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俳優館『カレーライス物語』

俳優館『カレーライス物語』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

30年前に俳優館の名前を世間に知らせることになった『カレーライス物語』の再演とのこです。

シンプルな作品でありながら、シンプルが故にメッセージ性が強い作品になっています。
また、カレーライスという親しみやすい題材に加え、歌や踊り、音楽と五感で楽しめる作品になっています。

是非親子でご観劇ください。

●ほりみかさん(演出・振付)の話

――具材が擬人化されている作品ということで、それを演出するに辺り、大変な点やこだわっている点があれば教えてください。

ほりみかさん(以下ほり):初演の時は演出助手をやっていたんです。途中から振付もやり始めたり、移動公演の時も作り変えの時もずっと付いていたんです。なので鈴木さんの思いや演出の方向性というのはわたしが一番分かっています。だから鈴木さんが言いたかったこととかをそのまま伝えようと思っていまして、特に鍋の中のテイストはそのままにしたいと思っています。ただ鍋の外側に関しては大道具も変えたので、演出も変えてますし、音楽が変わったりしているので、ダンスを増やしたりはしています。

――夏休みの公演ということもあり、家族で観られるな作品になっているのでしょうか。

ほり:そうですね。最後の方は具材達が「カレーになりたくない」と訴える厳しい内容になっていきます。段々具材が黄色くなっていくのは社会に染まっていくということ。段々大人になると自由に物が言えなくなったり、画一化されていく。大人の汚さが見えてくる。でも彼らはそうなりたくないって言っているんですね。苦しみながらカレーになっていくんですけど、でもそのカレーが落ち込んでいる人を慰める。悲しいだけではなく、人それぞれ認められる所があったり、良い所があったり、生きていることは無駄じゃない、そんなメッセージが込められている作品だと思っています。

●森釗さん(プロデューサー)の話

――今公演で改めて『カレーライス物語』をやることになったきっかけを教えてください。

森釗さん(以下森):これまでやってきたものを残していかないといけないというか。30年前に生きてたものを再現したいと思ったんです。俳優館という劇団を世間に知らせることになった『カレーライス物語』がそれにふさわしいんじゃないかって。30年前もしっかり生きてたし、現在も生きているというのを表すにはこれが一番だと。カレーの材料という取るに足らないというか、どこにでも転がっている一個一個の中にも命がちゃんとあるんだよというのが鈴木完一郎さんの基本的な思想だった訳。彼は生きているということに関してきちんと考えている。熱いんだよ。思いが篭っているというか。思いが溢れすぎている。

――元々どういった経緯で書かれた本なのでしょうか。

森:鈴木完一郎さんがスペインに留学中、じゃがいもを転がしたらなんか痛そうだったって言うんです。そういう顔してたって。そこから始めたらしいです。当時の稽古では、「ごめんなさい」という台詞を言うだけで3時間費やしたこともあります。そこまで彼は1人1人の登場人物に対して、生きたものにしようということに熱心でした。今回の再演でもそこまで迫りたいなと思っています。

――他に見所があれば教えてください。

森:音楽で6人の生バンドがあります。ここは30年前の音ではなく、今の音が欲しいなと思いました。また、初演の時にはあまり踊りは無かったんですけど、今回はほりみかが振付なので思う存分やって貰っています。まだまだ荒削りだけど、これから見栄えは良くなっていくと思っています。そして当時出てた俳優もベテランとして出演しますし、新人が沢山出られる作品でもあるので、新人がどう光るかも見ものです。

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俳優館『カレーライス物語』

作:鈴木完一郎
作曲:大野栄潤
演出・振付:ほりみか
会場:名古屋市芸術創造センター
日時:2019年8月16日(金)~18日(日)

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