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劇団クセックACT『ドン・キホーテ……その狂気について……』

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劇団クセックACT『ドン・キホーテ……その狂気について……』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

公演も近づいて来ている時期だけあって色々なものが形になりつつある中、更に進化させる為の演出指示が飛び交う現場を目の当たりに出来ました。

動く絵画と呼ばれているだけあって、取材をしていてもそのひとつひとつの場面が様になっていて、写真を撮るのもとても楽しい稽古場でした。

以前にも上演した演目ではありますが、全く別作品になるということです。

●神宮寺啓さん(構成・演出・舞台美術)の話

――今回『ドン・キホーテ』を題材に選ばれた理由を教えてください。

神宮寺啓さん(以下神宮寺):ドン・キホーテ後編の出版400周年が去年で、加えてセルバンテスの没後400周年というのもあって、現在スペインを中心としたヨーロッパでは何年か掛けてセルバンテス祭等が開催されています。ドン・キホーテはスペインの象徴的な文学のひとつですから、それもあって取り上げてみたいと思いました。2005年にも万博でやっていますが、役者がほとんど変わっていますし、人数が倍くらいになっていますし、それと僕自身が前の作品がどうだったか覚えてないんです。ですから、踏襲はしないつもりでやっています。前のビデオも観ていないです。新たにこうしたいああしたいというのものをやってみたい。なので前回より大幅に変わっていると思います。

――演出しながら思い出すようなことはありませんか。

神宮寺:永野くん達が前のビデオを観て、前回こうでしたよみたいなものは作って来てくれたんですね。でもそれを観た時に面白くないと思ってしまいまして。それでどんどん壊していったら最後まで壊すことになりました。台詞は一緒なんですけどね。表現方法が変わっています。12年前にご覧になった人からすると違うなと思われるかもしれません。

――特に演出上で意識されていることはありますか。

神宮寺:『アイロニー』というのが僕にとってキーワードなんです。セルバンテスはユーモアと嘲笑の文学と言われてるんですね。例えば『才智あふれる郷士ドン・キホーテ・デ・ラマンチャ』というのが正式名称なんですけど、『ドン』というのは称号であって、貴族に与えられるものなんです。なので郷士がドンなんて付けてはいけないんですよ。ここの言葉にもアイロニーが含まれている。有名なのはドン・キホーテが風車に向かって行く場面で、サンチョ・パンサが「あれは風車なんですよ」と言ってもドン・キホーテには巨人にしか見えない。それはどうしてかと言うと、当時のスペインでは金や銀が沢山取れたんですが、スペインの人々が商売が上手くなかった為に北欧の国々が自国に持って行ってしまったんです。それをオランダがスペインに持ち込んだ風車で皮肉っているんです。でも17世紀の人達はその裏側は誰も分からない。ですが長年の研究の結果、ただの滑稽小説ではないということが分かってきて、所謂小説の元祖と言われるようになりました。なので、このアイロニーを凄く意識しています。表現として。それを見破ってくれると嬉しいです。

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劇団クセックACT『ドン・キホーテ……その狂気について……』

翻訳・構成・脚色:田尻陽一
構成・演出・舞台美術:神宮寺啓
会場:名古屋市西文化小劇場
日時:2017年5月3日(水)~5日(金)

詳細はこちら
http://www.ksec-act.com/