日本の演劇人を育てるプロジェクト『女の平和』

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日本の演劇人を育てるプロジェクト『女の平和』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

タイトルの通り、女性が主体のお芝居です。

物語も女性を中心としたものですが、更にそこに女性演出家や女優陣の視点が加わり、まさに女性の芝居となっております。

かと言って女性だけに向けた作品ではなく、多くの人が観られる配慮があちこちにされており、老若男女楽しめそうな作品に仕上がりそうです。

●森釗さん(プロデューサー)、鹿目由紀さん(上演台本・演出)、松本広子さん、森裕紀子さん(出演)の話

――今回この題材を選ばれた理由を教えてください。

森釗さん:女ですな。女が大事です。女が歴史を動かすという。平和っていうものは大変大事なもので。それを言わないといけない。男は戦争ばっかりやってるから。それに女が抵抗している。命を生み出す女が一番損なわれてしまう訳でしょ。これはそういう意味で最も典型的な寓話。だからこれをやりたいと思った。そんなことを考えているうちに鹿目さんが演出として一番いいんじゃないかなと。女性らしい所もあるし、男顔負けでもあるし。そして名古屋の女優さんで活きがいい者をと、ひとつの劇団だけに偏らないでやろうと思いました。

――日本とは違う文化の原作を台本に起こすに辺り、気を付けたことはありますか。

鹿目由紀さん(以下鹿目):文化の違いはあると思うんですけど、外国の話だろうが日本の話だろうが普遍的な所はあるので。そして現在日本が抱えている問題とは非常に近いですし、今やれて良かったなと思っています。

――役者の話し方もかなりくだけているように感じたのですが、そこは意図的に演出されているのでしょうか。

鹿目:使っている訳の中にはくだけている所もあったりして、そのどちらもモデルにして書き直しています。いま一番使いやすい言葉でやった方がいいなと考えました。

――自身の役を演じる上で気を付けていることはありますか。

松本広子さん(以下松本):鹿目さんが言われているように、この台本を読んで、今の時代にも通じるものがあるなと思いました。わたしが中学の時にはイラク戦争があったりして、平和というものに対して凄く考えていた時代もありました。元々わたしは戦争とエロは経済を回すんだなと思っていて、この台本を読んだ時になるほどと思いました。戦争を止めるにはエロで対抗すればいいんだなと。日本人はそれを隠したがりますが、逆にそれを武器に変えてやっていけたらなと考えています。

森裕紀子さん(以下森裕紀子):戦争って身近では無いので、演技をしていてもどこか遠巻きに見ている自分があるんですけど、でも日常でも戦っている部分はありますし、そことうまくリンクをさせて。自分の中の戦争を交ぜくり表現しようと。とにかく伝わるものにしたいなと思っています。何か感じて貰えたらいいなと思って。

――鹿目さんの演出の特徴等があれば教えてください。

森裕紀子:お客様に伝わるようにどう演じるかを分かりやすく言ってくださって。とても分かりやすいです。凄く素敵な演出家です。

松本:とても役者に任せてくれるというか。わたしたちと一緒に考えてくれる。凄くアイデアを出してくれてわたしたちの想像を膨らませてくれます。

――今作の見所を教えてください。

鹿目:歌と踊りがあるんですけど、それがきちんと必然性を持っているものになっています。これはセックスストライキの話なんですが、ギリシャ特有の非常に開けっぴろげで、大らかな太陽のようなエロスをとても大事に作っています。

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日本の演劇人を育てるプロジェクト『女の平和』

作:アリストパネス(高津春繁訳)
上演台本・演出:鹿目由紀
作曲:ノノヤママナコ
会場:愛知県芸術劇場小ホール
日時:2015年12月24日(木)~27日(月)

詳細はこちら
http://www.hi-you-can.com/