今回は、辻企画主宰・司辻有香(かさつじ・ありか)が、辻企画『私、秘密知ってるの。』のリポートをさせて頂きます。
普段、稽古は、出演者の楠海緒(くすのき・みお)、黒木夏海(くろき・なつみ)、演出・司辻有香の3人で行っております。今回の稽古では、遊びや世間話も貴重な材料と成って居ます。普段着の体や心や言葉が、パフォーマンスにも重要なヒントを齎す為、遊ぶ事も大切に取り入れます。それは、舞台上に出る事で失われがちになる「自然」を、普段と舞台上が地続きである感覚を手に入れる事で、損なわない様にする「慣れ」に繋がるからです。そこで稽古場はよく、笑いやおかしなパフォーマンスに包まれます。
又、参加者一人一人が個人的な感覚や感想を発言する自由も多々ある為、それぞれが等身大で、それぞれと同等に近い存在をして居ます。
年頃の女性3人が集まって居る事もあり、稽古場は、とても女子力が高い、かしましい現場と成っております。
(写真・文:司辻有香)
●司辻有香さん(演出)、黒木夏海さん(出演)の話
演出上でなにか気を付けている点があれば教えてください。
→司辻有香さん(以下司辻):それぞれ出演者の個性が違うので、その個性を活かしつつ、出演者それぞれが、作品にリンク出来る流れを見出だせる様に気を付けています。
今作品で演出上試みている点はありますか。
→司辻:普段は劇作と演出を担当しているんですけど、今回はCTTということで、戯曲を執筆せずにその場で作っていくというやり方をしていまして、戯曲を立体化させる作業ではなくって、シーンや動きと同時に台詞を付けていくということを試しています。凄く楽しいです。既に出来たものを形にしていくとなるとわたしの劇作演出が際立ったものになりがちなんですけど、今回は役者の動きと台詞が同時平行していくので、立場的にも同等でニュートラルな状況で3人ともいることが出来ます。それが凄く発見で、居心地よくいることが出来ます。
黒木さんから見た司辻さんの演出の特徴を教えてください。
→黒木夏海さん:何人か女性演出家の方に演出を付けて頂いたことがありますが、司辻さんは感情的に走らないなという印象があって、俳優を一人一人見ていると思います。わたし自身どちらかというと身体を感覚で掴まないと言葉も理解出来ないんですけど、そういうことも含めたうえで、わたしだったら身体をこういう風にしたらいいんじゃないかと言ってくれたり、楠海緒ちゃんの場合は言葉でゆっくり伝えたりとか、それぞれに合わせて演出をしていってくれます。
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辻企画『私、秘密知ってるの。』(C.T.T.nagoya試演会vol.20)
作・演出:司辻有香
会場:ナンジャーレ
日時:2013年8月27日(火)~28日(水)
出演:司辻有香・楠海緒・黒木夏海