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体現帝国『しっぽをつかまれた欲望』

体現帝国『しっぽをつかまれた欲望』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

演出の渡部さんがしばらく東京に行っていたこともあり、久し振りの本公演となります。

稽古場では役者と共に細かい部分を作り込んでいく過程が見られました。

これまでの体現帝国とは違い出演者も増え、規模も大きくなり、そこから渡部剛己さんがどういった手腕を見せてくれるのか大いに期待したい所です。

●渡部剛己さん(演出)の話

――久し振りに名古屋で本公演をされるということで、体現帝国がどのような劇団なのか改めて教えてください。

渡部剛己さん(以下渡部):人類が見たことがない領域を実現させたいと考えています。科学の最先端研究と似てるかも。科学に過去の研究論文があるように過去の歴史が演劇にもあって、それを踏まえて今どうするかがポイントだと思っています。そしてその為にはどうしても身体の追求は出てきます。

――この題材をやってみようと思ったのはどうしてでしょうか。

渡部:いくつか上演したい戯曲の候補は常にあって、去年の時点であいちトリエンナーレ2019の募集があり、テーマである「情の時代」と重なる部分のある、この戯曲を選びました。リード文にある『気狂いの気狂いによる気狂いのための気狂い演劇。』という部分だけを見ると『変なことやります』のような印象を持つかもしれませんが実際にはそういうことではありません。続けてリード文を読んでいくと『1941年ドイツ占領下のパリと2019年日本を重ね描く体現帝国の最新作』とあります。その頃のパリはナチスの占領下にあり、食料や水道、電気、交通網、果ては発言なども全て管理されていました。今の日本は誰かに支配されてる訳ではないけど、そういった抑制されている状況にあると私は感じます。続けて『美しい国をつくる為、正義の名のもとに迫害/排除/弾圧を行えてしまう私たち・行うしかなくなってしまった私たちは気狂いと呼ばれるだろう』とあります。皆それぞれに正義があって、その正義を理由に他人を貶めるようなことをしてしまいます。その正義を貫くためには暴力もい問わない。思いやりを持つ余裕なんて無くなって、そんな状況になってしまった私たちって気狂いだよねって。だから『(私たち)気狂いの、(私たち)気狂いによる、(あなたがた)気狂い(観客)のための、気狂い演劇。』なんです。そういった私たちが種を撒き育てていった社会がどんどん自分達を息苦しくしているように思っています。そして最後にポイントとなるのが『けれど、迫害/排除/弾圧も『愛』という地球最古の発明にはかなわないだろう。』という一文。46億年前の地球ができた時から世界を救い地球を回してきたのは迫害/排除/弾圧ではなく、私たちに必要なのは愛なんだと。それらをどう具現化していくか考えています。

――演出面でこだわっている点があれば教えてください。

渡部:先程話した私が戯曲から得た演出方針を立ち上げる為に、美術からはゴムとカーテンというモチーフがアイデアとして出ました。ゴムを使って人を縛ったり、カーテンで空間を遮断して壁を作り、壁の手前ではいつもと変わらない日常があるけれどその壁の向こう側では軍隊が歩いているとか、そういう迫害や排除、弾圧を可視化する為のビジュアル面にこだわっています。特にこの戯曲には時代背景もあり常に死が溢れています。だからこそ「良くないよね。結局はLOVEでしょ」という次元へどう持っていけるか。もうひとつ強い仕掛けを入れていかないといけない。例えば、残酷な面をより色濃く出すことで、愛を浮きたたさせるのはひとつの手段と思います。

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あいちトリエンナーレ2019舞台芸術公募プログラム
体現帝国 第八回公演『しっぽをつかまれた欲望』
原作:《LE DESIR ATTRAPE PAR LA QUEUE》by Pablo PICASSO
作:パブロ・ピカソ
演出:渡部剛己
会場:愛知県芸術劇場小ホール
日時:2019年9月25日(水)19:00
出演:千葉総一郎、今津知也(オレンヂスタ)、佐原優、mini-oni、安部火韻(愛蘭珈琲)、田口佳名子、岡本理沙、藤瀨響平、中居晃一、好姫、近藤由美子
著作権代理:(株)フランス著作権事務所
主催:体現帝国 共催:あいちトリエンナーレ実行委員会 後援:愛知県教育委員会

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http://watabe-gouki.net/20190925shippowotsukamaretayokubou