オイスターズ
会話に特化した笑いを目指しているオイスターズ。代表の中尾達也さんと作演出の平塚直隆さんは、ともに飄々と話しつつも、求めるものは相当高いと感じました。また、今回のインタビューの際にお世話になった、制作の河村梓さんにも参加していただきました。
芝居やれってことかなと

皆さんが演劇を始めたきっかけを教えてください。

■中尾達也さん(以下中尾):これは正直に答えたほうがいいのかな?

嘘はちょっと(笑)。中尾さんは確かよこしまブロッコリーに所属されていましたよね。

■中尾:よこしまブロッコリーはNACというところの人たちが集まって始めたんだけど、暇だったからNACに入った。20歳くらいかなあ。22くらいか。なんだかんだしてるうちに2年間研修があって、それが終わってどうしようかなあと思っている時に、ジャブジャブサーキットのはせさんがワークショップやるからと。それからですね、ちゃんとやってみようかなあと思いだしたのは。

どうして今オイスターズに。

■平塚直隆さん(以下平塚):その前にジャブジャブにいたじゃん。

■中尾:そうだ、ジャブジャブ。ジャブジャブにもいたんですよぼく。でも2年で辞めたんです。遠くて。

岐阜ですからね。そしてよこしまブロッコリーを経て、オイスターズへ。どうしてオイスターズをやろうと思ったのでしょうか。

■中尾:まだ所属してますけどね。長年やってると持ち回りが決まってきて、なんかちょっと違う事やりたいなって思ったんでしょうね、その時は。

NAC入るまではなにもやっていなかったのでしょうか。

■中尾:なにもやっていない。

平塚さんは。

■平塚:なんだろう。ぼくも大学卒業してからですからね。映画を撮っていたので、学生時代に。あそこでお芝居をやっている人たちと知り合いになって、それでやりたくなったのかな。

プロフィールにはプロジェクト・ナビとありますが、映研からそこに。

■平塚:いや、全然違います。うんとね、なんか小さい劇団に入っていて、演出やってた人と一緒に劇団作ったんですよ。そこで一緒に作った人が主宰は嫌だからと、ぼくが主宰やってたんです。それを1年間だけやってて。ぼくは趣味程度でやりたくなかったんだけど他の人たちは違っていて、それで赤井俊哉さんのオーディションを受けてみようと思ったんですよ。別に受かった訳じゃなくて、アンダーキャストみたいな感じで。だからフリーでやってたんですよね、しばらく。その赤井さんの所にナビの中島さんが出ていて、ナビに客演しないかって言われて。ぼくは北村想さんが好きだったので、もちろんそれは「はい!」と言ってたんですけど、あれよあれよという感じでナビに入らないといけない感じになって。まあ、入ったんですよ。

不本意だったんですか。

■平塚:不本意じゃないですよ(笑)。名古屋だったらナビがいいなと思ったんですよね。その時期はまた色々と重なって、はせさんの『不測の神々』に出られることになったりとかして、んー、なんか分かんないけど、これって芝居やれってことかなと。だからあまり色々考えてないですよね。流れるままに。そこで中尾とも知り合ったよね。不測の神々で。

■中尾:ちょうど同い年なので、平塚とぼく。

お前が代表になったから

最初会った時、どんな印象でしたか。

■平塚:ぼくは観に行ってたんですよ、NACのはせさんの公演に。ほんでいつも主役やってる小ちゃいのがいるなと。

■中尾:なんか顔のでかい奴がおるなと。

■平塚:それで不測の時に「主役の子だ」と思って。

そんな関係からどうして一緒にやることに。

■平塚:瀬辺さんがSOAP Worksというユニットをやっていて、そこで作演出をやってみないかって。戯曲セミナーを瀬辺さんが受けていて。俺も瀬辺さんも一期生なの。それでやってみないかって言われて、ああいいですよって。キャストはほとんど瀬辺さんが決めてたんですけど、中尾を呼びたいって。

そこで初めて。

■平塚:そこで一本やって。なんだろうね。劇王の時に、同い年でやりたいって言って。爆笑王って話にしたいって言って。

■中尾:『しるころーど』っていうのをやった時に、こいつの本が面白かったんです。なんか共感できたところがあって。面白いところとか、共感できるところがこいつと一緒だとか。なんかやりやすくて、面白いなって。

先ほどの話だと、戯曲セミナーの繋がりから作演をやることになったということですが、作はともかく、演出はどうして。

■平塚:なんか「平塚君の本は自分で演出したほうがいいんじゃないの」と瀬辺さんが言うから。なにしろその年が大変で、いろんなところで年に四本とかやってたから、その中にはナビでの作・演出も入ってて、緊張もしたし挫折も味わって、そんなこんなで自信もついたのかな。それで同い年がこんだけいるんなら一緒にやろうかって。それで始めたんですね。

『ジ・オイスターズ』から『オイスターズ』に改名し、河村さん等の若い方も入れるようになった経緯は。

■中尾:ジ・オイスターズの時は色んな劇団から集まっているので、合わないんです、時間が。ユニットだったんで一応。それでちょっとちゃんとしたほうがいいかなって。ジ・オイスターズの時は俺が代表で決まったんですけど、それは俺がいない時に決まったんです(笑)。

了承を得ぬまま。

■中尾:後で聞いたら「お前が代表になったから」。

良かったんですか。

■中尾:まあしょうがないかと。だから本当に名ばかりの。代表だからとなにかやってる訳でもないし。

■平塚:オイスターズをやろうって時に、中尾がいないとなんも決まらないんだよね、俺ら。こういう時に決められる奴が代表になったほうがいいと。それは誰だと。中尾じゃないか。じゃあ中尾が代表で。

河村さんはどういう経緯でオイスターズに。

■河村梓さん(以下河村):客演で呼んでもらってたんですけど、面白いなって。ですが年齢制限があって入れなくて。そしたら年齢制限取っ払ったので。しばらくフリーでやってたんですけど、どこかに入りたいなと思っていて。

劇団名の由来を教えてください。

■中尾:単純によく当たるから。当たるから牡蠣だなあって言ってオイスターズにして、「ザ」を付けようと。でもオイスターズは母音だから、「ジ」じゃないかと。

何故「ジ」を取ってしまったのでしょうか。

■中尾:関戸というのがいるんですけど、なんかの占いをやった時に「ジ」を取ったほうがいいと占い師に言われたらしくて。じゃあオイスターズにしようと。別にこだわりとかないんで。

平塚さんは異論とかなかったのでしょうか。

■平塚:いや、全然。

■河村:むしろ平塚は占いとか信じる側だと思います。

■中尾:関戸が占いをしてきた時に、「お前占いなんかやっとるの?」とか言って馬鹿にしてたんだけど、こいつがしている数珠は占い師に貰ったって。お前もだがや(笑)。

やる気がなく見えるのと、やる気がないのとは違う

平塚さんが演出するうえで特に気をつけていることはありますか。

■平塚:いやあ難しいなあ。演出理論とかはないので。固めるというか、皆一緒にはしたくない。塗りたくるのは嫌ですね、始めから。その人を見てやるようにはなってます。最近になって思うと、中尾とか同い年の奴らとばかりやっていたので、一緒に作ってる感覚だった。ぼくは台本の説明をしているだけで、それで分かってくれる人としかやってなかったから、そんな風な演出になってる訳ですよね。でも色んな所でやるようになると、それが通用しなくなってくるんですよ。なにが面白いのか分からない人たちと一緒にやっていると、困っちゃうんですよね。困ってはいるんですけど、演出の仕方とかは変わらなくて。分からない人に分かれって言っても分からないので。結局はサラダみたいな感じに演出してるんです。

■平塚:ざっくり、こうあえる感じ。煮たり茹でたりせずに演出するほうが好きなんです。しっかり調理された役者さんを見るのが嫌なんですよね。嫌だっていうか、面白くなく感じちゃって。

■中尾:俺が平塚の本で役者やる時は、どんどんいらんもんを削ぎ落としていくような感じ。結局なんにもやらないほうがいい感じになる。

■平塚:そうだね。他でやる時は「なにもやってもらわなくていい」と言います。演出方法と言えばそういうことになるのかもしれない。なにもやって欲しくない。そのまま居て欲しいので。中尾みたいな人が増えていくのがいいんじゃないでしょうか。

先日稽古見せていただいて印象的だったのは、「やる気がなく見えるのと、やる気がないのとは違う」と言っていたことです。それを中尾さんはしっかり持っているんですね。

■平塚:そうですね。でも中尾とかに聞いてもそれを意識してる訳じゃなくて、そうなってる。他の人が中尾の真似をすると、芯までぐにゃぐにゃになっちゃうから駄目なんですよ。あれは力を抜いてる訳じゃなくて、力を抜いてるように見えるだけであるということが、分かってるんだろうけど、実際に体現しようとするとできない。でもそれを言ってると、ぼくは中尾としかできなくなってしまうので、もうちょっとちゃんと分かってできるようななにかが欲しいんですよね、最近。それを言葉で、あるいはワークショップのようなトレーニングでできるような方法があるんじゃないかと。

改めて、いま話されたことを中尾さんは意識したことがありますか。

■中尾:ないんですよ。でも、色んな奴とやるようになって、俺も言葉にしようとするとそういう言葉になる。そういうことを意識してやろうとしたことはなくて、改めて考えてみると確かにそうだなと。身体はダラっとしてるんだけど、集中して神経は研ぎすましているというか。

河村さんはどうですか。

■河村:それができるようになりたくて入ったようなものですね。見ていて気持ち良かった。

■平塚:人前で舞台に立つっていうのは、身体も緊張して、見られているという意識があって立っている訳であって。他の人はそれを排除する為に感情を作ったりしてる気がするんですね。でも中尾とかはなにもやろうとしていないからいいんですよ。ただその場で起こっていることにリアクションしているだけで。芯は人前で立っている身体、なんですよ。人前で見られている身体で立っている。だからぐにょんとならない。そこでなにもしようとしていないので、それでいいんじゃないのかと思うんです。他の人はなにかしようとするんです。なんでなにかしようとするんだろうとか。

耐えられないんじゃないでしょうか。

■平塚:耐えられないんでしょうね。

■中尾:変に顔作っちゃう人多いよね。楽な身体にしようとする顔にしちゃうとか。

本に書いてあるので

演出家にとって必要な能力はなんでしょうか。

■平塚:いやあ難しいなあ。あんま考えたことないなあ。話を聞けるようにするってことかなあ。

■中尾:忍耐力はあると思うよ。

■河村:そういうタイプの演出家なんだなと思う。ひたすら待つのを頑張る演出家。

■平塚:ぼくは自分からこうしてああしてとか言わないので。なにかやってもらって決めていく演出家なので。ぼくからなにかやれとは言わないです。演出に関しては。ただ、本に書いてあるので、それをやってくれればいい。やることは本に書いてあるので。ぼくは自分の本しかあまりやらないので。

■中尾:でも、難しいよ。そこで「前に歩いて」とか書いてある訳じゃないじゃん。それでやるのは難しいよ役者としては。本に書いてあるからと。

本を読んで、情景が浮かべれば、そこで前に歩くのは分かるだろってことなんでしょうか。

■平塚:動きは好きにしてって感じなんですけどね。さっきの話に戻るけど、なにもなくって、なにもしようとしていない人たちになにかを、事を起こすのは作家の仕事なので、ぼくが色々起こすので、それに対してリアクションしてくれればいいよ、とか。そうやって思っているからかなあ、こうしてああしてとかはない。いい演出がなにかは分からないけど。

■中尾:少し言葉が足りない気がしなくもないけどね。

■平塚:なんて言っていいのか分からない。分からないのに、別の言葉で伝わっちゃうと、またそれで余計なことになっちゃう。いや違う、全然ニュアンス伝わってねえやってなっちゃう。だから、言わない。

役者が迷われている場合は。

■平塚:そうなったら言うんですけど、でも、大体本の話に戻っちゃう。ここでこうなってる。ここでそんなこと言うお前が面白いじゃんって。なにが面白いか説明します。そこで面白いと思ってくれないとなんともしようがない。

ここでは絶対に嘘は通じない

オイスターズの作品を観せていただいて、会話をいかに作り上げるかに重点を置いているように見えるのですが、舞台上で会話を進めていく上で意識していることはありますか。

■平塚:これ、しるこの時に、しみじみと打ち上げで、「お前の本は会話が面白いんだよなあ。会話が面白い、会話が面白いんだよなあ」と言ってきて。その時から会話が面白いんだと(笑)。中尾とやる時には会話を面白くさせようとは思ってますね。物語には興味がなくて、会話にしか興味がない。今まではその中でなにか事が起こって物語になってないと駄目だなと思ってたんですけど、『うそつき村』辺りから会話だけでいいんだと。だからきっかけは中尾ですよね。それまでは普通の物語をやろうとしていた。

ぼくは『うそつき村』が一番好きです。最も平塚さんらしい。

■平塚:あれから吹っ切れたんですよね。そうしようって。

■中尾:質問なんだっけ(笑)。

会話をする上で気を付けていること。

■中尾:平塚の芝居だけじゃないと思うんだけど、相手の話を聞くってことですかね。聞いて、その相手の雰囲気を察して自分も動く。相手も雰囲気を察して動いていく。それをどんどん重ねていくと面白い会話ができると思うんですけど。

これ意外と難しいですよ。

■中尾:そう、難しいらしいんですよ。そんなの普通のこと。普段皆こうして会話してる。

自分の台詞だけで皆精一杯なんじゃないでしょうか。

■平塚:そうやろうとしてるもんで、聞けなくなっちゃうんです。

■中尾:自分が気持ち悪くならないかなって思って。相手の台詞に返さず自分だけで喋っちゃうと。

■平塚:その『うそつき村』だと、後から後からやってくる人の台詞にいちいちリアクション取ってるだけなので。それをできない人が多いんでしょうね。ぼくはあれはもっと評価されていいと思うんですよね(笑)。中尾なんか一番最初に入ってきて、ピタっと止まったらそこからずっと動かないんですよ。あそこもっと評価されてもいいんじゃないかと。

ずっと喋ってますよね。

■平塚:色んな人が出てくるんだけど、そこからずっと動かないんです。あれは凄いことなんじゃないかと思うんですけど、皆びっくりしてくれないんです。初めて一歩踏み出した時の衝撃とか俺はあったんだけど。

■中尾:もう忘れかけてた頃に「お前一歩も動いてないな」って言うんですよ(笑)。

■平塚:意外とあっさり動くんだよね(笑)。もっと誉められてもいいと思うんだけどなあ。なんでなんだろう。

■中尾:楽な身体なんですけど、ちゃんと芯はあるので、とっさに反応とかはできますね。シュッシュッて動くフリーな状態。すぐにシュッと動ける体勢。

■河村:他で言われたことありますね。無私の状態。そういう時って力を入れていたらすぐに動けないから。

河村さんはこれまで話したようなことを意識したことは。

■河村:ここでは絶対に嘘は通じないなというのは。変に演技したら言われるし。それが許されない場所だし、許さない演出家なので。他でフリーでやってた頃ってごまかしがある程度許されていたんですけど、それが絶対に通用しない。それをやったら絶対にお客さんに分かると、稽古の段階から言われていて。

■平塚:格好付けようとするんですよね、まだ。まだ格好付けようとするから駄目なんですよね。

■中尾:俺も格好付けてるけどね(笑)。

ぼくは完全に喜劇体質の作家なので

皆さんが役を演じる上で意識していることは。

■中尾:空気を読む事は大切かな。それに対応出来るように身体を作っておく。なんか空気が読めれば役者のような気がしますけどね。相手の空気を読んで、それに対して動けば。相手もその空気を読んで喋れば。

役者にはこういう能力が必要だと思うことはありますか。

■平塚:先ほども出ましたが、なにもしない人。素直でなにもしない人であれば。

■中尾:多少ひねくれているほうがいいと思うけどなあ。素直だと本当に素直に動いちゃう気がするんだよね。

■平塚:最近一緒にやってる若い奴なんかは、素直で純粋なんだよね。確かに俺が思っているニュアンスとは違うんだけど、変に飾ろうとしないので、好きなんです。飾らない、気取らない、なんか。

■中尾:状況が面白いんだよね、平塚の本は。こんな状況なのにこいつらなにを喋っとんだて、というような。その会話が面白い。

皆さんが演劇に関わっていて、楽しいこと、逆に辛いことがあれば。

■中尾:飲み会(笑)。まあ皆そうだと思うけど、人前に出てなんかやるのが楽しいじゃないですか。気持ちいいというか。

■平塚:あんまりがっついてないんですよ。演劇に対して。

でも、映研に居て、そこから演劇に移る時になにか思うことがあったのではないかと。

■平塚:映画撮ってもなんか発表の場がないと思ったのかな、その時は。自分の創作したものを発表したい。

映研の時はどのような作品を撮っていたのでしょうか。

■平塚:コメディーですね。不条理というか。でも短編ばっかり撮っていましたね。

■中尾:映画の短編ってどのくらい。

■平塚:1分から10分。喜劇体質と悲劇体質の作家があって、ぼくは完全に喜劇体質の作家なので、まず作品のなにが笑えるのか、そこしか分からない。自分がクスクス笑えることしか考えてない。

逆に辛いことってありますか。

■平塚:辛いですね。怖いですよ。お客さんがどんな反応するか怖いですし、楽屋で誰よりも緊張していますからね。怖いのは辛いですよ。ホントはどうだ面白いだろって思って観てたいんですけどね。あ、お客さんが入らないのも辛い(笑)。

■中尾:稽古かなあ(笑)。稽古の場に行くのが辛い。

■河村:家が遠いので。ちょっとしたドライブですよ。運転してるほうが長かったりしますから。

平塚さんが戯曲を書く時はどのようにアイデアを生み出すものでしょうか。

■平塚:色々、です。あれも書きたいこれも書きたいというのがある人じゃないので。でも原点はこれまで観て来たお笑い番組とか、そういうところがあると思います。ワンシーンというか、ちょっとしたやり取りとかで書く、というのが多いですね最近は。あるワンシーンが浮かんだらそこから書く。プロットとか立てないので、『うそつき村』はど頭の台詞から書き始めましたね。だから後半になるほど困ってくる。

オチとかも考えてない。

■平塚:物語に興味がないので、起承転結でどんな風になるのかに興味がなく、その時にどんな面白い会話がかけるかだけですね。それで会話に詰まったら他の人を出す。こないだの『はだしで走れ』なんかもそうですよね。詰まったら人が出てくる。

今後そういう目で見ちゃいそうです(笑)。

■河村:あ、詰まったんだとか(笑)。

■平塚:いかんなとは思います。そろそろ次の段階に行かないとなとは思っています。それだけじゃ駄目なんだというのは分かってきました。20分くらいの短編だったら一気にいけるんですけどね。1時間超えちゃうと駄目ですね。

がっついてないけど、妥協していない

皆さんが演劇をやるうえで表現したいことはありますか。

■中尾:表現とは違うかもしれないけど、こう見られたら嬉しいなというのはあって、あいつ楽に舞台に立ってるなと思われたら嬉しいですね。身体とかが。それが表現したいことかは分からないけど、そう思われたら嬉しいですね。

■平塚:会話だけで爆笑されたいんですけど、そうすると会話が聞こえなくなっちゃうので、ずっと静かに笑ってて欲しい。そういうのが理想。そういうのがやりたい。頭から尻までずっと笑いが聞こえるんだけど、会話が聞こえる程度。最後に「どうでもいいんだけど面白かった」と言われたい。どらどうでもいい、でも面白かったと。爆笑されると声が聞こえなくなってイラっとするんですよ。

■河村:笑い待ちすると全部崩れてくる。

■平塚:でも、最近はそれじゃ駄目だと思ってる(笑)。そこだけで勝負したら限界なんじゃないかと思いました。でも圧倒的だったらいいのかなとも思う。なにかが圧倒的だったらいいのかなと。役者にも言うけど、着飾ったりせず、なにかひとつのことで圧倒的に居て欲しい。圧倒的にどうでもいいとかってやはり圧倒されますからね。

ぼくはそこを目指して欲しいですね。

■平塚:なかなか難しいですね。どうしたもんかと。

最後に、オイスターズの魅力を教えてください。

■平塚:会話。

そこになりますよね。

■中尾:平塚が思う会話をしようと思ったら、稽古しないとね。

■平塚:稽古でなんとかなるものだったらいいけど、それがよく分かっていない。稽古でなんとかなるもんなのかって。

■中尾:近づけるのはできると思う。時間は掛かるけど。

それらを若い方たちに言葉で説明しようとは思っているのでしょうか。

■中尾:思ってはいるけど、結局本に書いてある、という説明になってしまう。

結局はそれを面白がれるかどうかですね。

■平塚:客観性だよね。どう見えると面白いかという面白がり。それが必要、だよね。やっている自分の姿が面白いかと思える面白がり方かな。客観性がある人がいいかな。さっきの話になっちゃうけど。

■中尾:状況だよね。その状況をいかに面白がれるか。なにが面白いのか、分かるようにしないといかんね。

敢えて最後に河村さんに。どういうところにオイスターズの魅力を感じますか。

■河村:がっついてないけど、妥協していない所ですね。そこで妥協したら一緒にやりたいとは思わなかったですね。

これからのオイスターズはこれまでのジ・オイスターズを再現していようとしているのでしょうか。それともまた違うオイスターズを作ろうと思っているのでしょうか。

■中尾:再現とかじゃないです。ジ・オイスターズがレベル高いところに居た訳じゃないので、それからずっとまた上がっていこうとしているだけで。始めの時、皆が出来てた訳じゃないので。皆30歳くらいで10年くらい芝居やってる奴ばっかりだったので変な癖とかもあったりした訳ですし、若い子のほうが柔軟にやってくれるんじゃないかと思っています。

今日は長い時間ありがとうございました。

■中尾・平塚・河村:ありがとうございました。

おまけ

(しばらくして)

■平塚:あ、そういえば名古屋弁をアピールしてるって書いておいてください。

わかりました(笑)。