妄烈キネマレコード『夢見るリリィと華麗なる生活』の稽古場にお邪魔させて頂きました。
これまでと少し違うメンバーや客演の方がおられたりしましたが、相変わらず稽古自体は和気藹々とした雰囲気で楽しそうに取り組まれておりました。
今作は作演の西尾さんが今しか出来ない作品を作ることにこだわっているようで、時代や環境が彼に何を思わせ、何を伝えようとしているのか、その辺に注目したいと思います。
●西尾武さん(作・演出)の話
――この本を書こうと思ったきっかけを教えてください。
西尾武さん(以下西尾):ちょっと真面目な話になるので、先に今作はコメディです。というのを明言させて下さい(笑)。ぼく平成元年生まれなんですけど、ご承知の通り、あと一年しないうちに平成が終わるんですよ。ぼくはあと一年のうちに長編の作品をやることは無いと思うので、だからきっと自分のなかで平成最後の長編作品になります。ぼくは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』という作品が大好きで。あれは21世紀になった時に公開された作品なんですけど、ざっくり言うと時代の変化に対する色んな思いの詰まった作品で。ぼくにとって憧れの作品で、いつかあんなのが書けたらなと思って作品づくりを続けています。平成が終わりに近づき、新しい時代に移り変わろうとしている今に、自分が残せる物語は何だろうか考えました。ここまで言っておいてあれですが、正直、平成が終わるということに対して自分自身あまり実感が湧いていません。なんなら、平成がずっと続くような気さえしています。だけど、変わるというのは紛れもない事実です。その感覚が、今作の根底にはあるんだなと思います。でも来年には終わっちゃうんですよね(笑)。
――今作に於いて演出的に意識されていることを教えてください。
西尾:毎回そうなんですけど、出て頂いている役者さんが魅力的に生き生きとして見えるようには意識しています。今回は、くらっしゅのりおさんと空沢しんかさんが初出演なんですが、他ではあまり観られないような姿を引き出せたらなと思っています。
――その魅力をどのように引き出したり、見つけたりするのでしょうか。
西尾:端的に言うなら、ぼくが見たいその人の姿ですね。この人がこういうこと言ったら面白いだろうなぁとか。普段の魅力も舞台で出せたらなぁとか。その人の個性を面白がっているのかもしれません。台本の段階からそれを考えて、稽古でそれをやってもらって、擦り合わせてって感じですね。楽しそうだねとは、よく言われます(笑)。
――今作の見所を教えてください。
西尾:今年から舞台監督、舞台装置をやっている早馬諒が劇団員になりまして、今回舞台装置かなり頑張って貰っています。実際に組み上がって、どんな空間になるのか自分自身ワクワクしています。あと、さっきも言ったんですが、平成元年に生まれた男の平成最後の長編作品になる予定なので、それを見届けて頂けたらなぁと思います。この作品は今しか書けないモノだなという実感はあります。これまで青春や恋愛の作品を沢山やって来たんですが、今作はそのテイストを残しつつも、あらゆる世代が共存するシェアハウスのお話になっています。そこは新しい妄烈キネマレコードの作品になっているのかなと思います。もうすぐ20代最後になるので、そろそろ青春だの恋だの言ってる場合じゃないなと(笑)。
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妄烈キネマレコード『夢見るリリィと華麗なる生活』
作・演出:西尾武
会場:ナビロフト
日時:2018年7月5日(木)~7月8日(日)
出演:竹田淳哉、藤崎アンジェ、佐伯歩美(以上、妄烈キネマレコード)、空沢しんか(劇団ジャブジャブサーキット)、小崎康史(ProjectK)、内山ネコ(劇団んいい)、森広太朗、くらっしゅのりお
詳細はこちら
http://kinema-record.com/