタジオは2017年以降も続ける心づもりです。ただ、時間堂というホームがなくなった先に十色庵をどうしていくのか、まだまだ暗中模索です。鈴木さんがどんなことを大切にされていて、今のシアターねこがあるのか、とても興味があります。

「足を運んでもらうためのポイントはなんだと思いますか?」

時間堂をやっていてほとほと思うのは、時間堂の名前は知っているけど観たことはない、という人の多さ。昔観たことはあるけど最近はご無沙汰、という方も結構多くいらっしゃいます。解散発表をしたことで、幸か不幸か注目は集まっています。けれど、実際に十色庵に来よう、という行動を起こす人はとても限られているのです。「来場」という行動を選んでもらうために、シアターねこではどんな取り組みをされているでしょうか。

…切実なお悩み相談みたいになってしまいましたが、どうぞよろしくお願いします!

大森晴香・おおもりはるか
時間堂プロデューサー 兼 合同会社時間堂代表社員
http://jikando.com

[撮影:保坂萌]