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竹宮華美 さん


写真:前谷開

初めまして。京都造形芸術大学の中にある京都芸術劇場(春秋座・studio21)で主に企画運営(舞台制作)の仕事をしている竹宮華美(たけみやはなび)と申します。出身は愛媛県です。

自己紹介をするといつも相手の顔に「?!」が浮かぶのが目に見えて、「ちなみに名前は本名です」というところから会話がスタートします。この、ぎりぎりキラキラネームではない名前、とても気に入っています。
このリレーは、バトンをいただいた濱見彰映さんのご質問にお答えしつつ、私自身のことを好きに書いてお伝えできればなと思います。

最初に、少しだけ大学までのことについて触れておきます。私は愛媛県松山市の北条という港町で育ちました。両親が個人経営で東南アジア(主にタイのチェンマイ)の生地でデザインした洋服や雑貨、ビーズや少数民族の布などを輸入して販売する雑貨屋をしていました。今でこそ珍しくないですが、アジア輸入雑貨屋の走りだったと聞いています。私は2歳から、妹たちは0歳から毎年、冬の仕入れに短くて1ヶ月ほど家族全員で行くという変わった行事があり14歳ごろまで続きました。肌感覚的に小さい時から大人や日本人以外の人が比較的多い環境で育ったこと、とてもいい経験をさせてもらったなと感謝しています。
高校は愛媛大学が当時、農学部附属農業高校を持っていてそこで農業を学びました。大学のように科目選択は基本自由で、全く縛られることのない高校時代でした。文化祭の運営をしたのが楽しく、その頃から音楽(ライブ)のプロモーターになりたいと漠然と思い始めていたことが、今の仕事に繋がっていると思います。当時は知らなかったけれど、高校3年間通ったダンススクールの先生の中にコンテンポラリーダンスカンパニーのyummydanceのメンバーがいて、その愛媛公演の手伝いをしたのですが、それがNPO法人JCDNの「踊りに行くぜ!」企画だったということを知ったのは、大学に入って少し経ってからでした(コンテンポラリーダンスを観て面白いと思ったのはこの時が最初です)。
そのあと、かなり想定外の流れで、農業高校から京都造形芸術大学の舞台芸術学科に入学しました。大学4年間は、寺田みさこさんや伊藤キムさんのクラスでコンテンポラリーダンスを踊ったり、大学から触れた演劇は、三浦基さんのクラスで先輩に「関わるなら役者が面白い」と言われて役者をしたり、授業発表公演や自主企画、学外の劇団などの舞台制作、パフォーマンス系の展示企画の手伝いなどをしていました。卒業制作では6つの上演企画(うち2つは担当制作)をまとめる総合制作という役割で卒業しました。総合制作として、すべての企画の記録写真を撮影して、公演が終わるごとに広報の意味も込めて、学内の廊下に写真を展示したことを評価してもらえてとても嬉しかった記憶があります。

卒業後の2年間は就職したり、仕事を辞めてフリーランスで舞台制作の仕事をしたりしましたが、ご縁もあり今の職場で働き始めました。京都造形芸術大学の中にある京都芸術劇場という劇場を運営している舞台芸術研究センター(以下、センター)の共同利用・共同研究拠点(以下、拠点)の事務局を担当しています。この拠点は、文部科学省が認めた大学の研究機関が持てるもので、各大学の持つ施設や設備を広く学内外の研究者にも使用してもらい新しい研究に繋げていこうというものです。堅苦しい感じでわかりにくいかもしれないのですが、春秋座・studio21を広く研究者(舞台芸術関係やそうでない研究者も対象)とアーティスト(演出家やダンサーはもちろん技術者や制作者も対象)に活用してもらい、学術的・実践的な舞台芸術作品の創造をサポートしています。拠点名は「舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点」といいます。全国に置かれている拠点の中でも、変わった活動をしているのではないかと思います。
この拠点は、必ずしも舞台作品の発表(公演)が目的ではなく、作品創造のプロセスが重視されているところが特徴的です。もちろん公演に繋がることが目標でも全く問題はありませんが、舞台芸術とさらには芸術を越えた新しい領域との創造研究をすることも可能な枠組みで、このような幅があるというのは大学の中にある劇場だからこそできることなのではないかと思っています。毎年、だいたい4〜5件の研究プロジェクトがあり、劇場実験という公開研究発表を必ず行っています。研究プロジェクトは今の所、センターに関わりのある先生が代表となるテーマ研究と、学内外から広く募集をする公募研究があります。ここで行われた劇場実験を経て、本公演が行われたり、今までにない試みが学会などでは発表されています。とても簡潔にしか説明できていないので、ぜひウェブサイトもご覧ください。今までの研究報告もアニュアルレポートで公開されています。
http://www.k-pac.org/kyoten/

このような環境で育ち、いま舞台芸術に関わりながら考える、濱見さんからのご質問の「制作者として一番やりがいを感じる瞬間」は、作品作りのプロセスに関わって、アーティストがやりたいと思った表現をして新しい作品が生まれる場に立ち会えた時にやりがいを感じているのかなと、改めてこの質問を受け止めながら考えています。「もっと他にもあるでしょ」という方もいるかもしれませんが、根本的にはそこだなと思います。そんな風に考えるようになったのも、この拠点と、拠点がある舞台芸術研究センターで行っている企画に関わっていることが大きく影響しています。劇場なので舞台の作品を上演することはもちろんですが、作品制作のプロセス、リサーチや稽古といったまさにクリエイションする現場でアーティストが新しい知識や情報を得て、身体でメキメキと成長しているような瞬間を見た時が、これをもっと多くの人に見てもらいたいと思えるし、この瞬間のために頑張ろうと思うところだなと感じています。
お答えとしてはとっても、漠然とした感覚なので、恐縮ですが、、、
そして、かっこよく言ってますが、日々の事務作業に追われてしまっていることも多いし、実際はいろいろな状況や制約によって出来ないこともあり「それはできません」と制限をかけることを言わなければいけない立場でもあるので、自分自身でも悔しいなと思うことも多いです。あと、同じくらいの立場で物事を進めていくためには、もっと私自身が広く学び、いろいろな世界を知っていかなければなぁと日々思っています。
私は前向きで、プラス思考、元気だけが取り柄だと思っているので、それと自分の感覚や嗅覚をしっかり研ぎ澄ましながら、たくさんの表現に関わっていければなと思っています。
なんだか、まとまりのない記事になってしまいました。読んでいただきありがとうございました。
次回の私が担当する共同利用の劇場実験は年明けの2019年1月〜3月にある3つです。今年は大雨や台風でことごとく、担当の研究会や委員会が中止や延期になっているので、年明けはそのような影響が出ないことを祈っています。。
最新情報は上記のHPでご確認ください!

さて、次にバトンを回すのは、愛知で舞台芸術に携わっている村松里実さんです。愛知県芸術劇場の企画やあいちトリエンナーレ2019にコーディネーターで関わっています。オルタナティブなスペースでの企画やそういう現場と劇場や舞台芸術を繋げる企画をしていたりで、面白い動き方をしているなぁと思っています。村松さんへの質問は「ジャンルが違うアーティストを繋げるときのコツ」を聞きたいなと思います。ざっくりとした質問ですが、お互い舞台芸術にこだわり過ぎていない意識を持っていると思うので、そのあたりで何か心がけていることなどあれば知りたいなと思います。
よろしくお願いします。