劇団あおきりみかん『パラドックス・ジャーニー』の稽古場見学会にお邪魔させて頂きました。
今回も沢山の見学者がおられる中での稽古でした。やる方も見る方も気合い十分で、最後の質疑応答も真剣なやり取りが展開されていました。
今作は遊び心がたくさんある演出が多いようで、演出の鹿目さんの指示に対し、苦労しつつも楽しげに取り組む役者陣の笑顔がとても印象的でした。
●鹿目由紀さん(作・演出)、花村広大さん、みちこさん(出演)の話
――今作のテーマを教えてください。
鹿目由紀さん(以下鹿目):
テーマ、っていう大きいものではないんですけど、生きていると、矛盾に感じることが色々とあります。人間は多かれ少なかれ、それを解消したいなぁと思うときがあると思うんです。また世の中には『パラドックス』(逆説、矛盾)と呼ばれるものが色々ありますよね。アキレスと亀とか。そういうものって考えつづけると頭が「は?」ってなりますよね。そういう一般的なパラドックスと、日々の矛盾との接点を考えた話ですかね。解消しようとして足掻いてるさまが愛しく見えたらいいなぁと思っています。
――稽古を見ている感じ、パラドックス的な会話をひたすらしていく感じがとても面白かったのですが、台本を書く上で大変ではありませんでしたか。
鹿目:稽古ではああいう感じだったんですけど、そこからどんどん発展していくので、書いていてとても気持ちが良かったです。ずっと屁理屈をこねくり回す感じでは無く、特に花村の役は『パラドックスの向こう側』を目指して行動的に進んでいくので、いずれ『ジャーニー』になると思います。
――自分の役を演じる上で一番大事にしていることを教えてください。
花村広大さん:その時代背景がこうだったからこういう影響を受けてきた、というようなことを当時の資料とかで分かる限り調べて、という感じですね。20年括りくらいで世代って出るじゃないですか。いつの時代が良いというのは無くて、どの世代も良い思いと辛い思いをしていると思いますので、そういう中で形成されていく常識とか指針とかは今とは違う所が面白かったり、理不尽に感じたり、エネルギッシュに感じたりって思うんです。そして無意識にそうしていくが故にズレてるって所をお客様に『あるな』って思ってもらえるようにしています。
みちこさん:今回は由紀さんから課題図書を出されたので、この世界観に住んでいる人物なのだろうかという所から出発しています。課題図書は『ジョジョ』なんですけど、わたしたちのいる空間はジャンルが違う感じが良いと言われたので。わたしのイメージでは謎の多い異国の女です。
――ちなみにこの課題図書はみちこさんだけのものなのでしょうか。
鹿目:いやいや。全員に「最後まで読め」と。1部から3部までは絶対に。今回砂漠が出てくるのは決定事項なので。3部まで読んでいない人がいたら非難轟々です。1部で挫折する人がいそうだったのですが、「3部まで我慢して読め」と。わたしの場合はジョジョを読んでいないと分からない演出も多いので。『ジョジョ』とか『ドラゴンボール』とか『HUNTER×HUNTER』を読んでいないと分からないことがたくさんあって。読んでもらう前までは女性の団員には分からない人が多かったんですけど、最近は『ワムウ』とか言っても全然通用します。凄い楽なんですよ(笑)。
――今作の見所を教えてください。
鹿目:狭い空間でどれだけのスペクタクルを観られるかということです。ひとつ『映画』を観たかのような感じですね。でも映画を観るのと芝居を観るのは違うので、限られた舞台でやれる壮大さを観てほしいです。
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劇団あおきりみかん『パラドックス・ジャーニー』
作・演出:鹿目由紀
会場:G/PIT
日時:2016年3月3日(木)~14日(月)
出演:花村広大、松井真人、カズ祥、近藤彰吾、みちこ、平林ももこ、真崎鈴子、近藤絵理、山口眞梨、川本麻里那、鹿目由紀