投稿者「名古屋演劇アーカイブ」のアーカイブ

鄭慶一 さん

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みなさまこんにちは。
初めましての方々は初めまして。
福岡県北九州市は八幡東区枝光という地域にある「枝光本町商店街アイアンシアター」というコミュニティースペースを運営しております、鄭 慶一(ちょん きょんいる)と申します。
このような素敵な企画にお呼ばれしていただいた事大変嬉しく思っております。
と、同時に執筆に時間がかかってしまい関係者の皆様にご迷惑おかけしたこと申し訳なく思ってます。
すいません。

さてさて、何を書いて良いやら検討もつきませんし、そもそも僕がいわゆる一般的な「制作者」なのかどうか甚だ疑問ではありますが頑張って書いて行きます。
まずは僕がどこで何をしているのかをお伝えいたします。

枝光という町ですが、これはかつて官営八幡製鉄所という馬鹿みたいに大きな鉄の工場がありそのお膝元であきれるくらい栄えた町です。
鉄さんの撤退後急速な衰退を見せ、今では日本の中でもトップクラスの高齢化率を見せる町です。
といってしまうととってもネガティブに聞こえますが、僕は全然そんなことは思ってません。
僕は高齢化は「地域資源」だと思ってますし、何よりみなさん元気で町の事を真剣に考えています。
今この町はとっておキラキラしております。
そんな町で活動しております。

さて、ではなにをしているのかと申しますと主には小屋の運営です。
なのですが、最近はもっぱら小屋の仕事はそっちのけで町の事ばかりしてます。
アイアンシアターはコミュニティースペースと申し上げましたがやってることはほぼ劇場です。
現行の北九州市の条例では劇場と言えないので、コミュニティースペースと称してますがいい加減活動の規模が大きくなって来てお上からどやされております。
なので、今度劇場と称するために改装を予定してます。
ちょっと話が脱線してしまいましたが、とにかく町のことばかりしてます。
これが僕が「制作者」であるかどうか疑問だと言った理由です。
そしてその疑問を抱くようになった経緯は以下のような感じです。

そもそも、僕は未だに「制作者」といったものがどんなものかわかっていません。
いわゆる演劇界の外にいる方々に「制作です」と言ったところでなんのことやらわかってもらえませんし、そんなことでは結局演劇界の中を堂々巡りでどんどん業界自体が縮小していってしまうような気がしてなりません。
よく聞く「ヨーロッパではね」とか「日本は文化芸術に対して」といった類いの「環境が悪いから自分たちが大変論」をシャワーのように浴びせる方がいらっしゃいますが、そういった方々が事の元凶だと思いますし、「演劇ってさ」とか「芸術ってさ」的な「どう考えても難しい事言って気持ち良くなってるだろ論者」がいるから緩やかに舞台芸術界の敷居が高くなっていって業界内でしか経済が回らなくなってるんだと思います。
環境に文句を言う方々は言い換えれば環境に適応できない方々ですし環境を変える力が無い方々です。
不満や問題だと思う事があればそれを自分が思う改善に向けて動かなければならないと思ってます。
そんでそれができないなら不満や不平をこぼさないことです。
とってもかっこ悪い。

制作者とは?みたいなことを話し合う場で必ずと言っていい程でる意見で「社会と作品を繋げる人・役割」ってのが出てきます。
まさしくその通りだと思います。
ですが、これ「=集客」ではないと思います。
「観てもらう」が目的になっちゃうととりあえず今回をどうにかする!といった形で集客しちゃうから結局堂々巡りです。
知ってもらって、楽しんでもらって、ちゃんとその人の人生の中で舞台芸術を娯楽として継続して自分たちの商品を買ってもらわねば、といった考え方をしないといけないんじゃないかなと思います。

んで、お芝居関係者によく感じるのは、言葉に頼りがちだなということです。
僕おもうんですが、「言葉」に力はありません。
誤解していただきたくないのできちんと書きますが、「言葉だけ」には力はないんです。
行動して何かを成し得た時「言葉」は初めて力を持ちます。

もし制作者という人がいるのであればそれは、「社会と演劇を繋げる人」ではなく「演劇をしている中の社会を知ってる人」若しくは「演劇をしている中で一番社会に近い人」でしょう。
ここでいう社会は演劇をしている人が知っているつもりになっているor考えている社会ではなく、ごく普通にそこにある社会のこと。
そこにアプローチしないとだめでしょうね。
僕は日本社会のことを知っているとは言えませんが、少なくとも枝光という小さいながら素敵な社会の事は知っています。
僕の故郷である韓国より、生まれた町より知っています。

とはいえシアターの利用者は演劇界の方々です。
なのでちゃんと勉強はしてますし、こと「劇場」の話であれば日本中の同年代の演劇界の人間の誰よりも知識を持っている自負はあります。
でもそんなことよりも、地域のこと知ってここで活動していく「許し」を得ながら、ここでしか出来ないことを追い求めていくことにやはり楽しみを覚えます。
こんな辺鄙なとこに、舞台芸術の先端をいく方々が集ったりするのは、どこか痛快です。
(あ、今度枝光で芸術祭します。よかったら情報をこちらから。https://www.facebook.com/pages/枝光まちなか芸術祭/270989723101928?fref=ts

といった形で面倒なことを毎日考えているのが僕です。
もう全然自分の話してないし制作的な事をお話してないから怒られちゃうんじゃないかな。
(ただでさえ入稿をお待たせしちゃっていて、ほんと申し訳ありません。。)

リレー方式ということで次は、北九州芸術劇場にお務めの黒崎あかねさんにお願いしたいと思ってます。
僕この方がとても好きで、随分と先輩なのですが僕の生意気なお話に真摯に耳を傾けてくださって且つちゃんとご意見くださり、更に北九州で一番素敵な制作者さんであると思っています。

質問は、「制作者ってなんですか?」にしましょう。
長くなりましたが最後に、堤さんからいただいた質問『今、一番興味のあることってなんですか?(演劇に限らず)』の返答です。
結婚!!