メジャーとインディーズを超えた多彩なクリエイターによる短編映画制作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS Season7』が、5月9日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国の劇場で2週間限定上映。
2020年より始動した、伊藤主税、阿部進之介、山田孝之らがプロデュースする『MIRRORLIAR FILMS』(ミラーライアーフィルムズ)。2024年のSeason6までに著名クリエイターから一般公募まで、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した47本の短編映画を劇場公開してきた。
MIRRORLIAR FILMSは全国の地域と連携しながら映画制作を通じた地方創生や人材育成にも取り組んでおり、愛知県東海市と連携しているSeason7では加藤浩次、加藤シゲアキが監督として参加。2人が東海市で撮影した短編映画に加え、クリエイター育成・発掘を目的に国内外の公募から選出された3作品とともに、オムニバス映画として発表する。
2025年以降は、米ハリウッドで開催されているグローバル・ステージ・ハリウッド映画祭とのクリエイター育成に関するコラボレーションを予定しており、日本のクリエイターを世界に紹介するプラットフォームとしても期待されている。
©2024 MIRRORLIAR FILMS PROJECT
この度、5月4日(日祝)に同月1日に開館した隈研吾氏設計による「東海市創造の杜交流館」のオープニングイベントとしてミラーライアーフィルムズ 東海市プレミア上映祭が開催。『MIRRORLIAR FILMS Season7』の先行上映ほか、加藤浩次監督、加藤シゲアキ監督、出演の雛形あきこ、阿部進之介プロデューサー、坂本ショーン監督、武田成史監督、香月彩里監督らの舞台挨拶、地域特別制作作品の上映や動画コンテストの授賞式など、映画や映像文化に触れる多彩な企画が行われた。
オープニングセレモニーでは、花田勝重東海市長らのご挨拶からはじまり、映画づくりを支えた企業の紹介、そして東海市民がワークショップを通じて制作した地域特別制作作品『空への足跡』 がお披露目された。上映後には、出演者やスタッフとして参加した東海市民らも登壇。さらには、次のシーズンの開催地となる“岡山県”への引き継ぎも行われ、映画を通じた地域や人のつながり、交流が生まれる時間となった。
各ホールで『MIRRORLIAR FILMS Season7』と『空への足跡』の上映、監督、出演者や映画プロデューサーによる舞台挨拶が中継も含め行われるなか、最も注目を集めたのが加藤浩次監督、加藤シゲアキ監督、出演の雛形あきこらが登壇したスペシャルトークショー。東海市で撮影された映画『Victims』や『SUNA』、そして『MIRRORLIAR FILMS Season7』について、映画をより楽しみ、深く知ることのできるトークが繰り広げられた。
『Victims』の監督を務めた加藤浩次は、「ショートフィルムは日本に向いている。日本でももっと広がったら。」とMIRRORLIAR FILMSの企画の面白さを伝えるとともに、「東海市がより盛り上がるために協力できれば!」と改めてエールを送った。一方、出演の雛形あきこは、会場の開館を祝うとともに長年の間柄である加藤監督の作品に出演できたことの喜びをかみしめつつ、「いろいろな作品があり、それぞれ違う(魅力がある)ので楽しめると思う。」と話した。本作を作った経緯を「あるあるから発展したら面白い。そこからこうなったら面白いのでは?と作り始めた。」として、出演の雛形はオファーを受けて「加藤さんが映画を撮るんだ、これはもう!とふたつ返事で答えた。」としながらも、宛書と言われて渡された台本を読んだ時には「22年間の加藤さんのイメージがこれなんだ・・・。」と苦笑いし、会場を沸かせた。撮影現場でも、息のあったやりとりが行われるなか、初監督とは思えない監督ぶりをみせた加藤だが、内心はハラハラしていたという。本作がワンシチュエーションであることから、ワンシーンも落とせない、と撮る難しさを語りながらも最終的に皆でつくり上げた思い出を振り返った。
続いて『SUNA』の監督を務めた加藤シゲアキが登壇。「短編映画を撮るのは2回目ですが、映画館でかかるのは初めて。」と喜びを伝えた。元々小説用に作っていたプロットがいくつかあった中に砂をテーマにしたものがあり、MIRRORLIAR FILMSにはこれまでホラー作品がなかったことから、シナハンついでに東海市でまず砂を探すところからスタートしたという。東海市に何度も通う中、「自身が持っていたアイデアと東海市が持っていたものを上手く掛け合わせることができた。」と制作を振り返り、映画の完成に自信をみせた。本作では監督と出演を兼任、視点の入れ替えの難しさを感じながらも、共演の正門良規の役作りに助けられたという。基本的には、共演者に説明を任せるようなセリフ設定にし、自身は受け身にしていたが、一つだけ説明しなければいけないシーンがありセリフ覚えに苦労したことを話した。しかし、「何でも自由につくれるところが監督の良いところ」と、難しさのなかにも楽しさがあったことを伝えた。「短編映画ならではの5作品、個性の際立った作品で濃密な1時間。短編映画になかなか触れる機会がないと思うので、この機会にぜひ楽しんで欲しい。」と締めくくった。
そのほか、クリエイター育成・発掘を目的に国内外の公募から選出された3本の作品を撮影した、香月彩里監督(『ヒューマンエラー』)、武田成史監督(KUTSUYA)、坂本ショーン監督(『ウエディング』)も登壇し、それぞれの作品の魅力と短編映画の面白さを観客に伝えた。
また、東海市の学生がMIRRORLIAR FILMSの制作に携わっていることから、『Victims』『SUNA』のオリジナルグッズを作成。その贈呈式も行われた。
そして、フィナーレとなるクロージングセレモニーでは、「ミラーライアーフィルムズ東海市」プロジェクトの集大成として、東海市の新たな魅力を引き出した短編映画『Victims』『SUNA』、地域特別制作作品『空への足跡』の制作について振り返った。また、「10年後のあなたへ」をテーマにした動画コンテストの受賞作品が発表され、授賞式も行われた。映画づくりの経験がない人々が手を取り合い、一つの作品をつくり上げたように、ここから人のつながりが生まれ、新しい未来が始まるようにと願いが込められた。
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『MIRRORLIAR FILMS Season7』