投稿者「名古屋演劇アーカイブ」のアーカイブ

鈴木美恵子 さん

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シアターねこ の鈴木美恵子です。

シアターねこは、地域の文化芸術振興を目指すNPO法人シアターネットワークえひめのメンバーで2012年に設立しましした。演劇はどこでもできますが、核となる拠点が必要で、今の場所は三カ所目です。現在は閉園した幼稚園をお借りして、地域の文化情報発信の場にすべく、試行錯誤を続けています。

主な事業は、京都発祥のC.T.T.(コンテンポラリーシアタートレーニング)を年間4回、国際演劇交流セミナー、シアターねこフェスタ、四国劇王、演劇教室、おしゃべりねこ、その他子ども向けのダンスWSなどもやっています。あとは、地域の演劇関係者の稽古場や公演場所としての貸館事業です。近い将来、アーティストインレジデンスで作品を作りたいと虎視眈々と機を狙っています・・・

場があることで各地からいろんな劇団が来てくださいます。四国と言う辺境の地で演劇をする人にとっては、創造力を刺激する機会となり、一般市民の方たちにも広くお声かけし、小劇場の芝居の楽しさをお伝えできればと思っています。場の運営は苦労を伴いますが、出会いの喜びがあれば、そんなこともなんのそのです。

さて、前回の大森さんからのご質問です・・・・お応えになるかどうか???

「劇場を続ける上で大切にしていることはなんですか?」

2012年に「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」が施行されました。現状ではその内容が劇場のすべてであると思います。その理念を認識し普遍化する努力を、全国の公共劇場がするようになれば、舞台芸術環境は短期間で変化していくと思われます。しかし、しかし、そう簡単に進まないのが現実で、「待ってらんない」と作ったのがシアターねこですから。

大切にしていることというより、出来ないことだらけですが、あえて言えば、制作者である私たちは黒子に徹するということかなと思います。私たちの仕事はトイレ掃除から始まり、企画、実施、検証までに山のような仕事がありますし、それを形にしていく地道な仕事です。表現者に対する尊敬があれば(尊敬に値する表現者であるかどうかの見極めは重要ですが)その苦労は喜びに変わりますから、続けられる力になるかと・・・・・・

現代のデジタル・バーチャル・効率優先の時代に在って、いわゆる実演芸術は、時・空間・観客が同時に存在しないと成立しないし、練習の過程たるや、超アナログで非効率の繰り返しです。それでいて総合芸術としての美の集積を要求されます。このすべての行為こそが、人と社会を豊かにしていくものだと確信しています。

「足を運んでもらうためのポイントはなんだと思いますか?」

その秘訣があれば私も教えて戴きたいくらいです。私はいつも観客に足を運んでもらうために、本番のぎりぎりまで観客になる一人一人に芝居の面白さを伝える努力をします。強いていえば、私がその作品と創り手に自信が持てるかどうかが、モチベーションになります。その自信をつけるために、事前に作品を見、作家・演出家・俳優の特性を理解するよう心がけます。シアターねこでは、毎月ご近所さんにシアターねこ新聞を配布しています。場を地域の人たちに知ってもらう努力をしています。場の魅力も重要ですが、それは日々の小さな工夫の積み重ねで作っていくしかないのだと思います。

●次のバトンは広島の舞台芸術制作室の岩崎きえさんにお渡しします。

私なんかより、はるかに演劇の世界に精通している岩崎さんは、次々に作品を広島に紹介し続け、育成のための仕掛けもあれやこれやと奮闘しています。愛媛から見ていると、広島の演劇界はとても層が厚く、いつもうらやましく思っています。その一翼を担っているのが、岩崎さんです。

岩崎さんには2つの質問を投げかけます。

「演劇が好きな理由は・・・・?」

赤字補てんのために、自らが一人芝居を演じて稼ぎ出す。これは演劇の力を信頼しているからだと思える。岩崎さんにとってその力とは何を指すのでしょうか?

「演劇を活用して、別のものを生み出したいと考えたことありますか・・・?」

文化芸術はそのものに力があると思う反面、ツールとして使われるという側面があります。世知辛い現在では役に立たないものは、不要と切り捨てられることが多々あります。それに反論する言葉を教えてください。