島袋景子 さん

はじめまして。
BBQができる劇場・アトリエ銘苅ベース(https://www.m-base.okinawa/)の島袋景子です。
北村さんからのバトンを恐れ多くも受け取らせていただきました。

銘苅ベースは沖縄にある数少ない民間の小劇場の1つで、オープンは2017年。約80席(通常時)の劇場にレジデンスや叩き場もあり、ロビー&駐車場ではBBQもできます。

私は、アトリエ銘苅ベースの運営スタッフの1人として、県外からカンパニーからの受入や、自主事業の企画制作などをやらせてもらいつつ、フリーランスの制作者としても舞台や芸術文化に関わる諸々をやっております。

生まれは東京、沖縄在住歴は16年になります。東京の映像制作会社を辞め、観光の仕事をしたくて沖縄にきました。観光系のWEBサービス会社などを経て、「文化観光」というキーワードから、現代版組踊(地元の中高生が参加する、舞台づくりを通した青少年の「人財育成」「地域興し」の取組)に関わる様になり、舞台制作に足を踏み入れ、気が付けば、今になっています。なので、今でも「演劇の制作者」と名乗るのはしっくりきていないのが正直なところです。

銘苅ベースの代表の当山さんから「運営を手伝ってくれませんか?」と連絡がきたのは、まもなく2人目の子どもがお腹からでてくるぞ。という臨月直前のタイミングでした。「えっと…私、来月、子どもを産むんですけど…、演劇もそんなに詳しくないんですけど…」「大丈夫、大丈夫、出来る範囲でいいから。」みたいな会話をし、断りきれず、「では、子育て優先、出来る範囲でよければ」と引き受けました。あの時お腹にいた子は先月4歳になりました。

4年間で県外からもたくさんのカンパニーを銘苅ベースでお迎えしました。様々な地域からやってくる皆さんや作品との出会いは面白いです。表現方法は勿論、演劇との距離感もそれぞれで、こんなやり方もあるんだ。という気づきをいただいています。制作をきちんと学んできていない私にとっては学びの連続で、ラッキーなポジションだな。と思っています。

その中でも北村さんのお仕事っぷりはとても印象に残っています。まず、いただいた企画書が完璧だったので、サポートしやすかったこと。蒸し暑い沖縄で、汗をふきふきしながら、いろんなところに足を運んでいた北村さんの姿が印象的でした。そして、「飛ぶ劇場」の公演は盛況で、お客さんがとても喜んでくれていました。

沖縄は公演地としては、難しい場所だと思います。いわゆる「演劇ファン」は少ないので、劇団名や受賞歴では満員の客席はつくれません。銘苅ベースに県外からくるカンパニーさんも集客に苦戦することが多いです。でも、(ちゃんと考えて)やればできることを北村さんと「飛ぶ劇場」さんに証明していただきました。

そんな北村さんからのご質問にそろそろ答えます。

Q1.この2年ちょっとどのような日々を過ごされていたのか。

2020年の夏に子どもが1人増えて3人になりました。
コロナの影響で保育園の休園が繰り返されるので、子どもと過ごす時間が増えていました。感染防止の為、運動会やお遊戯会も中止。末っ子はいまだに静岡に居る曾祖父母に会えていません。子どもの貴重な機会がことごとく潰されていく状況と、「劇場は安全ですよ」「芸術は必要ですよ」と人を集めることの整合性を自分の中にどう見出せばよいのか、葛藤しています。
でも、1人の観客としては「劇場って良いな。」と、この2年間で実感しました。忙しない生活の中、客席でどっぷりと集中できる時間は、脳や心をリフレッシュさせ、なによりも劇場に2時間閉じ込められている間は日々のアレコレから切り離され、自分としてそこに居られます。
あと、子どもが大きくなり、一緒に観劇したり、感想を聞いたり、突然、子ども達による再演が行われるのを見るのも楽しいです。

Q2.これから先の風景をどのように描いているか

「子育て優先、出来る範囲で」というスタンスは当分、継続します。(というか…ここぞ!という本番や忙しい時期にかぎって、子どもの誰かが体調を崩すし、仕事を引き受けすぎると、家族にも仕事にも影響が出て悪循環にはまり、良いことがない。)とはいえ、関わっていると「あったらいいな」「これもやりたい」がみつかります。なので、一緒に取り組んでくれる人をみつけ、できる「環境」をつくっていきたいと思っています。
昨年度は沖縄を拠点に活動する4つの劇団と共同で「おきなわ子ども演劇プロジェクト」(https://okigekids.jimdofree.com/)を立ち上げました。現在は那覇文化芸術劇場なはーと&3つの劇団と共同で「沖縄・復帰50年現代演劇集inなはーと」に取り組んでいます。私が1人でやるにはキャパオーバーなので、どちらも制作は複数人で協業しています。制作って、孤独になりがちなので、相談できる人、負担を分かち合える人が近くに居るというのは心強く、このスタンスも悪くないな。と思っています。
今、やりたいのは、「おきなわ子ども演劇プロジェクト」を軌道に乗せることと、公演時の託児サービスの導入です。あと、コロナで中止になってしまった銘苅ベースの大開放デーもそろそろ実現させたいです。
「劇場は命薬(ぬちぐすい)」―沖縄で開催されているりっかりっかフェスタのキャチコピーなのですが、銘苅ベースも、そして私が関わるお仕事が誰かの命薬になれば嬉しいな。と思っています。

それでは、次のバトンを土屋わかこさんにお渡しします。
土屋さんとは今、一緒に「沖縄・復帰50年現代演劇集」に取り組んでいます。実は今回初めて一緒にお仕事をしているのですが、プロジェクトの初期のデザインだしのミーティングで、疑問や懸念をしっかりと投げかける様子に「あ~!!私にないものをもっている!!」と思い、そこから信頼を寄せています。

土屋さんへの質問は、
「沖縄でこれからやりたいことはなんですか?」

長くなりましたが、最後に改めて、「沖縄・復帰50年現代演劇集inなはーと」の宣伝をさせてください。

今年は沖縄が本土に復帰して50年です。
NHKの朝ドラなどでも取り上げられ、「50周年」として祝い事として捉える人もいます。その反面、「復帰」という表現自体が間違っている。と捉える人もいます。
50年前、そしてこの50年間、沖縄で何が起き、そこに暮らす人たちは何を感じてきたのか。そして、この先の未来をどう描いてくのか。沖縄で暮らす脚本家、演出家、役者による3つの演劇を通して、多角的に「復帰」を描きます。
是非、5月、沖縄にいらしてください!

▼沖縄・復帰50年現代演劇集inなはーと~沖縄の3つの劇団が描く「復帰」~
https://okinawa50years.jimdofree.com/
5月4日~5月14日、那覇文化芸術劇場なはーと小劇場にて開催

あっ!2022年度のアトリエ銘苅ベースの提携カンパニーも募集中です!
BBQができる劇場を使ってみたい!という方、お気軽にお問合せください!

▼アトリエ銘苅ベース提携カンパニー募集
https://www.m-base.okinawa/company2022/