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よこしまブロッコリー『体温と体液』

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よこしまブロッコリー『体温と体液』の稽古場にお邪魔させて頂きました。

来年20周年を迎えるということで、これまでの再演のシリーズを行うとのことです。

これまで会話劇を主体に活動してきた劇団ですが、20年の歴史の中で変わったもの、変わらないもの、色々あると思います。このシリーズを通してその辺を見比べてみたり、これを機会によこしまブロッコリーの作品にどっぷり浸かってみるのも面白いかもしれません。

●にへいたかひろさん(脚本・演出・音楽)の話

――今回は再演ということですが、この作品を今上演することになった経緯を教えてください。

にへいたかひろさん(以下にへい):来年2019年によこしまブロッコリーが20周年になるので、それに向けた『再見シリーズ』ということで、リクエストが多かったり、評判が良かったり、ぼくらがもう一度試みたい作品のラインナップを作っています。そしてその第一弾として、作家のぼく自身にとっても代表作であるこの作品をこのタイミングで上演しようと思いました。初演は2005年くらいですが、2018年になってAIが実際に家庭に入ってきたりして、今だからこそという視点も入っているのかなと思います。

――書き換えはされているのでしょうか。

にへい:リライトはしてますね。でも大幅にということではなく、今に合わないという所だけを修正しています。ずいぶん前に書いたということもあって文体も今とだいぶ違うんですけど、敢えてそこを修正していくよりも演出としてどう解釈するかの方が、今だからこそ、という作品になるのかなと思います。

――回数を重ねることで、本への感じ方も変わってくるのでしょうか。

にへい:回数を重ねる中で作品の強度が増してくるという意味での蓄積はあります。でも改めて取り組んでみて思ったのが、それが逆に縛りになることもあって、だから敢えて「ゆっくり作らせてください」と。すぐに物事を決めずに、最低限のルールだけを作って何度も繰り返して貰ったりとか。でもそのおかげで、今思っていることとか、これまでの蓄積とかが良い具合に考えられるようになった気がします。

――演出として意識されていることはありますか。

にへい:やはり今の視点で見れるかどうかという所で、ただの架空のSFで終わってしまうとそれだけが消費されてしまうので、今なりの視点だとか発想だったりとか問い掛けだったりを感じて貰えるように試行錯誤しています。

――最後に見所を教えてください。

にへい:架空のSFなんですけど、人と人の形をしたものが織り成す物語です。人と機械の違いは記憶するか記録するか、アナログかデジタルか。そこから人を浮かび上がらせたりとか、生きていくってどういうことだろうと考えて貰えるようにしています。またサスペンスの要素もあるので、そういう視点でも楽しんで貰えると思います。聞くと難しそうな作品に聞こえるかもしれませんが、素直に楽しめる作品なので是非観に来てください。

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よこしまブロッコリー『体温と体液』

脚本・演出・音楽:にへいたかひろ
会場:七ツ寺共同スタジオ
日時:2018年7月6日(金)~7月9日(月)
出演:松浦功、山形龍平、早川綾子、古部未悠、鶴田雅弓、榊原耕平、近藤桃子、すずきたつろう、結沼栄太、にへいたかひろ

詳細はこちら
http://www.yokoshima.info/