『ほったまるびより-O JUNと吉開菜央 Part2 -画家の三日間とほったまるびより自家製4DX公演-』について、名古屋港エリアのまちづくりを行う『港まちづくり協議会』とそこで展開されるアートプログラム『Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya]』の活動に携わる皆様にお話を伺ってきました。
旧・名古屋税関港寮で行われるアートイベントです。
ただ展示を見るだけではなく、会場を体感し、パフォーマンスを体感し、制作過程を体感するそんなイベントのようです。
アートに関心がある方はもちろん、普段と少し違う場所でパフォーマンスの体験をしてみたい方々にお勧めです。
●岡西康太さん、児玉美香さん、谷口裕子さんの話
――このイベントが始まったきっかけを教えてください。
岡西康太さん(以下岡西):2015年10月のMinatomachi POTLUCK BUILDING(港まちポットラックビル)のオープンに合わせてアートプログラム・Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya]もスタートしました。基本的にMinatomachi POTLUCK BUILDINGの3階を中心に行う現代アートの展覧会は、MAT, Nagoyaのプログラムとして年に3〜4回、企画を行っています。その展覧会シリーズのひとつとして、愛知県美術館の館長、島敦彦さんをゲストキュレーターにお招きして、2016年の夏に『ほったまるびより-O JUNと吉開菜央』の Part1をMinatomachi POTLUCK BUILDINGの3階で開催しました。今回はその第二弾となります。
児玉美香さん(以下児玉):『ほったまるびより』というのは映像作家でダンサーでもある吉開菜央さんの映像作品のタイトルですが、『放っておいて溜まるもの』。髪の毛とか皮膚とか匂いとか、日々溜まっていくものに日和という言葉を付けた造語です。またO JUNさんは画家としてこれまで制作活動をされてきた方ですが、画家にとってその作品たちも日々溜まっていくものではないか。実はOさん自身もこれまでパフォーマンスとして身体を使って表現することも行っているので、その2人の展覧会をするとどういうことが起こるだろうということで、島さんと企画しました。Part1では、Oさんの幼少時から現在に至るまでのドローイングや絵画作品の数々と、吉開さんの『ほったまるびより』を観てもらう、展覧会を行いました。今回のPart2では、Oさんは『画家の三日間』ということで、画家の生活や制作風景を公開したり、ご自身のコレクション作品を展示します。また、吉開さんは『自家製4DX』ということで、水や煙、匂いなどを使った特殊効果とあわせて、一般公募で集まった名古屋のダンサーと共に、『ほったまるびより』の映像に合わせた、パフォーマンス公演を行います。
――まちづくりの一環としての活動ということですが、そことアートを繋げようと思われたのはどうしてでしょうか。
児玉:元々このエリアは『アートポート』という倉庫街を使ったアートプログラムが展開されていたり、名古屋自体が現代アートの最先端の時期もあったんです。そんな経緯もあって、港まちづくり協議会の活動の指針を示すVisionBOOKという5年の中長期計画のなかの1つで、アートや音楽のイベントをやっていこう、立ち上げてみようと考えました。
――公演はどういった場所で行うのでしょうか。
岡西:名古屋港駅近くに、『名古屋税関港寮』という場所があったのですが、そこを会場に行います。
児玉:すでに使われていない場所で、当時は研修で来られた人が泊まることが目的だった、旅館みたいな雰囲気の会場です。
――具体的にどういった形で企画が行われるのか教えてください。
児玉:1階で吉開さんによる『ほったまるびより 自家製4DX』の公演、2階ではOさんが滞在しながら公開制作やこれまでの作品の展示を行います。『ほったまるびより 自家製4DX』自体はこれまでにも東京や韓国でも公演されているのですが、今回は劇場ではない、より日常と近い場所が舞台になります。ですので、間近でダンサーのパフォーマンスを観たり、水や匂いが迫ってきたり、そういう感覚を味わうことができます。
谷口裕子さん:観客が旧・名古屋税関港寮の中に入った時から、『ほったまるびより』の世界観に入り込んでいくような感覚で、Oさんが生活しながら作品を作っていたり、そこで制作された作品が展示してあったり、Oさんが設えた場所をふんわり体験する。そこに吉開さんの要素が加わって、パフォーマンス公演で4DXが観客にさまざまな感覚として迫ってくる。その場所や時間でしか味わえない経験をしていただけたらと、考えています。
児玉:作品自体はそれぞれ別なのですが、2人の作品が緩く交わっています。お互いや観客が動くことで、それらがより深く交わっていくような。
――Oさんは旧・名古屋税関港寮に滞在されての制作ということなのですが、どういった形で公開されるのでしょうか。
児玉:3日間の中で観客は、開場から閉場の間で『ほったまるびより 自家製4DX』の公演以外の時間だけ、ご覧いただくことができます。画家も作品を制作するときはさらさらっと描ける訳ではなく、悩みながら、絞り出すような感覚で形にしています。そういう生活や制作の様子とか、苦闘する所など普段なかなか見ることのできない姿に触れて貰えたらと思います。旧・名古屋税関港寮にはいくつか部屋があって、これまでの作品を展示する部屋と、今回新たに壁画を公開制作する部屋があります。限られた時間の中でしか体感することのできない、展示と公開制作です。
――3日間通えばその過程が更に楽しめる訳ですね。
児玉:そうですね。徐々に変化する様が見られます。
――他になにか見所があれば教えてください。
児玉:舞台でない所で公演をしたり、展示室でない所に作品が飾られていたり、そこが面白い点ではないかなと思います。そして各日、公演後のアフターイベントとして、『ほったまるびより』に出演し音楽を手がけた柴田聡子さんによるミニライブや、ゲストキュレーターの島さんとOさんによるギャラリーツアー、最終日にはトークやパーティーなど、実際に作家と観客とが交流できる企画もご用意しています。ぜひお楽しみください。
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『ほったまるびより-O JUNと吉開菜央 Part2 -画家の三日間とほったまるびより自家製4DX公演-』
会場:旧・名古屋税関港寮(〒455-0036 名古屋市港区浜2-4-10)
日時:2017年3月3日(金)〜3月5日(日)
*開場、閉場時間など、スケジュールは各日異なりますので、詳細をご確認ください。
参加アーティスト:O JUN、吉開菜央、 柴田聡子
ゲストキュレーター:島敦彦
企画:Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya]
主催:港まちづくり協議会
協力:アッセンブリッジ・ナゴヤ実行委員会、CaRTe bLaNChe、Mizuma Art Gallery
詳細はこちら
http://www.minnatomachi.jp/event/220
http://www.mat-nagoya.jp/exhibition/2083.html