マーティン・スコセッシ、ポン・ジュノ、グレタ・ガーウィグらが惚れ込んだ才能、アリーチェ・ロルヴァケル監督(『幸福なラザロ』)最新作『墓泥棒と失われた女神』が7月19日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開となります。この度、本作を一足先に鑑賞した各界著名人からの絶賛コメントと、物語の鍵となる「赤い糸」をモチーフにしたオルタナティブポスターが解禁されました。
© 2023 tempesta srl, Ad Vitam Production, Amka Films Productions, Arte France Cinéma
本作はギリシャ神話「オルフェウスとエウリュディケ」の悲劇のラブストーリーをモチーフにした、ある墓泥棒の数奇な愛の物語。主演は『チャレンジャーズ』で話題沸騰中のジョシュ・オコナー。監督は『幸福なラザロ』のアリーチェ・ロルヴァケル。グレタ・ガーヴィグやソフィア・コッポラといった同時代の女性監督たちがロルヴァケル監督のファンを公言していることでも話題だが、日本でもロングランヒットを記録した『あのこは貴族』の岨手由貴子監督や今年のカンヌ国際映画祭で『ナミビアの砂漠』が国際映画批評家連盟賞を受賞した山中瑤子監督らがロルヴァケル監督の新作を心待ちにしていたという。「寓話のようなムードに、心を奪われました (岨手由貴子監督)」、「ああ!なんて震えるほど美しい映画 (山中瑤子監督)」と絶賛&心酔のコメントを寄せている。
© 2023 tempesta srl, Ad Vitam Production, Amka Films Productions, Arte France Cinéma
芥川賞受賞作家で仏文学者の小野正嗣さんは「人間は生きていくために、ときに深い闇の底まで幻想や神話を探して降りていく。その逡巡に揺れる道程を、これほど美しく、陽気に、切なく描くことができるのだとは!」、現代版ギリシャ神話の舞台「エウリディケ」の演出を務めた人気演出家/俳優の白井晃さんは「どこに連れて行かれるか分からない展開に戸惑っているうちに、イタリア的な祝祭の渦に巻き込まれていつの間にか胸が熱くなる」とロルヴァケル監督のストーリーテリングを称賛。
ほかにも作家の荒俣宏さん、小説家の山内マリコさんと松田青子さん、翻訳家/文芸評論家の鴻巣友季子さん、考古学者の大城道則さん、シンガー・ソングライター/詩人の柴田聡子さん、文筆家/映像作家/俳優の小川紗良さん、コラムニストの山崎まどかさん、映画ライターの久保玲子さんら総勢13名から絶賛コメントが到着した。
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【STORY】
80年代、イタリア・トスカーナ地方の田舎町。忘れられない恋人の影を追う、考古学愛好家のアーサー。彼は紀元前に繁栄した古代エトルリア人の遺跡をなぜか発見できる特殊能力を持っている。墓泥棒の仲間たちと掘り出した埋葬品を売りさばいては日銭を稼ぐ日々。ある日、稀少な価値を持つ美しい女神像を発見したことで、闇のアート市場をも巻き込んだ騒動に発展していく…。
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コメント一覧
岨手由貴子さん(映画監督)
喧騒のあとに訪れる寂しさ。
それが心地よくて、ロマンティックで、ずーっと反芻しています。
搾取構造ですら骨張らない寓話のようなムードに、心を奪われました。
山中瑤子さん(映画監督)
ああ!なんて震えるほど美しい映画。
今もどこかで宝が埋まっている地層のように、幾重もの語り口に導かれ、とんでもないラストと出会ってしまった!
小野正嗣さん(作家/仏文学者)
人間は生きていくために、ときに深い闇の底まで幻想や神話を探して降りていく。
その逡巡に揺れる道程を、これほど美しく、陽気に、切なく描くことができるのだとは!
ロルヴァケルの映画を観るとは、不穏だが心地よい淡い光のごとき郷愁に胸をつかまれることでもある。
白井晃さん(演出家/俳優)
どこに連れて行かれるか分からない展開に戸惑っているうちに、イタリア的な祝祭の渦に巻き込まれていつの間にか胸が熱くなる。
人生はあたかも一時的な夢であるかのように。
荒俣宏さん(作家)
失われた過去の宝に執着する墓泥棒は、自分の人生も恋も地下でしか掘り当てられない。
しかも、みんな壊れた状態で。芥川が書いた「蜘蛛の糸」よりも哀しい結末に絶句。
山内マリコさん(小説家)
足元を少し掘れば、古代文明の遺物がざくざく。
世界史と直結した土地では、きっとなんだって起こりえる。
混沌こそが豊潤なのだと、にぎやかに謳う。
なんてイタリア映画的!
松田青子さん(小説家)
墓と駅。”遺跡”を”自分のもの”にするのは一緒なのに、こんなにも目的と意味合いが違うこと。
私たちに残された物語の余白の中で、自分はじゃあどう生きていこうか考える。
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柴田聡子さん(シンガー・ソングライター/詩人)
この映画を見た後、とても幸福だった。
言い表す言葉を思いつかない、それはこの世のどこにもあるように思えない、そんな幸福で満たされた。
この映画を作った人たちが居ることが、ほんとうに日々を過ごす励みです。
鴻巣友季子さん(翻訳家/文芸評論家)
墓泥棒にして考古学愛好家が探しているのは、本当はなんなのだろう?
これは、消えた”あの人”を取り戻す旅なのではないか。
生と死の境を行き来する
明るくもの哀しいトライアングルの音色と歌の余韻が長くつづく。
大城道則さん(考古学者)
古代墓の禁断の扉が開かれる瞬間、そこに我々は過去へのロマンを感じる。
しかし外気に触れた壁画の「鳥」=「古代人の魂」が瞬時に色あせる場面は、過去とは誰のものなのかを観る者に問いかける。
小川紗良さん(文筆家/映像作家/俳優)
死を掘り起こしながら、生をたどって彷徨う男。
寓話のようなその世界で、失われたものこそ輝いて見える。
この映画そのものが、人のための物ではないかのような神秘に包まれていた。
山崎まどかさん(コラムニスト)
より未来的な価値観が、いにしえの世界と世知辛い現代と共存しているところにロルヴァケルの新しさを感じる。
彼女は豊かな女性監督の潮流の中心人物になりつつあるのだ。
久保玲子さん(映画ライター)
『アッカトーネ』のヴィットーリオを想わせる主人公が渓谷を登ってくるだけで、ロルヴァケル映画が始まる興奮が沸き立つ。
イタリア映画の至宝の記憶を蘇らせながら、墓泥棒と現代アート界の闇を織り交ぜた芳醇なロルヴァケル寓話が揺らめく。
エトルリアの女神の眠りを妨げてしまったオルフェは果たして愛しい人との赤い糸を手繰り寄せることができるのか!?
イラストを手掛けたのは、古典美術を現代に落とし込んだコラージュにペインティングを組み合わせた作品を制作している現代美術家のスズキエイミ。物語の鍵となる「赤い糸」と女神像の頭部を通して主人公アーサーとその忘れない恋人の手が繋がっている。劇中でも描かれるこの「赤い糸」について、ロルヴァケル監督は日本の「赤い糸」の伝説に影響を受けたとインタビューで語っている。また、イラストの下部には「墓=冥界」として掘り出された埋葬品や遺骨が描かれていて、そこに原題「LA CHIMERA」の文字が置かれている。生と死、空想と現実が交差する世界観を表現したイラストのオルタナティブポスターとなった。
スズキエイミさん(現代美術家)コメント
本作の赤い糸とは、墓泥棒である主人公の失った愛する人が纏うニットの糸である。
ギリシャ神話の悲劇のラブストーリーを基に繰り広げられる物語の最果て。
追いかけた赤い糸の行方の先にあるものとは。愛か死か。
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『墓泥棒と失われた女神』
7月19日(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
監督・脚本:アリーチェ・ロルヴァケル(『幸福なラザロ』『夏をゆく人々』)
出演:ジョシュ・オコナー、イザベラ・ロッセリーニ、アルバ・ロルヴァケル、カロル・ドゥアルテ、ヴィンチェンツォ・ネモラート
2023 年/イタリア・フランス・スイス/カラー/DCP/5.1ch/アメリカンビスタ/131 分/原題: La Chimera/映倫G 配給:ビターズ・エンド
© 2023 tempesta srl, Ad Vitam Production, Amka Films Productions, Arte France Cinéma