投稿者「名古屋演劇アーカイブ」のアーカイブ

森忠治 さん

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森忠治(tripod)

仙台から森です。森忠治(もりちゅうじ)と申します。どうもはじめまして。父方の祖父と同姓同名です。と言っても祖父は父が子どもの頃に亡くなったので、会ったことはないのですが。

仙台で演劇制作の仕事をしています。いちばん長く続けているのは三角フラスコというカンパニーのプロデュースです。18歳のときからですので、もう20年になります。そのほか、小室さんにご紹介いただいた仕事は、せんだい短編戯曲賞のディレクターですね。これはせんだい演劇工房10-BOXの事業として立ち上げから関わっています。それから、大阪発の一人芝居フェスティバルの仙台版『INDEPENDENT:SDN』では、地域プロデューサーをやってます。他には多地域から仙台に来るカンパニーの受け入れをやったり、シンポジウムのコーディネートをしたり、学校でワークショップやったりして暮らしています。

せんだい短編戯曲賞は、仙台市と財団法人仙台市市民文化事業団の主催によるまだ3年めの新しい戯曲賞です。その名の通り、短編戯曲を対象にしていますが、その定義は「上演時間おおむね60分以内の戯曲」としていて、厳密なものではありません。そもそも戯曲の公募なので上演時間を引き合いに出すのはおかしいのですが、ページ数とか文字数とか戯曲の書式ではあまり意味が無い気がしてこうしています。応募する方が、この作品の上演時間はおおむね60分以内である、と思えば応募いただいて大丈夫です。実際、これ60分では上演できないっぽいなあと思うような長さの作品が応募されてくることもありますが、特にそれを弾いたりはしません。ただ、短編戯曲の賞なので、あまり有利ではないかもしれないなあと思います。

選考委員は、日本各地の制作者/プロデューサーの方にお願いしています。これは戯曲賞のコンセプトがうまれたときに同時に浮かんできたこの企画の骨子です。その賞が何を目指しているのかで、誰が選ぶのかが自ずと決まる。どんな賞でも「誰が選ぶか」というのは大きなメッセージになる。そんな風に思っています。長年続けておられるAAF戯曲賞は、今年2015年選考委員ががらっと変わりましたが、その方々を見れば明らかな意図がこめられていると思います。

もうひとつこの戯曲賞では、最終候補作品を戯曲集としてまとめています。最終候補作品は10作品前後としているのですが、1年目は12作品、2年めは11作品をまとめた戯曲集を発行しました。これは「本」として形が残るということの長期的な効果を狙っています。さらにこの戯曲集には「選考経過」として最終選考会のドキュメントを収録しています。この戯曲賞では選考会は非公開で行うのですが、この「選考経過」で大賞作品決定までの流れをかなり詳細に見えるようにしています。もし、もっとこの戯曲賞について知りたいと思う方は、このドキュメントを読まれることをお薦めします。

この戯曲賞を仙台に立ち上げることができたのは、かつて仙台で行っていた「劇のまち戯曲賞」の大賞作家の皆さんの活躍があってこそだと思っています。遊劇体のキタモトマサヤさん、ままごとの柴幸男さん、現在小説家としても活躍されている中澤日菜子さん、オイスターズの平塚直隆さん、4名とも受賞後も継続して仙台という地域へ視線を向け、関わりを持ってくださっています。その実感がこの賞のコンセプトとして私が考えている「出会いの場としての戯曲賞」という発想に繋がりました。

優れた作品を顕彰する機能を超えて「出会いの場としての戯曲賞」を思考したい。ならば選考委員は制作者の方にお願いしよう。戯曲集を発行してそこに多くの作品を収録しよう。様々な作品を様々な方法で紹介したい。願わくばそこから、優れた上演がうまれてほしい。

で、ここで小室さんからのひとつ目の質問、「最近制作として興味を持っているのはどんな仕事ですか?」に答えたいと思います。それはそのまま出会いを作ることです。ここまで書いた戯曲賞もそうです。でもそれだけではありません。思えば自分が演劇制作を仕事にしているのは、色々なものを繋げるノードになりたいという欲求があるからかもしれません。劇作家と演出家、作品と観客、創り手と創り手、様々な交点が人の暮らしを豊かにすると信じています。

「最近制作として興味を持っているのはどんな仕事ですか?」

もういちど、別な答え方をします。最近制作として興味を持っているのは、社会の中でのふるまいや暮らし方について考える仕事です。長くなってしまうので詳細は書きませんが、「四国食べる通信」ポン真鍋さん、岩手県・西和賀町地域おこし協力隊/銀河ホール学生演劇合宿事業の森陽平さん、鳥取県・汽水空港のモリテツヤさんに注目しています。別な答え方をしましたが、結局上に書いた答えと同じかもしれません。制作として社会と演劇の交点について考え、それを地域の中で仕事として成立することを模索する上で、社会と個人の生き方との関係性についてこの3人からヒントをもらっています。

さて、次に繋ぎたい人、里見有祐さんです。横浜のカンパニー、ペピン結構設計の制作をされています。里見くんと初めて会ったのはこまばアゴラ劇場の稽古場でした。fringeが主催した「制作者のための宣伝美術ワークショップ」に参加したとき、車座になって座った私の隣にいたのが里見くんでした。2004年、ペピン結構設計が東京国際芸術祭のリージョナルシアターシリーズに参加する直前でした。
それから10年以上、お互いにお互いが手掛ける作品を観たり、お互いの街で遊んだり、三角フラスコとペピン結構設計で2本立て上演をしたり、基本たまにしか会わないんだけど、気を使わず話せる友だちです。
2011年の2月に横浜にペピンの公演を観に行って、その2ヶ月後、里見くんはペピンの石神さんと仙台に来てくれました。色々あって疲れきっていた私は、遠くから来た友だちとカフェでお茶する、そんな単純なことがすごく嬉しかった。
最近は小倉や高松でのペピン結構設計の活動にも少しだけ立ち会わせてもらって、ほんと色々刺激をもらっています。上にあげた「四国食べる通信」の話を教えてくれたのも里見くんです。こないだ会ったときは、横浜の話をしなかったので、里見くんが相談役で関わっている、急な坂スタジオの制作道場の話も聞いてみたいです。

そんな里見さんへの質問は「さいきん気になっているカンパニーとか作家、おしえて」です。やー、ふだん演劇の話あんましないからさー。

ちなみに私がいま気になっているカンパニーおよび作家さんは、女の子には内緒/柳生二千翔さん、ブルーエゴナク/穴迫信一さん、私見感/緑川岳良さんです。ほとんど面識無い方もいるのですが勝手に書いてます。順番に意味はありません。
仙台のカンパニー/作家で、多地域の方に機会があればぜひ観て欲しいと思うのは、屋根裏ハイツ/中村大地さんと劇団うさぎ112kg/工藤麻美子さんです。

小室さんからのもう一つの質問、「集中力が持続する秘訣があれば教えてください」これ、やーこれは俺も知りたいですよ。ただ最近考えているのは、やはりつまるところ適度な運動かなと。私は小中高とかなりガチ目で水泳をやっていたのですが、その頃のほうが頭がさえていたような気がして、でもそれは若さだったのかもしれませんが。最近は長い散歩を趣味にしています。