名古屋市文化振興事業団では、2018年にご逝去された故 江崎順子氏(劇団・夏蝶代表)の遺志を受け継ぎ、ご遺族から当事業団に寄付された1,300万円を基金とし、「アクテノン記念 江崎演劇賞」を創設。第1回の受賞者に俳優の小嶋彩子氏が選考されたことを契機として、より一層、故人の生前の活動とご遺志に寄り添う演劇賞にしたいと話し合いを重ね、俳優・スタッフなど演劇のあらゆる分野で活躍している女性演劇関係者を表彰する「名古屋女性演劇賞」としました。
そしてこの度、第5回「名古屋女性演劇賞」として堀優子さんが受賞しました。
授賞理由
名古屋を代表する老舗劇団 劇座の中核であり、劇座本公演の主要キャストとして活躍する俳優である。
天野鎮雄、山田昌という支柱が失われた後の劇座を支える中心人物の一人であり、両氏の薫陶を受け、真摯に演技に向き合う姿勢が高く評価できるうえ、シリアスからコミカルまで求められる役を、如何様にも演じ分ける技量を遺憾なく発揮するなど、近年の活動も目覚ましい。
劇座公演以外でも、「なごや芝居の広場」シリーズ公演の「ながらえば」や「ゼロの焦点」等に主要キャストとして出演を重ね、作品の質の向上に大きく貢献した。新型コロナウイルス禍にありながらも精力的に活動し、常に主要キャストとして作品を成功に導いたほか、市民参加の朗読劇「病は気から」では演出助手を務め、スタッフとして公演を支えるという多彩な力量を発揮した。この地域の他の劇団やユニット公演にも多数出演し、公演の質を高められる俳優として、今後も名古屋演劇界を牽引していくことが期待できる。
略歴
名古屋の老舗劇団 劇座所属。劇座公演の「やっとかめ探偵団(作/清水義範、演出/岩川 均)や名古屋市民芸術祭2000主催事業「飢餓海峡(作/水上勉、演出/木村光一)」をはじめ、なごや芝居の広場「暮しのうた」、きりん演劇プロジェクト「金色夜叉」など、劇団内外の公演で主要役を務め、この地域の演劇界の第一線で出演を重ねている。
(故) 江崎順子氏 略歴
名古屋市生まれ。俳優、劇団・夏蝶代表。
名古屋演劇アカデミー(名演会館主催)2期卒業。1984年、劇団・夏蝶を結成。
日本の女性の生き方を描いた作品を中心に舞台で上演してきた。
他劇団への客演、テレビ、ラジオドラマ出演、司会や朗読の講師など多岐にわたり活躍。
劇団・夏蝶第13回公演「女の庫」(作/麻創けい子 演出/木崎裕次)にて平成5年度名古屋市民芸術祭賞を受賞。第17回公演「マンザナ、わが町」(作/井上ひさし 演出/木崎裕次)にて平成10年度名古屋市民芸術祭賞を受賞。平成16年には一人芝居「花いちもんめ」(作/宮本研 演出/わらしべ長者)で名古屋演劇ペンクラブ賞を受賞。平成30年6月12日逝去。
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(公財)名古屋市文化振興事業団
https://www.bunka758.or.jp/about/award/woman/